↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王は倒せるが、スライムが倒せない 〜最強魔王も倒せるけど、スライムが倒せないってどういうことですか〜  作者: 黄緑のしゃもじ
第3章「封惑の魔王」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/91

9話 光る通知石



「……えっ? エミルアリス様……?」


 前にいた女性が急に振り返り、驚きながらエミリの名前を言った。


 ん? 急にどうしたんだろう?

 エミリの知り合いか?


 ……待て、エミルアリス様!?


「エミルアリス様……!?」

「どうして王女様が……!!」

「こんなところに……? えっ……?」


 一人の声から、周りが徐々にざわめきだす。

 これはまさか……。


「お、おい! エミリ! 元に戻ってるんじゃ………!!」


「えっ!? ホント……!?」


 俺にはずっとエミリに見えているからわからないが、周りの反応が変わっているって事は、元の姿に戻っているって事だよな!?


「えっ? エミルアリス様?」

「王女様がこんな所に? えっ?」


 その声に人が集まりだし、その場が余計騒ぎになり始める。


「おにーさん、これは……」


 エミリが戸惑っているが、これは確実だ。

 ユリアの魔法が解けている。


 だったらこの状況はやばい……。


「エミリ! とにかく離れるぞ!」


「は、はい……って、きゃぁ!!」


 エミリをお姫様抱っこをする様に担ぎ上げる。


「ちょっと、おにーさん!?」


「少し我慢してくれ!」


 エミリが何か言っているが、そのまま走り出す。

 少し路地に入り、エミリの顔が見られないように素早く飛び上り建物の屋根に飛び乗る。

 そのまま屋根伝いにできる限り人が少ないところを目指す。


 俺のスピードならある程度は撒けるだろう。

 

「ここら辺でいいか……」


 屋根の上でいい場所を見つけてエミリを下ろす。


「ありがとう……」


 照れているのか下を向きながらお礼を言うエミリ。


「急にごめんな。あそこに居たら面倒くさい事になりそうだったし」


「うーうん。助かったよ」


「……しかし、ユリアの魔法が解けたのか? あれはユリアが解除しない限り1日は続くんだろ?」


 エミリの今の状態を考察する。


「うん。ユリアが解かない限りは1日は余裕で大丈夫。それぐらい強力な筈なんだけど……。でもどうして急に解けたんだろ……」


 もちろんユリアが自分で解くはずがない。


「……もしかして?」


「……そうか」


 だったら思い当たる節は一つしかない。


「ユリアの意識の消失……」


 エミリが呟く。

 エミリも同じことを考えていた様だ。


 ユリア自身が言っていた。ユリアの意識が無くなったら解けると。

 大抵の魔法はそれが条件で解ける事は多いから納得する。

 しかし、意識の消失って何が……。


「お、おにーさんポケットが……光ってる!?」


「……えっ?」


 エミリに指摘をされてポケットを見ると光っていた。

 そして入っているものを取り出す。

 これは……、


「『通知石』が光ってる……!?」


 エミリがそう言った瞬間光が消えた。


「消えた……これって……」


 これが光らせるには対になってる方に魔力を通さなければならない。

 つまり光ったって事は魔力を通したって事だ。


「ユリアが俺を呼んだ……?」


 ユリアは俺を呼ぶためだとこの石を渡した。それぐらいしかこの石の役割はない。


 今ユリアの魔法が解けてエミリが元に戻った。

 そしてそのタイミングでこの石が光ったってことは……!


「襲われてる……? ユリアが襲われてる!? おにーさん!! ユリアが……!!」


「ユリアが……?」


 考えたくはないがそれが1番確率が高いと感じてしまう。


「……今日は外に出る予定もなかったし、ユリアは1日中城の中にいるはず……。だったら周りには騎士達がいるし、今の見た目はユリアじゃなくて私になってるから絶対に助けるはず……」


「だよな……城にいたら安全だよな?」


「……っ!! もしかして、あの2人が……?」


 物々と言いながらエミリが考え始める。何か気になる事があるんだろう。


「いや、あの2人は昨日帰ったはずだし……それにユリアを狙う理由がない……いや、それしかない?」


「どうした? わかったか?」


「……とにかく城に戻ります」


 エミリの口調が変わった。

 エミリではなく王女であるエミルアリスに。


「わかった」


 その言葉を聞いた瞬間エミリを担ぎ屋根から飛び降りる。ちょうど誰もいなかったので、その場で下ろし城に向かって走る。


 さっき屋根の上を走って城に近いところまで来ていたので、すぐに城の門に到着する。


「はぁ、はぁ、はぁ……貴方少しいいですか?」


「ん? なん……っ!! エミルアリス様!?!? ご、ご無事でしたか!?」


 門の前にいた騎士に声をかけるエミリ。

 そして声をかけられた事ではなく、エミリが目の前にいる事に驚いている。

 この反応まさかな……。


「その反応……やはり、そうなのですね」


「本当にエミルアリス様なのですね! ご無事で何よりです! ……おい! お前、ちょっと来い!」


「はい! ……っ!? エミルアリス様!?」


 エミリと話していた騎士に呼ばれた騎士もエミリを見た瞬間目を見開き驚いた。

 まじか、考えたくないぞ……。


「エミルアリス様が帰ってこられた! お前はカルデム様に伝えよ! 私はエミルアリス様を陛下の元に連れて行く!」


「はっ!」


 そして走っていく騎士。


「ご無事で帰ってきてくださりうれしい限りです! さあ、陛下がご心配されております! 向かいましょう」


「わかりました。とにかく向かいます。スノハラ様も……」


 エミリの呼び方が変わった。

 仕事柄だし仕方ないけど少し寂しいところがあるよな。おにーさん呼び気に入ってたからな。


 そんな事を思いながらエミリに続こうとしたが。


「……ん? そちらの……お前はクシカツのスライムか!? どうしてエミルアリス様と一緒にいる!? エミルアリス様、何があったか知りませんが流石にこの者を連れて行く事はできません! それよりもこいつと一緒に居た事が大変な事ですが!!」


「……そうですか。わかりました、仕方がありません。スノハラ様、少し外でお待ち下さい。後で情報を伝えますので」


 エミリの目が真剣だ。それにこんな所で俺が駄々をこねる必要もない。

 とにかくユリアが心配だ。


「わかった」


「ありがとうございます」


 そしてすぐに俺に背を向け騎士と城の中に入っていった。


「しかし、あの騎士の反応……多分エミリの姿をしたユリアがいなくなったのは、確実か」


 そう見当をつける。

 あそこまで必死に騎士が走り回ってるって事は、考えたくないが確実だろう。

 つまり今いないのはユリアって事になる。


「エミリの反応も見ると、攫われた線が濃いよな……」


 考えたくない。あのユリアが攫われたと……。


「別に攫われただけなら助けに行けばいいけど、1番最悪なのは殺されたことだ。それだけは絶対に考えたくない……」


 とにかく今できる事は、攫われたと仮定して助ける準備をする事だ。

 あいつらを呼ぶか。


「『念話』!(おいアルデ! ティオル! 聞こえるか?)」


 俺の魔力ならこれぐらいの距離は余裕だと思うが……。


「(む? スノハラか? 聞こえるがどうした?)」


「(主? 我も聞こえるぞ? どうした?)」


 繋がった様だ。


「(簡潔に言うぞ。とにかく2人はセンリスクの城まで来てくれ! ユリアが攫われた! 助けに行く!)」


「(なんじゃと!? ユリアがか! 誰にじゃ!!)」


「(ユリア嬢が攫われた? わかったすぐに向かおう!)」


 ふたつ返事で来ると言うとは、いつのまにかこいつらにも慕われていたんだな。


「(よし。詳しくは来てから話す。店の事はハマさんに伝えてくれ!)」


「(わかったのじゃ!)」


「(ティオルはドラゴンの姿になっていいから急いで来てくれ! アルデも乗せてやってくれ)」


「(幼女を乗せるのか……仕方がない、わかった。すぐに飛んで行く!)」


「(幼女じゃ……)」


「(頼んだ!)」


 アルデが何かを言う前に「念話」を切る。

 これで移動手段と戦力はできた。俺1人でも大丈夫だろうが、打てる手段は打っておく。


「よし、あとはエミリの所に……『隠密』」


 気配を消し城の周りの壁を飛び越え中に侵入する。

 エミリに待っていてと言われたがバレなければいい。

 多分エミリは王の間に向かってるだろう。どこに連れ去られたのか少しでも情報を手に入れたい。


 俺は身を潜めながら廊下を走る。

 この状態ならぶつかったりしない限り見つかる事はないだろう。


「……見当たらないな。もう王の間に着いたか?」


 しかし、王の間に近づくがエミリの姿は見当たらない。もしかするともう着いたのだろうか。


 そして廊下を駆ける騎士達に見つかる事なく王の間に到着する。


「陛下! お連れ致しました!」


 ん? ちょうどエミリが到着したところみたいだ。


 王様が中央の椅子に座りその横に騎士団長がいる。

 そして入り口近くにエミリと側仕えらしい女性とさっきの騎士が立っていた。


「え、エミルアリスか? 本物か!?」


「はい、お父様。エミルアリスでございます。事情は少し聞きました」


 エミリが王様の目の前に一歩出る。

 俺はその様子を大きく開いていた扉の影に隠れて見る。


「おお、まさしくエミルアリスだな! 良かった! 其方が戻ってきてくれて良かったぞ! おいカルデム! エミルアリスの捜索、救出は終わりだ! 指示をせよ!」


「はっ!」


 王様から指示を受け、騎士団長が周りに指示をし始める。

 しかし、その指示にエミリが割って入る。


「カルデム、その指示は少し待ちなさい。お父様、騒ぎ立ててしまい申し訳ございません。しかし、その捜索はまだ必要になるかと思います」


「どう言う事だ?」


 王様は首をかしげる。


「まずお聞きしたいのは、その捜索は私が目の前で消えたからではないのですか?」


「そ、そうだエミルアリス! 目の前で消えたと其方の側仕えから聞いたのだが……。消えたのではないのか!?」


 王様はエミリの後ろにいる側仕えらしい人物を睨む。

 しかしエミリが後ろの側仕えを庇うようにすぐに否定した。


「いいえ、お父様。側仕えのメリルの言葉は真実です」


「……む? 何を言っている? 意味がわからない、どう言う事だ? ……そういえばその格好」


「はい。私は今まで外に出ていました。申し訳ございません。しかしこの騒ぎとは別な事で出ておりました」


「外に出ていたことは認めるのだな。それについてはしっかりと処罰を与える。しかしこの騒ぎとは別だと?」


「その話は後でしっかり話します。その前に、攫われたのが私ではない事を話しましょう」


 そう言ってエミリの目がいつも以上に真剣になった。




     

確実にユリアは攫われてる感ですね。

さて盛り上がってきます!

次回の更新は今日! 18時頃です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。