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きらめく海の真ん中で
川に流されたときに、あれだけ水を飲み込んだのに。
外が暑いせいか、のどはひどく乾いている。
するすると舌、のど、胃に滑り込む水は、冷たくはないがスッと体に染み込み馴染んでいく。
「お水、美味しいです。」
「この国は暑いから、まめに飲まんといかんよ」
トーラムはたくましい腕で船を漕ぎながら、穏やかに言う。
やっと気持ちが落ち着いてきた。
どこまでも続く淡い緑色の海、抜けるような青空とはこの景色のことを言うのかもしれない。
「この海、すごく綺麗ですね!」
遠くを見渡すと、島がたくさん見える。
「海の神様のご加護があるから、俺らにも豊かな恵みを与えてくださる。」
漕いでいたオールを船に固定すると、トーラムはニヤリとした。
「無事に家まで漕いで行けるよう、偉大なる神ナルヴィーシュ様へ感謝と祈りを捧げよう。」