暗殺者再び
「レイがやられたと?」
「そのようでして」
「奴は悪魔暗殺のために派遣していたはずだが?」
「失敗したのか…」
「奴が失敗するとは」
10人ほどの人物が知らせを持ってきた密偵に問い詰めている。
この場にいるのは最高権力者らしく、すっかり哀れな密偵は緊張のあまり、真っ白になってしまっている。
ここは暗黒魔導王朝の最高権力機関、元老院だ。
暗黒魔導王朝の行く末はすべてここで決定される。
「どのようにしてやられたのだ?」
「どうやらウィル遠征部隊隊長と同じ魔力爆発のスキルです。ただ規模が違いましたが…」
「ウィル…確かやつも悪魔にやられたな」
「どれくらいの規模だ?」
「半径数十メートルが焦土になるほどでした」
「そこまでか…」
「本来は半径5メートルが限度なはず。ウィルでも2桁の壁は超えられなかったというのに」
「それで奴は自滅したのか?」
「いえ、中心に倒れていました。そのためただの魔力枯渇かと思われます」
「そうだな。本気ならば体は残らないはずだからな」
「半径数十メートルでも本気ではないというのか…」
「なぜ気絶をしているときに奴を殺さない?」
「爆発があってすぐに部隊を動かされまして、チャンスを逃しました」
「レイは今まで一度たりとも失敗したことはないはずだが」
「平民にしてはスキルを持っていたしな」
「今回多大な戦果を挙げている作戦、たしか…げりら作戦という名の作戦の立役者ではなかったか?」
「確かにそれは大きな戦果を挙げているな」
「悪魔はどうする?」
「このままでは泥沼にはまるな」
「次失敗したら、諦めよう」
「そうだな。泥沼にはまるようなものだ」
「誰を送り込むのだ?」
「いいのがいる」
「ほう」
「レイの存在で2位に甘んじていたものの、本来の実力ならばはるかにレイより強いものだ」
「名は?」
「ザクス」
「やってみよう」
「わかった。彼に命令をしておこう」
幾人もの老人たちの会議によって、レオンへとまた刺客が向けられることが
決定する。
前回とは比べ物にならないほどの刺客が。
久しぶりに学園へとくる。
だいぶ大勢の生徒が誘拐されたせいで、クラスの再編成も行われた。
学園の入り口に新しいクラス分けの紙が貼ってある。
しかし俺は基本的に、ハロルドとの武術訓練以外はなんでもしていいことになっている。
いつもの朝のホームルームに出る。
一応俺は一番上のクラスになっている。つまり、担任はケインだ。
最も俺は、朝と帰りのホームルーム以外いない幽霊だ。
3つしかない教室の中の一番奥の教室に入ると、中からエリーが抱き着いてくる。
「もう、治ったのね」
「エリーも知っているだろうに」
「でも心配だったもん。これで戦争に行かなくて済んだのね」
「エリーだって最初は戦争に行って、みんなの役に立ちたいといっていたよね…」
「えぇ、でも身近な人が戦争に行くというのも嫌だわ」
「そうね」
「でもこれで、レオンは大丈夫だよね?」
「どうかな~」
「?? もう行かないんじゃないの?」
「暗黒魔導王朝がこれであきらめるとは思わないけどね。また刺客でも送り込んでくるよ」
「そんなことはないよ」
「…」
次はいったいどんな手で来るのだろうか?
おそらく、敵も俺が一筋縄でいかないことぐらいわかっているだろう。念のためにも一応最悪の事態は想定をして、エリーに注意を促しておく。
「エリーが誘拐されたら困るからな」
「え!? そんなに私のことが大事?」
顔を赤くして、上目使いで見てくる。
「それもあるけど、一番はエリーで脅されたら何もできなくなるからな」
「ふ~ん、自分が一番困るということね」
予想と違う反応に少し残念そうなエリー。
むっすりとしてしまっている。
どうやら、自分が大切だからなどと言ってほしかったようだ。
ケインが教室に入ってきて、いつも通りにホームルームが始まる。
俺が一番右端の、一番前に座っているのをチラッと見たが、特に何もなしに始まる。
クラスのみんなにも自然に受け入れてもらっている。
最もクラスは全員が誰かしらの仲のいい人を誘拐されていて、全体の雰囲気は暗い。
しかしこればっかりは、いくら天才でもどうにもできない。
俺にはカリスマなんてものはゼロに違いない…
すでに学園に入ってから、4か月ほど経っているのでもうすぐ夏休みの季節だ。
ここ最近はなにかしらの事件に巻き込まれまくりで、勉強を全くしていない。
前世があるので、勉強などしなくてもいいのだが、入学試験のレベルが最低レベルだったらいよいよ俺もやばそうだ。
今までしたことのない徹夜も視野に入れるかもしれない。
ちなみにテストの終わった後に来る夏休みは、基本的にどの学生も学園都市内で過ごす。
日頃は
ガラガラの図書館なども、夏休みはたくさんの学生でにぎわうことになる。
この世界は本などはとても貴重で、それを目当てに学園に入る人もいるぐらいだ。
入ろうとして入れるものではないが、そういう猛者もいるらしい。
そういう俺も特に王都へと帰ろうと思わないし、エリーやヨゼスも帰る気持ちはないらしい。
何もないといいな…
今回は予約投稿です。
しばらく帰省で更新できません。
ご了承のほど、お願いします。




