23話 悪魔王
「吾輩の眷属3魔将! そして数十柱の眷属達よ!!」
その後ろに数十体もの悪魔達が召喚された。
「ん? 魔王様どうしたそれ?」
「ほ、本当です! 魔王様! どうされたのですかそのお怪我は!?」
「あれ、あそこに転がってるのはセルドスか?」
「そんな事はどうでもよい! お前ら! こいつらを殺せ!!」
「こいつら? ああ、あれか」
「なるほど、だから私達が呼ばれたのですか」
「あれ、人間か?」
そして、自称魔王が3体の悪魔に命令をする。悪魔だから柱だったっけ?
それにしても50柱以上はいるか?
黒い集団がこの部屋に蔓延るように立っているのは圧巻だ。
「ふはははっ! なんじゃなんじゃ! 雑魚が来おったぞ! 妾にやられに来たのか!!」
「はははっ! これはいい! あの悪魔だけでは不完全燃焼だったのだ。暴れさせてもらうぞ?」
そう言いながらアルデとティオルが前に出る。
「なんだ、幼女とメイドか? お前ら一瞬だ!」
「ですね。余裕でしょう」
「あれ、2人だけか?」
悪魔3柱もこっちに向かってくる。
「スノハラ! こいつらは妾にやらせるのじゃ! 撃ち足りないのじゃ!」
「いや、待て幼女。我がやる! こいつらなら遠慮はいらないだろう!」
「いや、妾がやるのじゃ!」
「いや、我がやる!」
アルデとティオルがどっちがやるかで揉め始める。
俺的にはどっちでもいいんだけど、やるなら早くしてほしい。
「おい、お前ら。早く決めろ。じゃないと俺がやる」
「待つのじゃ! わかった! じゃあ早い者勝ちじゃ!」
「それはいい! 乗った!」
「お前らこいつら全部だぞ」
「わかっておる!」
「わかっている!」
そしてアルデとティオルが悪魔の方を向く。
「おいおい、俺ら舐められてるぞ?」
「ですね。思い知らせてやりましょうか」
「あれ、やるか?」
そして悪魔3柱が声を上げる。
「お前ら! こいつらを殺せ!」
「お前達! 魔王様に反逆する、この不届き者達を消滅させなさい!」
「あれ、終わらせようか」
「「「おぉぉぉぉぉ!!!!」」」
その号令により、周りの悪魔達が地響きのように唸り、アルデとティオルに向かって飛び出す。
「ふははははっ! 一瞬じゃ!」
「はははっ! 我の方が早いわ!」
そしてアルデとティオルの魔力が膨れ上がり、同時に放つ。
「『絶対零度』!」
「『竜王の咆哮』!」
全てを一瞬で凍らせる魔法と全てを破壊する咆哮。
2つが合わさったからなのか、前見た時とは比べ物にならない程の威力で目の前の悪魔達が消滅する。
ついでに城の半分から上が消滅し、黒い空に金色の月が光っていた。
「ちっ! 貴様、妾に被せたな! しかし、妾の方が数体多く倒したのじゃ!」
「ふん、何を言っている? 我の方が多いに決まってるだろう!」
「なんじゃと!」
「そっちこそなんだ!」
まあ、かなりのオーバーキルだろうが、約束通り一瞬で終わった。
あと、2人はどっちが多く倒したかで揉めているが、それはどうでもいい。
「なっ……俺の眷属達が……」
「こんな魔力見た事ない……」
「あれ、強いのか……」
3柱が自分の眷属達が消滅した事によって、あり得ない者でも見た様な顔をしている。
それにしても、あの3柱も自称魔王も今の攻撃を避けたのか? それとも当たらなかったのか?
……俺はこいつら全部って言ったんだけどな。
「お、お前達! 何をしている! こいつを! こいつらを殺せと言っただろう!!」
「は、はい!」
「すみません魔王様!」
「あれ、ごめん」
「早く殺せ!!」
何か言ってるが、もう終わらせよう。
もう待てない。
「おい、アルデ、ティオル」
「む?」
「ん?」
俺は剣を横に構える。
「伏せろ」
そして、雷が剣に纏わり付くように弾け出す。
「まっ……!?」
「主っ……!?」
「「「……っ」」」
「『雷光の断斬』」
剣を真横に振り抜く。
その一撃がアルデとティオルを掠めて、目の前の悪魔と自称魔王を斬り捨てる。
「ぐがぁぁぁぁぁ……っ!!」
目の前にいた3柱の悪魔は無言でその場に崩れ落ち、奥にいた自称魔王が斬撃によって苦しみ出す。
「がぁぁぁぁぁ……っ!!」
「……ちっ」
倒し切れなかったか。
健治が使ってたから「雷光の断斬」を使ってみたけど、思ってるより弱いのか。
他の悪魔は崩れ落ちてるが、俺の剣技を食らっても自称魔王が生きてるって事はそういう事だろう。
「あ、危ないじゃろスノハラ!!」
「そうだ! 掠ったぞ!?」
「お前らがもたもたしてるからだろ?」
アルデとティオルが抗議してくるが、そんな事は知らん。
「……なんだ、なんだこれはぁぁぁっ!!」
自称魔王が苦しみながら叫ぶ。
次はいつもの技で終わらせよう。
そう思った時……。
「くそが、くそが、くそがぁ!! お前らぁ! 来い!」
自称魔王が右手を前に突き出し3柱に向かって叫んだ。
しかし、そいつらは動かない。
「くそが! 使えん奴らめ! 早く来いぃ!!」
その瞬間、3柱の悪魔が何かに掴まれた様に飛び、自称魔王の下に集まる。
「『終焉の瀑魔』!!」
そして3柱の悪魔が黒い霧に包まれ……消えた。
「……」
こいつ、仲間というか部下を吸収したのか?
自称魔王の傷だらけの体が回復していく。
しかしまだ足りないのか……。
「足りん! 足りんぞぉ!! セルドス! お前も来い!」
次はセルドスを呼んだ。
セルドスも動ける様な状態じゃない。それにセルドスはまだ生きてる。
しかし、自称魔王は右手をセルドスにも向けて構えた。
「来いって言ってるだろうがぁ!!」
その瞬間、セルドスも何かにつかまれた様に飛び上がりセルゴラウスの元まで飛んでいく。
「愚弟が! 使えないなら吾輩の魔力の糧となるがいい! 『終焉の漠魔』!」
「……二ぃ……ッ」
セルドスが黒い霧に包まれる。
その霧がセルゴラウスの体に吸い込まれるよ様に纏わり付く。
そして自称魔王に吸収される様に黒い霧が吸い込まれ、その場からセルドスが消えていた。
「ふははははっ! 上位魔将如きでも吸収すればレベルは上がるのだな? 湧き上がってくるぞ! 力がぁ!!」
そう叫んだ瞬間、黒色の光に包まれる。
一言で言えば黒い繭。
「……なんだ?」
そして黒い光は収縮する様に自称魔王の体に吸収される様に消えた。
「ふっ、はっはっはっはっ! 最高だ! 最高の気分だ! 魔王の力に眷属達の力だ! そして、今日は最も悪魔の力が湧き上がる日だ!!」
その場には一回り大きくなった自称魔王が佇んでいた。
その魔力は大きく膨れ上がり、周りに黒い稲妻の様に目視できるほどの濃い魔力となっている。
さっきまで人間の様だった見た目が、セルドスの様に悪魔の見た目に変わり、黒い角と黒い翼と黒い尻尾を生やしていた。
「吾輩は進化したのだ! 「悪魔王」へとなぁ!」
そして威圧を放つ様に叫ぶ。
「ふははははっ! これで「幻想記」も手に入れたらこの世界に吾輩に敵うものはいない! 吾輩が最強だ!」
自称魔王は高揚しているのか楽しそうに叫んでいる。
「ほう? 最強だと? 妾を差し置いてか?」
「おい幼女? 我にも勝てないのに貴様を差し置いて最強ってどういう意味だ?」
「おい貴様、妾に喧嘩を売っているのか? 貴様から消滅させてやろうか?」
「そのままの事を言っただけだが? できるものならやってみるか?」
関係ない事でアルデとティオルが喧嘩をし始める。
「何をごちゃごちゃと言っている! 貴様らはここで死ね! 絶望するがいい!」
自称魔王が右手を構える。
その右手には今までとは違う量の魔力が集まる。
周りの空気が淀み、その場の生物の気力が失われる程に重くなる。
「む?」
「ん?」
「死ね! 『終獄闇夜』!」
黒い霧が一点に、あり得ないほどに濃密に集中し、巨大な塊となる。
近くにいるだけで魔力が吸われ、周りまでに影響を与える極大魔法。
その最強の魔法が放たれる。
しかし俺は、
「アルデ、ティオル、避けろよ」
「スノハっ……!!」
「いや、あるっ……!!」
それに合わせて、剣を上段に構える。
その動作に危機感を覚えたアルデとティオルが俺の目の前から飛び退こうとした。
その瞬間、振り下ろす。
「『龍轟一閃』!」
技の名の通り、龍をも一閃する一撃。
その一撃は迫りくる黒い霧の塊を両断し、四散させ、一線上にいた自称魔王セルゴラウスを斬り裂く。
「がはぁ……っ」
そして自称魔王はその場に崩れ落ちる様に倒れた。
一閃!
次回の更新は金曜日の昼ごろです。




