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王城での看病

 目の前が明るい光に包まれる。

「ウゥッ」

目を開けようとするも暗い暗黒の世界に慣れ切った眼は開けることを拒む。

何度か目をぱちぱちとして明るさに慣れようとする。


 どうやら俺はベットに横たえられているようだ。

天井は純白で清潔な感じがする。そして俺が寝ている布団もふわふわとしていて、重みを感じさせず柔らかく疲れた体を癒してくれる。

どこか遠くから楽人の奏でる優雅な宮廷音楽が聞こえ、品のよく甘い匂いが鼻腔をくすぐる。

この匂いはどこかで嗅いだことのあるようなにおいだが思い出せない。





 痛みできしむ体を無理やり起こし、あたりをもっと見ようとする。

まだ完治をしていないため、無理やり動こうとするとかなり大変だ。

それでも何とか起き上がり、上半身を後ろに持たれかける。

そこに頭をコクコクとさせているとしているセーネがいた。

目の下にはクマができていて疲労の色が濃そうだ。

ここはどこなのかあの後どうなったのか聞きたいところだが、目の前で寝ているセーネを起こすのも忍びないので、いったんはあきらめる。

窓から外の風景を眺め時をつぶす。今はまだ午後の早い時間だろうか、太陽も優しく降り注ぎ万物に慈愛のを与えている。

部屋は心地よい暖かさとなり人を眠りへといざなう。



 俺も少しまどろみ始めたところにセーネが小さくつぶやくと目を軽く開ける。

「? !? レオン!! 起きたの!?」


「そうだね。心配をかけてごめん」


優しく微笑む。

一瞬で真っ赤に染まるセーネ。


「謝るぐらいなら最初っから戦わないで!!」


「悪かった。想定外のことが起きてね」


「なんとなくわかるような気がするわ。学園都市にいても分かるほどレオンの魔力が膨らんだからね。結局何があったの?」


「ひたすら暗殺者に狙われ続けた上に、最後は殺されかけたんだ。それで破れかぶれで自爆をしたんだ。腹も突き刺されていて、短期決戦で終わらせたかったんだ」


「それは大変だったのね…それにしても暗黒魔導王朝は最低ね」


 頬を膨らませて怒ってくれる。


「とにかくもう戦場には出ないこと」


「えっ?!」


「えっ?! じゃあありません。死にかけてよくそんなことが言えますね?」


「たまたま強い敵と会っただけでいつもは違う」


「強い敵と当たることなどいくらでもあります。今までは運がよかっただけです。とにかくもう行かないこと。治ったら一度学園長に言いに行きましょう」


 結局必死の反論もむなしく学園長のところに行き、また学業に副業するということを言いに行かないといけなくなった。

だがまだ体が完治していないので当分行かなくてもよい。

腕まくりをしたセーネが俺の服の裾をめくり傷の具合を見ている。

傷は刺されたときよりもだいぶ癒えて、赤く少しくぼんだ傷跡が見えるのみだ。


「随分とよくなっているな…」


「それは大変良くしてもらったのよ。あなたが運ばれてきたときにすぐに医療の人が来てくれて治療してくれたのよ」


「それはありがたいですね。ところで誰が私を救助してくれたのですか?」


「魔力爆発の原因究明のために送り込まれてきた調査隊の人よ。辺り一面が焼け野原で何もなかったようなのだけどね。そこにレオン1人だけが横たわっていてすぐさま敵かどうか確かめるために拘束されたようなのだけど、そこでたまたまレオンを知っている人がいて身の保証をしてくれて、確認も取れてすぐさま治療されたようね」


「その人には感謝してもしきれませんね。治療をしてくれた人たちもいい腕です」


「私も手伝ったのよ。水属性は治癒する力があるからね」


「セーネも手伝ってくれたんだ。ありがとう」


「フフッ、どういたしまして」


「しかし腹が減ったね。傷を治すというのも体力を結構使うものだね」


「そうかしら、レオンったら1週間も寝ていたからね」


「そんなに!! それはすくわけだ。できれば今から食べたいのだけど」


「ごめん気を遣えなかったわ。今すぐ頼むわね」


 手を鳴らし、人を呼ぶセーネ。


 頼む? どういうことだろうか。

転生者がデリバリーサービスの店でも作ったのだろうか?





 しばらくすると豪華な食事が出てくる。

出来立ての様で湯気をたて、辺りにいい匂いをまき散らしている肉の赤ワインの煮込みっぽいもの。

みずみずしいサラダに、半透明のサラサラっとしたスープ。

さらに軽く焼かれたふわっとしたパンなどがどんどん出てくる。


「おいしそうね」


「これはすごいね」


 前世でもめったに見ることのできないほどの豪華な食事だ。

貴族でもこれを日常的には食べられないほど高級そうだ。


「これほどのものを一体?」


「まだ言っていなかったわね。本当にいろいろあって忘れていたわ」


 1週間寝ていただけで本当に世間から置いてきぼりを食らってしまっている。


「ここは王城よ。そこで最高級待遇で入れてくれたのよ」


「なぜ王城に?」


「あなたの友達だとかいうエリザベス様が国王を説得して、部屋を開けてくれて、好待遇をするように言ってくれたのよ」


「エリーが!? それは… それで今エリーは?」


「一国の王女を呼び捨てって、すごい度胸ね…」


 あきれたような口調で言われる。


「エリザベス様は今レオンが起きたという知らせでもうじき来ると思いますよ」


「エリーにもお礼を言わないとね」




 しばらくすると遠くから足音が聞こえる。

入り口の扉が大きく、勢いよく放たれるとエリーが飛び込んでくる。

普段の制服に身を包んだ硬いイメージのエリーと違い、華やかでひらひらとしたフリル付きの白色のワンピースを着ているエリーはまさにお姫様というイメージだ。



「大丈夫だった?レオン」


 走ってきた勢いのまま飛びついてくる。

高級なはずのベットがエリーの運動エネルギーでギシッとなる。

女の子いい匂いがすぐ近くでする。




「えぇ、エリーのおかげでね。ありがとうエリー」


「べっ、別に大したことではないよ。それよりも傷は大丈夫?」


「そうね、だいぶ治ってきたよ。随分とよくなったよ」


 艶然とほほ笑む。


「!! もう危ないことはしないでね」


「わかった、わかった」


 苦笑交じりに返事をする。








 結局完治するまでのもう1週間は毎日治癒をしてもらう。

そのかいもあり王城から退院?退城?する頃には傷跡もうっすらと赤く残る程度に治る。

学園都市に帰るのだが、そこで学園長に復学することの旨を伝えに行く。



 学園都市と王都はそこまで離れていないため大した時間もかけずに学園の自宅までつく。

そこで一度身なりを整えてから学園に向かう。




「失礼します」


 扉を軽くノックして、中からの返事を待つ。

すぐに中から返事が返ってくるので入る。



「失礼します」


 中に入り、軽くお辞儀をする。


「レオンと…セーネか、一体何の用だ?」


「戦争に参加するのをやめさせてもらいたいです」


「やはりか…わしも子供たちを、いくら志願と言っても戦争に参加させるのは反対だった。よし、すぐに騎士団に連絡しよう」


「わざわざありがとうございます。」


 すぐに騎士団の方とも連絡が取れ、許可が下りる。

戦争はあちらこちらで大変な事態が起きているようだ。

そんなことにかまっている暇はないとばかりにすぐ許可が下りたらしい。





 そんなわけで俺はまた学園に戻り、復学することとなった。

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