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信長英雄記〜かつて第六天魔王と呼ばれた男の転生〜  作者: 揚惇命
2章 オダ郡を一つにまとめる

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95話 大酒飲みのバッカス卿

 話は少し前に戻り、ショバタ城からワシヅ砦へと民を無事に避難させたテキーラ・バッカス。

 又の名を大酒飲みのバッカス卿と言う。

 普段は貴族として、奴隷や民に厳格な立場を貫く一方で、戦となれば、手柄を挙げたもの問わず全員に酒を振る舞い生き残ったことを喜び合うことから大盤振る舞いと酒豪という2つを合わせて、大酒飲みのバッカス卿と一部では慕われている貴族である。


「まさか、オッサンがあの大酒飲みのバッカス卿だったとは」


「ワシは、人一倍厳格で普段は差別意識の塊であった。だが戦となれば、全ての人間に酒を振る舞っておった。何故かわかるか?ジャガ・イモよ」


「その区切り方だと何だか貴族になったみたいでむず痒いぜ。豪快なアンタの性格だ。皆に少しでも戦の痛みを忘れて欲しかったのではないか?」


「ガハハ。そんなカッコいい理由であれば良かったのだがな。ワシは、酒に逃げていただけよ。率いていた兵を自らの采配で死なせ。農民や奴隷は、最底辺だいくら死のうが関係ないと自分に言い聞かせてな。グビグビ」


「なら、良いじゃねぇか」


「何がだ?」


「そんな罪悪感を持てる人間が正しい人間に仕えて働けるんだ。これ程、嬉しいことはねぇ。だろ?」


「ガハハハハ。確かにそうじゃ。お前は、良い男じゃ。ワシは何も見えておらんかった。この歳にもなって、本当にかっこ悪い男じゃ。ジャガ・イモよ。ワシに仕える気はないか?」


「俺が?祭りにも参加してねぇ。畑しか耕せねぇ男だぜ?」


「それこそ、何の問題がある。ワシは、お前に諭され乗せられて、殿に手を貸すと決心した。ワシが再び、道を間違えぬようにお前に側で、支えて貰いたいと思うことは悪いことか?」


「そんなこと言われたら断れねぇな。それになんかその名前の区切り方、気に入っちまったしな。領主様も名前を自分で決めて良いって言ってたな。その名前で申請してみるか」


「おぅ。そうせよ。ジャガ・イモ、お前は今からワシの軍師じゃ」


「いや戦の経験すら無い人間が軍師は無理だろ?せめて、相談役ぐらいにしてくれ」


「ガハハハハ。出世欲のない奴じゃな」


 時は経ち、ワシヅ砦にも戦況報告が届き、その話を聞くテキーラ・バッカス。


「そうか殿が優勢なのだな」


「はっ。初戦にて、公爵家の1人モンテロ・ハルトの奇襲を受けましたが、これを迎撃し、逆に討ち取る御活躍。マーガレット・ハインリッヒによって、ゼンショウジフォートこそ落とされましたが。その後は、マルネキャッスル、ナルミキャッスル、オオタカキャッスルと制圧し、残すはスエモリキャッスルと以下の伯爵以下の貴族たちの籠るイヌヤマキャッスルのみです」


 フォートとは砦の英語表記。

 この世界で砦・城と呼ぶのは、サブロー・ハインリッヒぐらいである。


「そうか。流石、殿だ。開幕して、半年でそこまで追い込んだか」


「だから言っただろオッサン。領主様に付いて正解だってな」


「うむ」


 そこに慌ただしく、見張りを任せていた兵が入ってくる。


「ほ、ほ、ほ、報告を。国境にナバル郡・チャルチ郡・マリーカ郡の大軍が現れました。それだけでなく、血塗れ辺境伯のゲスターが貴族を率いて、このワシヅを狙っております!」


 辺境伯とは侯爵と伯爵の間にある貴族のくらいである。

 マッサカー・ゲスター辺境伯、反抗的な領民を斧で真っ二つにして、身体を血まみれにしながら笑って、躾だと言いのけた殺戮者である。


「ナバルにチャルチにマリーカの連合軍だけでなくよりにもよって厄介なゲスターまで、軍勢を率いてくるとはな。ガハハハハ」


「テキーラ様、笑っている場合では、早く領民を」


「この囲まれている状況で何処に逃げるとゲスターにでも見つかれば容赦なく斬り殺されるだけぞ。かといって、このワシヅフォートで戦える兵はワシの率いる正規兵2千のみ。やれやれ、いつかは押し切られよう。領民を集めよ」


「何を」


「ここで戦うって言ってんだよオッサンは。ほら、サブロー様んとこに報告してきな。時間稼ぎはしてやるってな」


「そのようなことサブロー様は望みません。お願いします。このワシヅを放棄して」


「ならん!ワシは、もう逃げぬと決めたのだ。それにワシが稼ぐ時間で、殿がより良い手を考えられるのならこの命、惜しくは無い」


「それに女、子供、老人を連れて、逃げたとして、追いつかれた背を打たれるのは目に見えておる。戦とは、どこまでも非情になるのだ。その点、敵はゲスターを選ぶあたり、容赦するつもりがないのは明らか。このワシヅフォートの中の方がまだ心休まるであろう。案ずるな。戦えぬ民たちのことも考えておる。殿に、最期に償う機会をいただけたこと感謝すると言伝を頼まれてくれるか?」


「もう覚悟はお決まりなのですね?しょ、承知しました。テキーラ様の勇姿は必ずサブロー様に」


「すまぬ。今まで、見張りの任、大義であった。さぁ行くのじゃ」


 こうして、見張りの兵をサブロー・ハインリッヒのショバタ城に伝令として送ったテキーラ・バッカスは、民を前に包み隠さず話す。


「テキーラ・バッカスじゃ。間も無くここは戦場となる。戦えぬ者は、至急、地下に食料と水を運び込み隠れるのじゃ。ワシは殿のためこの命尽きるまで、できる限りの時間を作るつもりじゃ。ワシと共に死んでも良いと気概のある者は、武器を取れ、敵を迎撃する!」


 女、子供、老人、家族のある者は、地下に身を隠し、身寄りの無い者たちは、武器を取った。

 何人かの成人男性は家族を優先したことを誤っていた。

 その者たちに対して、テキーラ・バッカスは声をかける。


「感謝する。お主たちが隠れることで守られる命もあるのだ。お主たちが女・子供を守るのじゃ。良いな?」


「か、必ず」


「うむ。戦える者たちは、弓と槍を持て!我らの生き様、敵に見せつけてやろうぞ!」


「うおおおおおおお!!!!!」


「(殿、どうかこの国をより住みやすい世に変えなさいませ。こんな当たり前のことすらわからぬ奴らが今後現れぬように、殿が目指す世を作りなさいませ。そのためにこのテキーラ・バッカス、この命、燃やしましょうぞ)」


 テキーラ・バッカスの命運やいかに。

 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

 ブックマーク・良いね・評価してくださいますと執筆活動の励みとなりますので、宜しくお願いします。

 それでは、次回もお楽しみに〜

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