2.〜過去〜菜穂海と浴衣
高校2年の夏
ひぐらしが鳴き始める少し前
毎日怠惰な生活を送ってる俺には苦痛な登校日
だが今日は違う、もうすぐ花火大会だからだ!
毎年俺は友達と行ってるが今年は違うのだ!
今日は頑張ってあの子に花火大会へ行く約束をするからだ!!
誘ったら来てくれるか?そんなのわからない断られたらそこまで俺の青春は終わる
まさに背水の陣そんな気持ちで今日誘うつもりだ
学校に行き席に向かう
「おはよう、久しぶりだな」
「おはよう慶太君久しぶりだね」
軽く挨拶をして俺は席に着く
そう俺が今日誘おうとしてるのはこの子
七草菜穂海である
よくあるクラスで1番とか学年1美人とかそんな子では無い
どちらかと言うと地味そして大人しい
いつも長い髪を三つ編みで一つにまとめていて
少し大きめなメガネをしている
クラスでも極力大人しくて目立たなく基本いつも1人で本を読んでるそんな高校生活の彼女だ
だが俺は知ってる
そんな七草さんの笑った時の笑顔がめちゃくちゃ可愛いという事を
あれは偶然彼女が読んでる本を俺が読んだことあるやつでそれがかなりマイナーな本だった事もあり、俺はつい話しかけた事があった
その本について七草さんと話してる時ふいに彼女が笑った事があり普段は感情を顔に出す事がほぼ無いからそんな不意打ち的な笑顔に俺は一目惚れしてしまったのだ
とそんな事を思い出してたらいつの間にか終わって皆足早に帰ろうとしてるのに気がついた
俺は急いで横を見たら七草さんはまだ帰る準備をしていた
「なぁ七草さん」
「はい?どうしました?」
「その...なんて言うか...アレだ」
「アレ?ですか?」
もぅー!!なんで上手く言葉が出てこないんだよ!あんなにイメトレしてバッチしと思ったのに...
「そうアレだアレ花火大会」
「そう言えば明後日ですね...」
「そう明後日!!それでその...」
「ちゃんと言ってくれないとわからないですよ?」
流石にここまで話をして何を俺が言いたいか確信したのか、七草さんは悪戯っぽく少し微笑んで俺を見ていた
(そんな顔もするのか...)
「あ...明後日17時に校門前いいな!!」
「ふふっ♪一生懸命誘ってくれたという事で妥協点にします♪」
「い...嫌なら別にいいんだ無理にとは言わない」
「逆にどうしてもと言ってくれるなら私は喜んで行きますよ?」
「くっ...どうしてもだ!これでいいだろ?」
「はい♪それじゃ楽しみにしてますね♪」
俺は自分の顔が真っ赤になってるのがわかった
七草さんもなんだかんだ言いながら見たら、耳まで真っ赤になって照れ笑いしてた
か...かわいい...
「あっ!そうだ七草さん良ければ連絡先交換しないか?ほ..ほら待ち合わせとか色々便利だしさ」
「えっ?...そういえば連絡先知らなかったですね是非交換しましょ♪」
俺達は連絡先を交換してその日は下校した
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花火大会当日
俺は時計を見てはソワソワしながらまだかまだかとワクワクしていた
何気に初めて女の子と行く花火大会。
しかも、相手は俺が好きな人となると逸る気持ちも仕方ない
付き合ってはないけどコレっていわゆるデートになるのか?
いやいやまだ付き合って無いんだからコレはアレだ2人で遊びに行くだけだ
そう!それだ!
チラッと時計を見る16:30になってた
「やべ!そろそろ行かないと!」
俺は慌ててボディバッグに携帯と財布を入れ家を出た
学校までは15分位だから少し早めに着く予定だ
道すがら横切る人達に目をやると浴衣を着てたり花火大会に行く人達を見かける
七草さんも、もしかして浴衣なのかな?
俺はそんな淡い期待を抱きながら歩いた
校門に着いたら、浴衣を着てる人が1人たってた
髪を下ろしたロングヘアー
ほんのり化粧をしててよく言うナチュラルメイクってやつだ、横顔を見るだけでも綺麗だとわかる
俺は七草さんがまだかと思って携帯の時計を確認した
15分前だしそろそろ来るかな?
そんな事を考えてたら、背中をツンツンされた
来たのかと思い振り向くとさっきの綺麗な女性がコチラを睨むように見上げてた
「慶太君絶対わざとでしょ?」
「はっ?え!?その声七草さん!?」
「ココで待ち合わせって言ったのは慶太君でしょ?他に誰がいるのよ?」
いやいや学校でのイメージとかけ離れすぎだろ!?
てか近い!!それになんかほんのり甘い匂いまで...
俺が知ってる七草さんは何処に!?
とりあえず、この早まる心臓を落ち着かせないと七草さんにバレちゃう....
おちつけ俺!普段通りに話せば大丈夫!
「ごめんその...いつもと雰囲気が違ってて気が付かなかった」
「せっかく浴衣着てオシャレして驚かそうとしたんだよ?」
「驚いてるのは確実だからそこは安心してくれ。その...あまりにも可愛くて...あっ!いやいつもが可愛くないとかじゃなくて!その....いつもより綺麗だ....」
改めて七草さんだと認識してから浴衣姿を見て
凄く可愛くて俺の知ってる七草さんと違って、すごく眩しく見えた...なんてそんな事とても言えないよな...
「もう!そんなに可愛いとか綺麗とか言って褒めてくれても気づいてくれなかったのはショックだったんだからね?」
「それは本当に悪かった!!お詫びになにか好きなの奢るからそれで許してくれ」
「はぁ...わかったわそれじゃあれ買ってもらおうかしら♪」
「アレとは?」
なんか凄く高いの買わされそう?
ま...まぁ今日の為に財布には沢山入れてきてるから大丈夫だよね?
「ふふっ♪わ・た・が・し♪」
「はぁ?わたあめで良いんだな?」
「そう綿菓子♪それもすっごく大きいやつだからね?」
「わ...わかった、とりあえずすごく大きなわたあめ作って貰えるように言ってみる!」
「ありがとう慶太君♪楽しみにしてるからね♪」
そう言って嬉しそうに笑う七草さん
やばい...俺の心がどんどん七草さんの事で支配されてく....
「それじゃそろそろ行こうか♪」
「あ...あぁ行くか」
俺達は並んで歩きながら屋台のある会場まで歩き出した
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