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七大公爵家

更新遅れてすみません

 俺とセーネを含めた捜索隊は無事に、襲撃を受けることなく王都へと戻ることができる。

あまりにも大勢の武装をした人たちを見ても、王都の人たちは特に驚くような反応をしない。

すでに国の政策として防衛に全ての力をつぎ込むと発表をしてから、王都や学園都市、その他の大都市はもちろんのこと、国の端の小さな村にまで兵士を派遣をしている。

そのため物々しい装備をした兵士たちを見ても、すでにそれは当たり前の光景になってしまい、騒ぐほどのことではないのだ。


 もちろん国の全ての土地に兵士を派遣するなど、この国の大兵力を使えばわけのないことだ。しかし兵士は農民が主なため、質に期待をしては痛い目にあうのは注意をしないといけない。

また、警備の少ないところでは兵士ごと洗脳をされてしまうという失態を起こしたり、農民を徴収しているため来年の作物の収穫のめどがつかないなど、少なくはない混乱を起こしている。

それでも大規模な戦いは起こらずに、死者の数は激減していて戦況は膠着状態となっている。

暗黒魔道王朝もいたずらにこちらを刺激することはせずに静観をしている。


 テロ及びゲリラ作戦も少なくなってきているため、上の方の連中もほっとしているようだ。

うまく時期を見極めれば攻勢に移れる時も近いかもしれない。






 すでに見慣れてしまっている王城の中を歩く。

王城を見慣れてしまっているという時点で自分が一般人じゃないような気がしてくる。

そして王妃様の部屋まで案内されて、全員で豪華な部屋に入る。

中には王妃様と…エリーもいた。

王妃様はにこやかに、エリーはこちらの姿を見つけると嬉しそうな顔をしながらも、どこか複雑そうな顔をしてくる。


「捜索隊はレオン様とセーネ様を王都付近にて保護をしました」


 カイさんが一歩前に進み出て、膝をついて言う。


「よくやりました。捜索隊の方々には特別な手当てを上げましょう」


 王妃様がそういうとカイさんやほかの捜索隊の口が少し緩むのがわかる。


「それでは下がってよろしいですよ」


 そう言われると捜索隊の面々はウキウキの雰囲気で部屋を退室していく。

部屋の外を出たらもう大丈夫だと思ったのか、がやがやと互いにうれしそうな声で騒ぐのが聞こえる。

その音が十分に遠ざかるのを待ち、王妃様が口を開く。


「よくやったようね、レオン君。セーネちゃんもつらかったことはない?」


「えぇ、大丈夫です。どうやら捜索隊まで出してもらったようで」


 もうしわけなさそうにセーネが言う。


「私は何もやっていないわよ。お礼ならエリーに言って」


 そうするとセーネにとっては意外だったようで、目を丸くしてエリーを見る。

そうするとおずおずと口を開く。


「私のことは嫌いだったんじゃないの?」


「そうだけどやっぱり見過ごせないよ。それにここで見捨てたらレオンに嫌われそうだったし」


 つんっと口をとがらせ、そっぽを向いていう。


「偉いね~、エリー。母の言うことを守って」


 そういうと王妃様はエリーの頭をなでなでとしている。


「お母さんが言ったから敵にやさしくしたわけじゃないの。ってレオンもセーネも見ないで!?」


「あら~あら~、普段ならすぐべたべたするのにね~」


 親子でじゃれているようで、普段から仲のいいのがうかがえる。

エリーは赤くなって必死になって否定しているけど、俺たち2人は赤子を見るような優しい目で見ている。






 じたばたとしてエリーが王妃様の拘束から赤くなって逃れると、王妃様も優しい母の顔から一国の支配者としての顔で聞いてくる。


「そういえばレオン君は3か月後の宴会は出るの?」


「宴会? 何でしょう?」


 いったい何のことだろうか?


「親に聞いていないのかしら? レオン君の親は確か…あのがめついレンフィールド辺境伯爵でしたよね?

まぁ、いいわ。それでねレオン君、10歳になった年の最後に貴族同士での、子供のお披露目会みたいのが行われるのよ」


「子供同士の宴会みたいなものですか?」


 めんどくさそうだな…

できればさぼりたいな…


「えぇ、そうよ」


 エリーが弾んだ声で言う。


「不満そうね。でも特別な事情がない限り欠席はできないわ。忘れないでね」


 俺の声色から全てを見透かしたかのように王妃様が言う。

なんか王妃様は勘がいいな…






「それじゃ、忘れないでね。私からは以上よ」


「それじゃ私の部屋へ行こう!!」


 王妃様が話終わると同時にエリーが言ってくる。

それも悪くはないなと思い、頭を下げてエリーの後ろをついて部屋を出ようとする。

が、部屋を出る前に一言声をかけられる。


「七大公爵家には気をつけなさい」


「……わかりました」












 ウキウキと歩いているエリーに話しかける。


「七大公爵家が何? 後で部屋に着いたら教えて」


 そう言ったとたんにエリーの周りの空気が少し重くなったような気がする。

心なしか顔も少しこわばっている。


「……わかったわ」








 エリーの自室にたどり着いたとともにベットに押し倒される。

俺の力ではエリーの力は大したことはないのだが、そのままなすがままにされる。


「どうしたの、急に」


「レオン…」


 俺の胸にしがみついたまま離れようとしない。

横にいるセーネの視線も厳しくなっていく。


「私をさらって。お姫様みたいに」


 上目遣いになって、少し声が涙声になっている。


「君の母親に殺されそうだよ」


「お母さんは許してくれるよ」


「そんなになって…何か嫌なことでもあったの」


「うん。レオンが言った七大公爵家のことよ」


「政略結婚か…」


 そういうと俺の服の裾を握る力が強くなる。

何も言わなくてもその反応だけでわかってしまう。

片手をエリーの背中に回し、もう片方の手で頭をなでる。


「無理なお願いを言ってごめんね。なんでもないわ。それで七大公爵家のことを知りたいのね」


 エリーは服の裾で目をぬぐうと、いつも通りの調子になっていう。


「…」


「知りたくないの?」


「気が向いたら、さらうかもしれないよ」


「?! ありがとう!! でもいいわ。それが王の血に生まれるという宿命なのよ」


 一瞬声が上ずったもののテンションはまた落ちる。


「大変だね、王家の血というものも」


「えぇ、私も普通の平民として生きて、自由な恋がしたかったわ」


「その気持ちはわかるよ」


 慰めるためにしばらくそのままの姿勢でいる。

そう思うとふと目の前が暗くなって唇に暖かい感触がする。


「うん!! これで決心がついたわ」


 それで気持ちを切り替えたようで、俺の上にのしかかっていたエリーが起き上がり、椅子を引っ張ってその上に座る。


「ほら、レオンもセーネも布団に腰かけていいわよ」







 俺ものろのろと起き上がり、すでにベットに腰かけていたセーネの横に腰かける。

そしてベットの横の小さなテーブルの上に置かれていたエリーが女官に用意をさせた杯を手に取り、その中身を舌で転がしながら飲む。

むせかえるほどに甘く、またしょっぱかった。


 俺がその飲み物を飲み終わるのを見てから、エリーが話しかけてくる。


「レオンも七大公爵家のことは大体知っているでしょ」


「えぇ」


「七大公爵家とは初代ローレンシア王とともにこの国を作った領主たちの子孫よ。そこら辺の貴族とは比べ物にならないほどの権力よ。そしてその権力は政治、軍事、経済、財政など多岐にわたるの。文官の家がセルディーク家、ノイズ家、ステイシー家、ブライトン家の4つで『文の四巨頭』と言われているの。そして武官の家がアルブェン家、クルストン家、メイボル家の3つでこちらは『ケルベロス』と呼ばれているわ」


 ここで一度エリーは飲み物に口をつけてため息をつく。


「もちろんそれは知っているよ」


「彼らの合わせた権力は王家よりも強く、国の財政の3割も彼らから出されているわ。まぁ、それほど強大な七つの家なんだけど私がうかつな発言をしたせいでレオンにプラス的な見方をしていた彼らがマイナスに傾いたの。ごめんねレオン、私にできるお詫びなら何でもするわ」


「実際には何をしたの? そこまで怒らせてしまったの?」


「うちの馬鹿な父親のせいでね。私は将来彼らの子息のうちのどれかと結婚することになるのだけど、そこで私がレオンと……」


「続けて」


「結婚したいということをお母さんと話していたのだけど、そこで父がほかの人に言いふらしてしまってね。七大公爵家は自分たちの得られるはずの権力がレオンに奪われるのではないかと疑心暗鬼になってしまったの」


「エリーの父も余計なことをしてくれるね。買わなくてもいい恨みを買わせるなんて」


「ほんとにごめんね、レオン」


「エリーは悪くないよ。でも参りましたね。……そういえば何でもするって言ったよね」


「うん」


 少しエリーの体がびくっとする。


「そんなに怖がらないで。少し粗末で小さくてもいいから家を用意してくれない? この前のテストの賭けの内容もそれに含めていいから」


「そのぐらいたやすいけど… それぐらいでいいの?」


「うんよろしくね。七大公爵家のことは気にしなくても自分で何とかするから」


「わかったわ、本当に迷惑をかけてごめんね… それで失礼だけど家は何に?」


「内緒ね」


 微笑んでうまくごまかす。

もちろん家はザクスのためだ。一応今からでも用意をしたほうがいいだろう。

七大公爵家は何とかなるものだと信じよう。

いつまでも終わったことをくよくよしていてもしょうがない。




























 頭いい人は初めから争いにならないようにするのだが、争わなくさせるとつまらない話になる。

争わせると主人公は馬鹿になるという設定に外れた矛盾… どうしよう


 次回の話です…




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