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ちくわライダー見参 ~お残しは許さない!~

作者: 兎山紬
掲載日:2026/05/24

俺は生まれは分からない。

気が付けば、白い皿の上にいた。


横にはキュウリの輪切り。

下にはほんの少しのマヨネーズ。


そして俺は理解した。


「……俺、ちくわだ」


そう。

ただのちくわである。


意識はある。

だが動けない。

叫べない。

転がることすら出来ない。


ただ、皿の上で料理として存在するのみ。


だが、俺は絶望しなかった。


なぜなら。


俺の胸には――正義があったからだ!


「お待たせー」


少女が皿をテーブルへ置く。

居酒屋だった。


「おっ、ちくわキュウリじゃん」

「旨そうじゃん」


その時だった。


一人の男が、箸で俺を掴み――

一口だけ食べて戻した。


皿に。

しかも半分。


半分だけ!


俺の中で、何かが弾けた。


許せない。


食材を。

命を。

作った人の想いを。


そんな風に無駄にするなど……!


その瞬間。


俺の中の魂が燃え上がった。


「ちくわ……キュウリ……」


視界に映る緑。


そして窓の外を走る一台のバイク。


雷鳴のように脳内へ走る閃き。


「そうか……!」


俺は悟った。


「バイクだ!!」


なぜかは分からない。


だが正義のヒーローにはバイクが必要なのだ!


それが宇宙の法則!


俺は己の肉体を震わせる。


限界を超えろ。


練り物の可能性を信じろ!


「ぬおおおおおおおおおっ!!」


すると。


俺の身体が回転した。


ちくわが自力で転がった。


「うおっ!? ちくわ動いた!?」

「酒飲み過ぎじゃね!?」


黙れ人類。


今、俺は覚醒する!


俺は皿から飛び出し、キュウリと融合!


さらに店の外へ転がり出る!


そこに忘れ去られた子供のおもちゃのバイク!


俺は飛び乗った!


『PIIIIIIN!!』


なぜか変身音が鳴った。


知らん。


だが鳴った。


そして俺は叫ぶ!


「変ッッッ身!!」


ちくわのボディ!

キュウリの装甲!

バイクの機動力!


三つの魂が今、一つとなる!!


爆風!

閃光!


そして現れる白と緑の戦士!


『ちくわライダー!!』


店内の客が悲鳴を上げる。


「なんだあれぇぇぇぇ!?」

「ちくわがバイク乗ってるぅぅぅ!?」

「しかも変身したぁぁぁ!!」


俺はポーズを決める。


右手を掲げ。

左腕を胸へ。


そう、完璧な変身ヒーローの構え!


「俺、見参!」


マフラーが風になびく。

ちなみに素材は大葉だ。


「俺は――お残しを許さない戦士!」


その時だった。


店の奥から黒い気配。


ぬるり、と現れる怪人。


顔はピーマン。

身体は黒焦げソーセージ。


名は――。


『残飯怪人ノコシターイ!!』


「ふはははは!! 人類は残す! 食べ残す! それこそ文化ァ!!」


「貴様ァ!!」


ノコシターイはテーブルを蹴り飛ばす。


焼き鳥!

枝豆!

ポテト!


次々と床へ落ちる料理!


「やめろぉぉぉぉ!!」


俺は怒った。


激怒した。


ちくわなのに。


いや、ちくわだからこそ!


「行くぞノコシターイ!」


『来い! 所詮は練り物!』


俺はバイクを走らせる!


ブオオオオオオン!!


時速たぶん20キロ!


おもちゃなので遅い!


だが魂は最速!


『くらえぇぇ!!』


ノコシターイの残飯パンチ!


俺は回避!


キュウリ装甲を回転させながら飛ぶ!


「ちくわキック!!」


『ぐわああああ!?』


炸裂!


練り物の脚が怪人へ突き刺さる!


さらに!


「必殺!!」


ベルト中央のちくわコアが輝く!


「フードロス・キイイーーック!!」


俺は高速回転した。


ちくわとして。


限界まで。


『ば、馬鹿なぁぁぁぁ!!』


ドカァァァァン!!


爆発。


そして怪人は消滅した。


静寂。


店内に沈黙が落ちる。


やがて。


一人の少女が、そっと呟いた。


「……すごい」


俺は振り返る。


「ありがとう、ちくわライダー」


少女は、皿に残っていた半分のちくわを見つめながら言った。


「私、ちゃんと食べるよ」


その言葉を聞いた瞬間。


俺は満足した。


そうだ。


それでいい。


食べ物は。

誰かの命は。


ちゃんと最後まで大切にされるべきなのだ。


俺はバイクへ跨る。


「覚えておけ」


夜風が吹く。


「お残しは――許さない!!」


ブオオオオオン!!


走り去るちくわライダー!


彼の戦いは終わらない!


世界からお残しが消える、その日まで――!!

 

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!


何をどう間違えたら、

「ちくわ+キュウリ+バイク=変身ヒーロー」

になるのか、自分でもよく分かっていません。


ただ、一つだけ言えることがあります。


お残しは良くない。


その気持ちだけは、本物です。


この作品は、

勢いとノリとちくわで構成されています。


深夜テンションで読むと、たぶん少し面白いです。

真面目に読むと、もっと危険です。


ちなみに作者は執筆中、

「これ投稿して大丈夫か?」

を三回くらい考えました。


でも、ちくわライダーが、

「行け」

と言った気がしたので投稿しました。


もし少しでも笑っていただけたなら、

ちくわライダーもキュウリも喜ぶと思います!


最後にもう一度だけ――


お残しは、許さない!!!


ありがとうございました!


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