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闇の襲撃


 風が木々や草の香りを乗せ部屋の中に流れ込んでくる。

まだ夜の遅い時間にふと目が覚める。

なぜそこで目が覚めたのかよくわからない。

まだぼんやりする頭で室内を見回す。

あの後洗脳された人たちを全員気絶させたのが今から3時間ほど前だろうか。

そしてそのあとぐったりとなってしまった俺たちは倒れこむようにして屋敷に戻り、布団に潜り込んだのだ。

そして、今意識を取り戻すまでぐっすり眠っていたのだ。

またうつらうつらとして、眠りに戻ろうとするところで扉がトントンとたたかれる。

返事をする前にカインさんが入ってくる。


「まだ、返事していませんよ」


「寝ていると思っていまして。ノックしたのはあくまでも礼儀です」


「そうですか。それでこんな夜遅くに何の用ですか?」


「敵がいまして。レオンもそれで起きたのではないですか?」


「私の場合はなんとなくです。ふと目が覚めたので」


「そうですか。直感も大事な技能ですからね」


 何で知っているんだ?

それとも鎌をかけているだけか?


「それで敵というのは洗脳されたものではないのですか?」


「いえ、洗脳をしたものは基本的に気絶をさせたら戻りますので。だからあのまま外にほったらかしにしているのですよ。もし解けないんでしたら全員縛っていますから。外を見てください」


 言われるままに外を見てみる。

確かに黒づくめのローブを羽織った人影が5,6人何かごそごそとやっているのが見える。

どうやら洗脳されていた人たちに何かをしているらしい。


「不味いですね。また振り出しに戻りますね」


「えぇ、急いで止めないと」


 それだけ言葉を交わすと、着替えて外に向かう。






 先に着替え終わっていて、すでについていたカインさんの話声が聞こえる。

黒いローブを羽織っているのは6人。周りに再び洗脳をしたと思わしきひとが20人いる。


「あなた方は暗黒魔導王朝のものですね」


「…」


 全員が私語を発さず黙りこくっている。

ふと一番左にいた1人がうつむいていた頭をあげ、こちらに顔を向ける。

そしてふと目線が合う。

相手は驚愕の表情でこちらを見てくる。


「小隊長、レオンハルト・レンフィールドです!!」


「!!」


 その言葉にローブ達全員驚愕の表情で見てくる。


「このガキがか」


「はい、前牢番で見張っていた時にこのガキは見ました」


「お前が厳罰を食らったあの件か?」


「本当に彼のせいで上に怒られるし、散々な目にあいました」


「国にとってもだ。こいつのせいでこんな大変な目に合っているしな」


「お前が急いでトップに知らせろ。ここに悪魔がいるとな」


「はっ」


 指示を受けたらしい1人の男が頭を下げ、すぐさま撤退をする。

その姿は夜の闇に紛れすぐに見えなくなる。


「追いかけても無駄です。ここは2手に分かれると下策です。追撃のことはこいつらのことが終わってから考えましょう」


「当然です」


 そう言っている間にもローブ達は洗脳をした人を前に、自分たちは後ろに下がり、正五角形になるように陣を組んでいる。

さっきのはどうやら洗脳をし直していたらしい。


「レオンハルト・レンフィールドを殺せ!!」


 さっきまでそこまで殺気立っていなかったのに、俺の正体がわかってから親の仇のような目で見てくる。

その掛け声に合わせ魔法が飛んできて、洗脳された人たちが襲い掛かってくる。



 カインさんと背中合わせになり、迫りくる魔法、剣に対処をする。

洗脳をした人たちを文字通りの生きた盾にして、後ろから魔法を放ってくる。

まさにその盾のせいで俺たちも本気を出せないでいる。

味方ごと敵を切り裂くことができず、極大魔法も放てない。

最も目の前に洗脳者がいなくても、町の中で町ごと滅ぼす魔法を使うほどとち狂ってはいないが。

ただどうしてもこちらが受け手に回らざるを得ず不利になる。


「このままでは埒が明きません。私が洗脳者を相手にしますからレオンはローブの相手をお願いします」


「了解しました」


 どっちにしろ俺たち2人は昨日今日作った間に合せのものであるのに対して、相手はずっと同じ任務をともにしてきただけあり、ハンドサインなしでお互いの攻撃にタイミングを合わせることができるし、洗脳者の使い方に対しても一朝一夕の長がある。

こういう時は別れた方がいいに決まっている。


「私が道を作ります。行ってください」


「はい」


 カインさんが俺の前に出て強引に道をつくる。


「感謝します」


 洗脳者の囲いから抜け出し、すぐさまローブのうちの1人に狙いをつけ距離を詰める。

後ろでカインさんが俺に向かって攻撃しようとしている人を抑えてくれているおかげで安心して突っ込んでいける。


 自分が狙われていることに気づいたローブはすぐさま攻撃を中止して逃げ出す。

その代わりに周りからの攻撃はさらに激しくなる。


 距離を取られ、変則的に放たれてくる魔法を避け、弾き、魔法で応撃する。

もともとが魔法を得意とし、肉体戦を苦手とするため相手との距離も徐々に縮まる。


「糞、ぜんぜん決定打を与えられん」


 焦ったような周りの声が聞こえる。


「悪いな。これが現実だ」


 魔法は防御に回しているため、腰にあるマジックポーチから取り出したバルディッシュで1人の体をばらばらにする。

原型も残さず、斬られた方は肉塊と化す。


「ルー!!」


 どうやらこいつの名前はルーというらしい。


「貴様許さんぞ!!」


 相手がブ千切れ、魔法の威力がさらに増す。

怒りに呼応して威力も高まっているらしい。


「だが、俺みたいに莫大な魔力がない限りすぐばてるぞ」


「うるさい!! 貴様が殺したんだろう」


「殺さなければ殺されていた。文句を言うな」


 俺の言うことにも耳を傾けまいとがむしゃらに放ってくる。


「隊長、もう魔力がありません」


 1人が悲鳴を上げる。


「殺されたルーの魂はどこに行くんだ。死ぬまで放て!!」


 絶叫をしている。どうやら魔法は命を削っても放てるらしい。

しかし、仲間の仇のために死ぬのは本末転倒な気がするのだが。


「無理です。相手の魔力は底なしです。削り切れません」


 また違う1人が悲鳴を上げる。


「遠征に派遣されるほどの精鋭5人もいて削り切れないだと!!」


 声は次第に絶望に変わっていく。




 さっき魔力が力尽きたといった男も葬り去る。

魔力の無くなった魔法使いなどただの一般人と何ら変わることはない。

たやすく葬り去る。


 人数が少なくなるにつれ魔法攻撃の圧力も下がり、余裕で対処できるようになる。

次は1人をバルディッシュで1人は火炎弾で焼き殺す。

防御用ではなく次第に攻撃にも魔力を回せるようになる。


 残るは隊長1人のみだ。

既に叫ぶ気力もなく、茫然自失している。


「お前で最後だな。俺を見た時点で逃げれば未来は変わっていたのにな。途中で冷静さを失わなければ勝てたかもな」


「くそ、みんな悪い。敵を討てなかった。俺が弱くて済まん」


 突っ伏しながら泣いているがこの男も弱くはない。

さっき鑑定で調べたとき、種族レベルは31、才能値も4あったのだ。

たぶん相当のエリートとして育ったのだろう。

だがそのプライドも俺の前に砕け散ったらしい。


「この世界の基本的なルールは弱いは悪。強いは正義ではなかったか?」


「この世界? まぁいい。貴様は俺が道連れにする。弱い自分を呪ってくれ」


「自分の弱さで死ぬならなんも恨みはしない」


 突如直感がアラームを鳴らす。

そして彼の体から魔力が異常な動きがみられる。

おそらく鑑定で見たときにスキル欄に魔力暴走というのがあった。おそらくそれで俺を道連れに自爆する気だろう。

スキル強奪を使い中止させる。


【魔力暴走lv1を奪いました】


 彼の体で荒れ狂っていた魔力は行き場を失い、その場で爆発をする。


「がはっ」


 吐血をして突っ伏している。


「なぜ…だ…」


「魔力暴発ならもう使えないぞ」


「嘘だ…」


 何度も試そうとしているがどうしようもできないらしい。

当然だ。俺が奪ったからだ。


「捕縛して、王都で尋問という名の拷問を受けるよりいいだろう。さらばだ」


「無念!!」


 首と胴が離れる。

しっかりと死亡を確認し、だいぶ離れたカインさんのところまで戻る。

見るとカインさんもすでにすべて気絶させ終わったようだ。

「終わりましたか」


「はい」


「どうやら殺したようですね。相手のためですか?」


「はい。王都で拷問を受けて殺されるより早めには楽にした方がいいかと」


「そうか。気に病むなよ」


「わかりました」


「これでもうひとまずは大丈夫でしょう」


「逃げたのは?」


「一度国に帰るのですから早くて1週間後でしょう。今日はひとまず休憩しましょう」


「はい」


「お疲れ様です」


 そのあとひとまずまたベットに戻る。

精神的にも身体的にも疲れていたのかぐっすりと朝まで眠りこけてしまう。

データが3回も消えた( ;∀;)

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