サラビートの輝き
トーラムの豊かに響く声が、海上の空気を、水面を震わせる。
僕のリズムと、トーラムから発せられた音と声が混じり合い、海に音楽が響きわたっていった。
静かに湧いてくる、喜びと興奮。
その瞬間、海からぽうっといくつもの小さな光が立ちのぼってきた。
「わあ…ホタル?すごくきらきらしてる…」
昼間だけどこういう生き物がいるのかな、すごく綺麗だ…。
「神様からのご加護さ」
たくさんの小さな光は、船やトーラム、僕の体にくっつき、溶け込むように消えていった。
「これは一体…」
楽器を袋にしまいながら、
「これで安全に海を渡って家に帰られるだろうよ。ありがたいことだ。」
トーラムが説明してくれた。
「いま、リズムと音と歌が混じり合い、海の神様へ賛美と祈りが届けられた。
そして、カズキも感動してくれただろう?その思いが神様を喜ばせ、俺たちにご加護を授けてくださったんだ。
航海のあいだ、あらゆる災いを遠ざけてくださるよ。」
「そうなんですね。トーラムさん、楽器も歌もうまくて、僕…リズムを取るのもすごく楽しかったです!」
久しぶりに、心が躍っているのがわかる。
トーラムはニカッと笑った。
「これが、サラビートさ。」