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信長英雄記〜かつて第六天魔王と呼ばれた男の転生〜  作者: 揚惇命
2章 オダ郡を一つにまとめる

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99話 火を吹く城門?

 ワシヅ砦では、初戦が上手くいったこともあり、志願兵たちの士気も鰻登りだった。

 それどころか5日経っても攻めてこないので諦めたのでは無いかと油断する者や初めての人殺しで悦に入る者たちまで現れた。

 それを引き締めたのは、テキーラ・バッカスである。


「見たかよ。あの敵兵の恐れ慄く顔をよ」


「全くだ。それにあんなに簡単に人って殺せたんだな」


「それにしてもあれから5日も沈黙とか。案外肝の小さい連中なんじゃねぇか」


「鎮まれ!簡単に人を殺せた?お前たちが殺した者たちにも帰りを待つ家族がいたということを決して忘れてはならん!戦というのは、双方に悲しみしかもたらさん愚かな行為なのだ。だが、我々は国を守るために心を殺して戦っているんじゃ。そのようなこと2度と申すで無い!それに、敵が攻めてこないのは、こちらの初戦の大勝によって、軍議を開いたということじゃ。戦はこれからが本番だと心得よ。人を簡単に殺せたなどと悦に入る者は、次は我が身と心得よ!それぐらい、戦というのは人がバタバタと死んでいくんじゃ」


「オッサン、良い演説だったと思うぜ。アイツらも身に沁みただろう。ありがとよ」


「ふぅ。お前の策であれだけの人間が死んだのだ。辛くはないか?」


「辛く無いと言えば嘘になるが。しなければならないことをしたと言い聞かせてるよ」


「お前はもう立派な軍人じゃ」


「褒め言葉として受け取っておくか。嬉しくはねぇけどな。おい、お前ら飯食ったら集まれ、次の策を伝えるからよ」


「イモ軍師、承知した」


「イモ軍師の策とあらば」


 すっかり初戦の作戦が上手くいったことで、ジャガ・イモに心酔しているクライナーとコカレロが後に続く。


「まぁ、初戦にインパクトを与えてやったことで、騎馬の多い敵さんは、攻め口を北門に変えるはずさ。ここで、あわよくば1人敵将を討ちたいって考えてんだが。特に初戦の馬鹿とかな。狙い目だ。ああいう突撃しかできない奴らへのトラップを考えた。火を吹く城門だ」


「おぉ。火を吹く城門とは」


「流石、イモ軍師ですな」


「いや、まだ作戦については、何も言ってないんだがよ」


「で、火を吹く城門とは」


「まぁ、使えんのは、一回限りなんだが、多くの敵兵を火だるまにできるはずだ。まぁ、このトラップのために北門には予め燃えやすいものを多く配置しておいたんだが。後は北門に敵が触れたと同時にまるで城門が火を吹いたかのように演出するだけさ。1人でに付いた火が敵だけを燃やすようにな」


「なんと。そのようなことが可能なのか!?」


「火に風を加えるとな。よく燃え広がんだよ。バックドラフトって、知ってっか?押し込めた空気が一気に流れることで、弱まってた火が爆発するって燃焼方法なんだけどな。どういうわけかここの城門は二重扉になっててよ。中に空気を閉じ込める空間ができてんだよ。それを解放したら小さな火種だろうが燃え広がって、敵を焼き尽くしていく。まぁ、悪魔の所業だな」


「ん?つまりどういうことだ?」


「外側の扉のかんぬきだけ予め外しといて空気が漏れないようにだけしておくのさ」


「ふむふむ」


「その後、門を開けた敵兵が燃えるって寸法さ」


「ほほぉ。凄いじゃないか!」


「まぁ、成功したらの話だけどな」


 西門ではなく北門を攻め口に選んだマッサカー・ゲスターの後ろにサム・ライ、その後ろにライアン・プリスト、最後尾にリチャード・パルケスと続く。


「ゲババババババ。結局全員お出ましじゃ無いか」


「作戦通りとなった。協力に感謝しよう。マッサカーよ」


「ゲババババババ。あぁ?協力だ?んなことしてねぇけどな。ワシは、暴れられりゃ良いんじゃ」


「叔父上、その」


「なんだい、ライアン?」


「キチョウは、元気にしてますか?」


「あぁ、元気だよ」


「そ、そうですか。あの叔父上、さっきはすみませんでした」


「気にしてないよ」


「あの、叔父上」


「無理に話そうとする必要はないよライアン」


「あっ。はい」


 リチャード・パルケスは、考えていた。

 おかしい。

 ここまで、何の抵抗もなく。

 まるで、僕たちを門に近付けるのが目的みたいに。

 マズイ。


「全員、離れるんだ!」


 リチャード・パルケスの言葉など聞かず、門に手をかけたマッサカー・ゲスターは、次の瞬間勢いよく燃えて、転がり回ったことと爆発的な炎によって、そこら中が火の海となって、連合軍の兵士を焼き払った。


「熱い、熱い、熱い、水、水、水」


 そんな呻く声がそこら中から聞こえる。


「敵の軍師は恐ろしく狡猾だね。こんな、悪魔の所業を実行に移すなんて」


「言ってる場合では無い。マッサカーをまだ失うわけにはいかん。我らは援軍という大義のため。いや、もう良い。そんなの関係なく」


「これは大失態ですよ。これだけの軍を率いて、城の一つすら奪えなかったんですから」


「まだ、終わってない」


「いや、終わりだ!この現状を見て、まだ無駄に兵の命を散らすと言うのか貴様は!」


「そんな口を聞いても良いのか?デイルに全く役に立たなかったと告げ口してくれるわ!」


「勝手にすれば良い!俺は、助けられる命を優先する」


 リチャード・パルケスは、心の中で溜め息を付いて、今後の作戦を考えていた。

 はぁ。

 兄さんに怒られるな。

 でも、これが足並みの揃わぬ連合軍の実情と敵の結束力の高さだよ。

 後方の俺たちの被害が少なかったことだけでも。

 この後は、しばらく睨み合いだな。

 無駄な突撃をやめて、包囲を狭めて兵糧攻めを行うしか無いか。

 時間稼ぎが目的ならそっちの勝ちだよ。

 まだ見ぬ軍師殿。

 ここまでお読みくださりありがとうございます。

 ブックマーク・良いね・評価してくださいますと執筆活動の励みとなりますので、宜しくお願いします。

 それでは、次回もお楽しみに〜

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