こういうのどうでしょう?
今のところ、事実上の奇数日の日付変わってすぐ更新みたいになってホントすいません。
「それで、みんなに聞いてくれた?」
金曜の夕方、藍那、あやめ、魁人の3人は魁人の家のスタジオにいた。
配信強化のためにどういう配信をすればいいか、の答えを聞くために。
「ああ、聞いてきたよ」
「じゃあ、教えてくれるかな?」
あやめの言葉に、お茶を1口飲むと魁人は答える。
「今のままでいいかな?色んな人に聞いてみたけど、だいたいそんな感じ。あ、でも週1回はやってほしいって」
「今の…」
「ままでいい?」
藍那とあやめがきょとんとすると、ここからは魁人の気持ちを素直に話すことにする。
「あの、配信強化って聞いてさ。色々なサイトに手を出すのかな?って思って。最初知り合いで色々手を出してる人に話を聞いたんだ。そしたら有名どころがみんなやってる動画配信のところと、声だけの配信サイトを勧められて。俺、声だけの方ずっと色々聞いてたのよ。そしたらもうなんかさ、この前もめた連中みたいな奴ばっかりでイライラしちゃって。知り合いもそれで1本企画潰されちゃったみたいでさ。慣れてるっちゃ慣れてるけども、それでもリアルでもネットでも同じようなドロドロしたのに巻き込まれてほしくないって俺のワガママ。だって、頼めば無料で何でもやってもらえると思ってる、口だけ仲間仲間言ってる奴らの巣窟だよ?動画の方も新しいところで始めるけど、どこにしようってなった時にさ、勧めるならそこってだけなのよ。チャンスもけっこう転がってるけど、結局どこかの配信者事務所に所属して、公式にならないと無理って感じだし。それでらしさ、が失われたら本末転倒じゃん?だから、今のままでいいかなって。もちろん、今までだいたい2週間に1回くらい、じゃなくて週1回やってくれたらいいなってのはあるけど」
魁人が思いのほかしっかり考えてくれていたことに少し驚きながらも、2人は考える。
一瞬の沈黙の後、あやめが言った。
「そっかぁ…。確かにいつも使ってるサイトだけじゃなくて他のところでもやってみないか、って話は出たの。でも、その時はフリーになるために必死だったから時間がなくて結局やらなくて。それを今やってみたら、って気持ちはあったわ。でも、みんなはそうじゃなくていい、って言ってくれたのね」
「だったら、私達がやることって言ったら…いつものところで週1の配信は絶対やるってことだけでいいの?」
あやめの言葉に続いて藍那がそう言うが、その言葉にはまだ他に何かできることがあるのでは?そんな気持ちが含まれている。それを逃すあやめではなかった。
「確かにダンス練習の時とかでみんな週1回は集まってるから、その時にやれば問題はないけど…。それだけじゃ配信強化しました!って感じにはならないような気がするの」
2人の言葉を聞いて、その根底にあるのは俺達ヲタクに喜んでもらいたいって気持ちなんだろうな。
ファンのことを大事に想う、その気持ちはこういうところに表れるのかもな。
そう感じた魁人はやはり地下アイドル(笑)や配信者(笑)と推しは違う!と素直に喜んだ。
そして、ここで提案をする。
「あのさ、だったら週5日、6回配信すればいいんじゃないかな?」
「週5日って……、そんなにみんな集まれないから!それに6回って!ん?6回?」
週5日配信なら5回、みんなで集まって配信をするなんて藍那以外は全員仕事があるし、藍那ももちろん平日は学校で授業を受けている身。そこにライブが追加されたら時間的にも厳しい。たまたま日中に時間があったからと言って、他が集まれても藍那だけは無理なのだ。そう思って抗議をしたが、回数が1回多いことに気付く。
「そう6回。今までメンバーによってバラバラだった配信時間や回数を決めるんだ。毎週何曜日は誰々が個人のアカウントで配信します、ってね。それで週1回、練習かなんかで集まった時に全員での配信をする。そのあとその曜日の担当のメンバーが個人で配信。土日は遠征なんかがあるから、移動でできないかもしれないと思って外したけど。別に土日のどっかで全員配信とか個人配信とかやって週7日のうち6日、毎日誰かが配信するよ。でもいいんだ」
魁人がそのことを話すと、納得する藍那。
あやめも真剣な表情で考え始めていることから、なかなかいい提案だったのではなかろうか。
そう自分でも思っていると、今度はあやめから質問が飛ぶ。
「それはたぶんみんなのどうしてもダメな日とかをすり合わせたらできると思うけど、毎回雑談だと飽きない?」
「毎回雑談でも全然いいけど、だったらなんか月に1回共通で企画やったらどうかな?」
「企画って?」
「例えばさ、セリフリクエスト、みたいなのをしてメンバーに言ってほしいセリフを言ってもらうとかさ。せっかくの帯だからリレーで何か繋いでいくとか」
ここで魁人は思い出す。最近ハマったあのジャンルを。
そして、やってほしいって言うにはまたとない絶好のチャンス!
そう思った魁人は意を決して提案を続ける。
「あとはASMRやるとか?」
「ASMR?…ああ、最近流行ってるやつね。川の音とかでしょ?」
それはどっちかって言ったらヒーリングミュージックなんやけどな…。
藍那の言った言葉に心でツッコミを入れると、あやめが意外なことを言いだした。
「備品としてバイノーラルマイクを買って、夜遅めの時間に寝かしつけるライブ配信すれば…みんな集まってくれるかな?」
「…あれ?もしかしてASMR…好きです?」
「どうしても眠れない時に聞いたりするわ。けっこう好きかも。なるほどね、ありがとう魁人君。すっごく参考になったわ!じゃあこの結果は明日の練習の時にみんなに話すから、今後のことはその時に決めるわね!」
こうして魁人のミッションは終わりを告げた。
ただ、まだ魁人はカトラリーを完全には辞めていない。
確かに地下アイドルと似ているということは、あまりよろしくない人にも出会う。
その中で出会った、いい人までミッションが終わったから、と切り捨てるのは嫌だったからだ。
そして今夜も魁人はイヤホンをつけてベッドに潜り込むとカトラリーを開く。
聞くのはもちろんあの…。
これでこの章終わりです~!
配信者さん嫌いではないですよ?笑




