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真っ白になって
目の前が真っ白だ。
白一色、というよりは、かすかに細かい赤や緑や青がちらついて、キラキラとラメのように光っている。
わあ、白の中にいる…
そう思った瞬間に、いきなりじわじわと暗くなっていく。
完全な暗転。と同時に自分の呼吸音が聞こえ、今までが無音だったと気付いた。体のあちこちが痛くて、重い。
そして、誰かが仰向けになった自分の頭を支えてくれている…?
「おい、聞こえるか、大丈夫か? おい?」
「…はい…、聞こえて、ます…。」
「おお!よかった!あんた、言葉が通じるんだな」
目を開けると、ぼくの顔を覗き込んで笑う、外国人のおじいちゃん。
「大丈夫か?体起こせそうか?」
「はい…すみません…」
支えてもらい顔を上げると、海だった。