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親戚の再婚で増えた身内が推してるアイドルだった件  作者: 一之瀬葵翔
第5章:地下アイドル、はじめました。
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どうしたんですか?

「ちょっ、それはダメでしょ?だって俺はロスヴァイセのオタクですよ?」


「そ、そうそう!SNSとかでやり取りするならまだしも連絡先交換したら…」


 絵梨の発言に驚きながらもそこはダメだと否定する2人。

 しかし、絵梨は話を続ける。


「いや、こいつは別枠じゃない?そもそも独立するときにだってかなり助けてもらったし、今だってこうして家のスタジオ借りようとしてるし。本名と家まで知ってて、世話になってて、逆にもう今更じゃね?それに芽依だってロスヴァイセとこいつの関係知っちゃったし。そこはしっかり口止めしといたけどさ。親御さん経由で、とかDMで~、とかで話が進まないのも嫌だし、他のメンバーだったらもう確実に繋がりになるけど。お前ら2人なら親戚なんだし、2人だけで会うとかならまだしも連絡先くらいなら親戚なんで一応知ってますよ、で済むじゃん」


 そう言われるとぐうの音も出ない。

 確かにそうなのだ。独立の時から何かあると藍那は魁人を頼るようになった。

 直接コンタクトを取ることはないが、藍那の母である愛依子が清水家による際についてきて、魁人の部屋で過ごすこともある。

 アイドルとしての相談や、ファンの要望を探ったりすることが多いが、普通にマンガを借りて読んだり、勉強をしたり、ゲームをしたり。

 アイドルとヲタク、ではなくそれこそ同年代の親戚、として接する時間が増えている。

 もう2人の境界線はあいまいで、唯一ステージや物販に立っているときだけが明確に立ち位置を区別している状況で、連絡先の交換、という最後の砦が崩れるとどうなるのか。

 親戚と言っても、血の繋がりはなく、親等も離れている。

 付き合ってしまっても、その先の結婚でさえ、問題はない。

 ただ、アイドルとそのオタクという周りからすればどうでもいい、でも2人にとってはとても重要なその立ち位置だけが縛っているだけで。

 そこから踏み出すきっかけになる。

 おそらくそれを2人は恐れているのだ。


「でも、でもさ…」


 藍那が何かを言おうとするが、それをあやめが手でやんわりと制止して、こう言った。


「それは別に契約してからでいいんじゃない?ここで無理矢理交換させたところで契約できなかったら私達が繋がらせてしまうことになるわ」


「そりゃあ、そうだけど…」


「確かに1番魁人くんと連絡先交換しても問題がないのは藍那よ。でも、契約する以上は誰か大人が責任を取らなくちゃいけない。だったら私が交換したっていい。といっても今オファーを受け付けてるメールアドレスと電話番号くらいだけどね。でもそれは関係者さんたちも知ってるから。たまたまスタジオ探してたら人づてに聞いて、連絡してみたら魁人くんの家だった、でも話としてはいいじゃない」


「ま、まぁな…」


「連絡先云々は一旦終わり!せっかく長いこと練習できるんだもん。まずはしっかり練習しましょ!」


 パン、と手を叩いてあやめが言うと休憩も終了。

 それぞれが荷物を片付けて再び練習する準備が整っていく。

 それを呆然と見つける魁人。

 その心中は穏やかではなく、そっとスタジオから出て再び家に戻ろうとする。

 玄関先、また誰かの影を見つけると怪しみながらも近付いていく。

 するとすぐに正体がわかり、声をかけることにした。


「どうしたんですか、愛依子さん」


 声をかけられた愛依子は、声をする方向を向き、魁人の姿を確認すると


「こんばんは。藍那がお世話になってます。今、ちょっといいかな?」


 そう言って、魁人の手を引き、玄関の扉を開ける。


「こんばんは~」


 愛依子の声が玄関に響くと、奥からパタパタと母が出てくる。


「あら、いらっしゃい愛依子さん!ちょっと遅かったわね」


「お邪魔しますね、麻衣さん。ええ、瑛二郎さんが帰ってきてね。お酒飲むって言うからおつまみ作ってたら遅れちゃって」


「へ~、珍しいわね。瑛二郎さんがお酒飲むなんて」


「最近忙しかったのがひと段落ついたからって。お祝いにいただいたスコッチ飲むんですって」


「そうなの、うちの人も誘ってくれたらよかったのに。こんなところで長々と話すのもあれだし、上がってちょうだい。あ、魁人。愛依子さんがあんたに話あるんだって。ちゃんと聞くのよ?」

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