【どの案も地獄】絶望的に狂った年金制度改革案について【選択肢が皆無】
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は5年に1度の年金制度改革案が「絶望的」であることについて触れていこうと思います。
24年6月に書いたこの内容が具体的に細かい内容までまとまったという形です。
https://ncode.syosetu.com/n3958jd/
前回書いたお話を簡単にまとめますと、
厚生年金に加入させようとするのは「実質増税」であるということ。
年金が少ない状態の末路は「安楽死社会」又は「職場で他人を介護する社会」になるのではないか? という事をお伝えしました。
今回議論されたことはかなり多く項目があるのでザッと解説していきます。
◇検討内容
・建前
・言われない本音と実情
と言った形で案をそれぞれ見ていこうと思います。
◇中小企業の厚生年金の適用拡大(いわゆる「106万円の壁」の廃止)
現状では「年収106万円以上」、「従業員51人以上」、「週20時間以上」の3要件から「週20時間以上」のみになるという案です。(ほぼ実施は確定)
・建前
最低賃金の上昇に伴い存在の必要性が薄れる。
「働き控え」(推定76万人)を防ぐ。
多くの人が厚生年金を受け取ることが出来る。
・言われない本音と実情
100万程度の年収の人は厚生年金は月6000円程度しか増えません。回収まで本人負担のみで30年。会社負担込みだと60年かかるため実質増税といっていいでしょう。
「週20時間で働き止め」まであり得る内容です。時期に学生以外の雇用されている者全員が加入が強制されることが予想されます。
本来であれば年金と保険料は階層性の累進制にするべきであり、いきなり20%近くの負担を背負わせるのは非常に酷な話です。
◇「106万円の壁」に対する特例
働く人の給与が年収換算で156万円に届かないうちは、厚生年金保険料は企業側が多くを負担できる仕組みを創設する案(ほぼ確定か?)
・建前
労働者の手取りを増やす。
・本音と実情
中小企業は「保険料倒産」があると言われているために実質的に「大企業特権」となるでしょう。「給与」として扱われずに負担できることになるために「囲う」ことも可能になります。
中小企業に打撃、大企業に追い風の政策と言えます。
◇労働する高所得者に対する厚生年金の扱いの改善(在職老齢年金制度見直し)
現行の在職老齢年金制度では(給与+年金)で月50万円を超えると年金の給付水準が低下する仕組みとなっているところを月62万又は月71万円まで引き上げる案となっています。
・建前
高齢者の働き止めを無くすことができる。
・言われない本音と実情
現状年金を貰える年代でで「年金+給与」で50万円を超える人間なんてそうそういないでしょう。
因みに62万円に引き上げると1600億円の現役世代の負担増、
71万円に引き上げると2900億円の現役世代の負担増になるそうです。
実際のところはただ単に「特権階級の収入増」と言え、問題外の案です。
即座に「消しゴムマジック」で消して欲しいレベルの悪案です。
◇配偶者に対する厚生年金の扱い(第3号被保険者の縮小・廃止)
配偶者に関する加給年金を新規受給者から段階的に引き下げ又は廃止していく案です。
(即座に廃止は無さそうですが)
・建前
第3号被保険者が存在することから男女の賃金格差が生じている。(該当者は675万人)
「106万円の壁」の根本原因となっている。
多くの団体(経済同友会、連合、日本商工会議所など)が賛成している。
・言われない本音と実情
ただ単に「主婦も働きに駆り出す」のが目的でしょう。
子育てに不安を持ち結婚しなくなることが予想されます。
どの家庭も共働きが出来る家庭ばかりでは無いです。
育児・介護のための夫または妻が働くことを控えることが難しくなり、
「家族の時間」と言うのは減っていくでしょう。
主婦などの「無償労働」を評価できない実情、経済資本主義やGDPを過大評価する社会システムに問題があるだけだと思います。
「多様性」と言いながら「上級国民以外は専業主婦を許さない」と言うのが実情になるのではないかと非常にこの案を危惧しています。
◇子のいない遺族厚生年金の大幅改定
現行無期限だったものを男女共に有期給付5年に統一。収入制限は廃止。
中高齢女性への加算を段階的に逓減して廃止。
(ただし、男性は55歳以上にしか給付されなかったため男性側は完全改悪ではない)
・建前
男女平等にする制度
・言われない本音と実情
「予算を組みやすくするため」に「悪い方に統一」と言うのが実情でしょう。
◇国民年金の給付水準引き上げ
会社員が入る厚生年金保険料の一部を国民年金の給付に充てることにより、
中長期的に安定財源を確保し、将来の国民年金の水準は現行制度より3割高まる案です。
・建前
年金支給額の増加
受給者に対して安心の提供
・言われない本音と実情
そもそも「目的税」の性質がある厚生年金を国民年金に充てようとする発想が「完全に狂っている」と言えます。
厚生労働省の試算では今年度65歳になる人の「モデル年金」では、合計31万円減り、2040年度以降にようやく従来よりも給付水準が上昇するとしています。
しかし、今の状況では100%の確率で2040年時には見直されて、減っていることでしょう。
厚生年金に余裕があるのであれば、厚生年金の徴収額を減らすと言った方法で「取り手取りを増やす」方向性にもっていくのが「国民との間の契約」の履行になるのではないだろうか? と思います。
ふざけた案ばかりで「安心」も何もあったもんじゃないです。
◇年金受給者の子の加算拡充案 配偶者加給年金は縮小
家族を養う厚生年金受給者に加算する加給年金制度のうち、18歳未満の子どもがいる場合の加算額を引き上げる方針を示した。第1子と第2子は年23万4800円、第3子以降は年7万8300円を老齢厚生年金に上乗せしているが、第3子の加算額を第1子と第2子に揃えた上で、一律で増額する。
支給対象となっていない老齢基礎年金でも同様に加算を新設する案です。
一方、65歳未満の配偶者がいる場合に年間最大約41万円加算される配偶者加給年金は(現在92万人受給)、将来的に支給額を縮小も同時に行われるようです。
・建前
子育て中に定年退職を迎え、主な収入が年金になる親の増加を想定し、多子世帯をはじめとする子育て世帯の支援強化が狙いのようです。
加算対象は老齢厚生年金で3万6000人、老齢基礎年金は2万2000人。障害年金や遺族年金も含めると約33万人に及ぶそうです。
・言われない本音と実情
「子供を育てた経験のある高齢者に年金追加」ではなく「現在子供が18歳未満」というかなり厳しい条件だと思います。
貰える条件を満たしてもわずか数年に過ぎないです。
女性側に産む限界年齢がある以上、「年の差婚」「再婚」の可能性も高いです。
むしろ「上級国民の時間差一夫多妻制」を推進するだけなのではないかと思います。
以上で大きな案は終わりです。
いかがでしたでしょうか?
僕の感想を総括すると「何もしない方がマシ」「年金制度自体が消滅した方がマシ」とも言える酷い案の連発です。
更にこの上で見送りが確定になったものの「年金受給5年繰り下げ強制」なども控えているのですから本当にゾッとします。
主に「時代にそぐわない」などと言う理由で「ふざけた案」ばかりが出てきているのですが、
「財源論」や「無理やり破綻している年金制度に固執」している人たちこそが「時代にそぐわない」人たちではないか? とすら思ってしまいます。
現行の年金制度は支払っている現役世代の負担が大きく、
多くの年金受給者は「年金が足りない」という、
不幸な人ばかりを量産します。
言わば「日本人減少装置」と言っても過言ではない程にふざけているのが年金制度なのです。
真水国債(返済不要の国債)を財源に出来ないのであれば、
ぶっ壊れた年金システムはさっさと廃止して今使える手取りを増やす方向にした方が良いでしょう。
ちなみに「手取りを増やす」ということで議席数を4倍にした国民民主党の玉木氏は
24年11月13日のJapan In-depth編集部の記事では、
『私は何で178万円にしたかって、かなり大きな引き上げなんですけど、そうすることによって178万円まで少なくとも税金はかからないんだから、そこまで働くと結果として106万円、130万円の壁を超えてるんで、確かに社会保険料負担は生じるんだけど、将来の年金は増えるし、かつこれ飛び越えるので、多少増えた保険料負担を補ってあまりある減税があるので、世帯全体としては結局負担は減るので、こういうことも合わせて説明していきたいなと思ってるんですね。』
と述べて、手取りが増えない根本原因である年金制度の現状を肯定しています。
どの政治家も現実が見えておらず「悲惨」とも言えます。
今のままでは本当に「経済苦で安楽死」の社会まっしぐらだと思います。
国民側から年金制度の根本の見直し、廃止(自己積立に完全移行)を迫らなくてはいけないでしょう。
このように悲惨な現状を分析し、少しでも良くなりそうな案について発信していきますのでどうぞご覧ください。