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親戚の再婚で増えた身内が推してるアイドルだった件  作者: 一之瀬葵翔
第2章:迫りくる時間
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君が君でいられるなら

更新遅れて申し訳ないす。

ちょっと別のルートにするか、このまま行くか迷ってました。

「本当にごめんね、魁人。最初は巻き込みたくなかったの。こうなった時にも一瞬頭によぎったし、初めて会って親戚になった時も、そのあとだって。本当は言おうと思ったの。でも言わなかった。踏ん切りがつかなかったし、アイドルとしての意地があったわ。プライベートで助けてもらうなんてって。やっぱり今もこれが本当に正しいのか迷ってる。だけど、時間がないから。魁人、私達を助けて」


「私達だって何もしてないわけじゃない。でももうみんなそろそろ限界なの。このままだと間に合うかどうか…。魁人君、よろしくお願いします」


 そう言って頭を下げる藍那とあやめさん。

 どうすりゃいいんだろうね。

 はっきり言ってここで金出しちゃうと「オタク」じゃなくなる。

 ここはこうだろ、って思って言ってしまうと藍那達も負い目があるからそれをしてしまう。

 そうするとみんなの望むロスヴァイセじゃなくて俺の理想のアイドル、ロスヴァイセになるから結局みんな疲れちゃうよな。

 でも、ここでやらないと終わりにぐっと近づいてしまう。

 それはそれですっっげぇ嫌だ。


「あの、さ…。あとどんだけ足りてない?」


「曲と備品のお金は大丈夫。あとは衣装代だけなんだけどそれが残り3人分で30万円くらい…かな?」


 俺の言った言葉にはっと顔を上げて答えるあやめさん。

 30万もあんのか…。全額出そうと思えば出せる。貯金の8割くらい吹っ飛ぶけど。

 そこまで俺がする理由はないんだよな、実際マジで。

 それに何かあった時、藍那に言えば俺がどうにかする、って思ってほしくないから。

 あ~、でも俺がここで何もしなかったら後悔するし、絶対解散ルート入るよな…。

 だから俺にできるのは…


「わかりました。30万で3人分ってことは1人10万ですね。藍那…、いやデイジーの衣装代として10万。残り20万円をメンバーで頭割りした1人残り4万。それのデイジー分、に1万足して15万円だけは出します。なんだかんだ半分負担することになりますけど、これ以上は出せません。それでいいですか?」


 デイジーガチ恋としてデイジーの面倒だけは見る、それだけだ。


「…うんっ!それで充分!むしろそれ以上よ、ありがとう魁人君!」


 あやめさんがそう言った瞬間、ふわっと香る甘い匂い。

 果物でも、花でもない、でも頭がとろけるような、そんな匂い。


「ちょっ、ちょっと!何やってんのよ、離れなさい!」


 藍那が叫んだのが聞こえて我に返ると、俺はあやめさんに抱きしめられていた。

 金を出すって言った瞬間に、俺は推しじゃない誰かに抱きしめられていた。

 何を言ってるかわからねぇと思うが俺もなんでこうなったのかわからなかった。

 推しの目の前でだぞ?テストで赤点とか、ガチャ爆死とかそんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。

 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。


「あっ、ごめん!嬉しくてつい…」


 そう言ってぱっと離れるあやめさん。

 その様子を見ると藍那が立ち上がって俺の手を引っ張り立たせる。


「ほら、善は急げって言うでしょ?コンビニ行くわよ!」


 1回ぐいっと手を引っ張るとそう言って俺の後ろに回って背中を押す藍那。

 その勢いに押されて俺はただなすがまま玄関に向かって歩いていくしかなかった。



 ○



 お母さん、コンビニ行ってくるね!あやめは部屋にいるから!なんて言って本当にコンビニまで2人で来てしまったわけで。

 中に入ると藍那は「ちょっと飲み物見てくる」なんて言ってふらっと奥に。

 俺は俺で入口近くのATMへ。なんだかんだ2ケタ万円引き出すなんて初めてだわ。

 はー、さっさとやっちまうか。


「魁人、あんた何飲む?」


ATMの前に立った時、後ろから声を掛けられる。


「ああ、俺緑茶。金あとで渡すね」


「はいはーい。あんだけ出してもらってお茶代までもらうわけのは申し訳ないからお茶は私のおごりでいいわ」


 なんてやり取りをしていざ引き出し。

 …案外あっさり終わったな。

 ATM横の封筒を1枚もらって、そこにマニーをスロットイン。

 さらに制服の懐にスロットイン。これで完璧。


「お待たせ~。じゃ、いこ?」


 コンビニの袋を見せながら藍那が外へと出ようとする。

 俺もその後に続いてコンビニから出ていくことになったんだが。

 なんかこれいいな。何気ない日常的な。

 そう思いながら歩く帰り道。電柱の横、明かりに照らされた藍那が立ち止まる。


「あの…、さ。自分で言っといてなんだけどさ。ホントにいいの?」


 俺に背を向けたまま、空を見上げてそう呟く藍那。

 なんて答えたらいいか迷っているとそのまま続きを話し始めたから俺は黙って聞くことにする。


「だって、15万円ってちょっと田舎の方だったら1ヶ月1人暮らしできちゃうんだよ?そんなたくさん…ホントにいいの?」


 言い終わった藍那の肩が少し震えてるのに気付く。

 巻き込んでしまったことへの後悔なのか、何なのかわかんないけど。


「いや、まあデイジーガチ恋ですし?それで解決できて?デイジーがデイジーでいられるなら?オタク冥利に尽きるってやつなんじゃないすかねぇ?」


 笑いながらちょっとふざけて言ってみたけど。

 いざという時に確実にアテにできる人間の頭数に入ってるって言うのは嬉しいことで。

 その期待にはできる範囲で応えてやりたい。

 って言うのは紛れもない事実なんだよな。


「ホント?」


「おう」


「ホントにホント?」


「おう」


「お金返すの待ってくれる?」


「卒業までに返してね」


 そこまで言ってようやく落ち着いたのかすん、と鼻を鳴らしてくるっと振り向く藍那。


「…本当にありがとう、さきがけ太郎。あんたが私のオタクでよかった。本当にありがとう、清水魁人。私、あんたの身内、になれてちょっと不安だったけどあんたが近いところにいてくれて本当によかった!!」


 電柱の明かりの下で目に涙を浮かべなから笑顔でそう言った藍那。

 不安が無くなったことで自分を抑える必要もなくなったその姿はどんなステージのデイジーよりも輝いて見えた。

コロナで色々大変だと思いますが、皆さん不要不急の外出は避けて感染しない、させない、を徹底しましょう。


犬の散歩の途中インスタ映えしそうだから公園寄って写真撮ろう、不要です。

今がシーズンだし、~~へ旅行に行こう、不急です。

暇だしみんなでどっか行こうぜ、不要不急です。


仕事、手洗いうがいを徹底して最大限気を付けて頑張りましょう。


偉大なコメディアン、エンターテイナーの死を他人事だと思わぬように。

心よりのお悔やみを込め、ご冥福をお祈り申し上げます。

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