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出陣

 内乱を抑えるのに志願した俺はいったん学業はいったん中止になる。

そもそも俺はすべての授業を免除をされているためあまり関係ないのだが、ほかの人にとっては嬉しいことだろう。

学園長室から解散した俺たちは後日王城に集まるときのために、いったん家に帰りその準備をする。


 ちょうど家に帰ろうと学園の廊下を歩いているときに、前方を長い銀髪の男が悠々と歩いているのが見える。

間違いなくあの輝くような銀髪を持っているような男はハロルド以外いない。

さっきの無茶ぶりの理由を説明をしてもらうために、声をかける。

「こんにちは」

「おう、レオンじゃないか。今気づいたよ」

ふざけたことを言うので白い目で見る。

学園都市中すべてを、まさに話している内容まで完璧にわかる人が、後ろから特に気配を隠さずに来ている俺に気づかないなんてありえないからだ。

「いや、気づいていましたよね」

「なんでばれたの?ばれるとは思わなかったよ」

からかっているのか?

「前に俺が襲われそうになった時も気づいていましたし、この前なんか登校するときに話しかけられた内容まで把握していましたよね」

「2回目は違うんだがな~」

「ともかく、気づいていないなんてありえませんよ」

「わかった、わかった。それで要件は何?」

「何がって、さっきなんで僕だけ1人だけで対処するように言ったんですか?」

「そうだね、理由はいくつかあるけどね」

そうしてニヤッとした笑いを浮かべる。

「1つ目は君がいたら敵が大勢やってきて、ほかの人が危ないじゃない」

「俺の安全は?」

聞こえなかったかのように言葉を続けられる。

「2つ目は君の武器は範囲が広くて、周りの人が迷惑するということだ」

確かに俺の武器はリーチが広くて、おちおち隣で戦っていられないからな。

「3つ目は君の経験のためだ」

こういうのに慣れといた方がいいと、教材が目の前にあるんだから使わないとだめじゃないと付け加えてくる。

ハロルドが予想以上に外道だった。

ドン引きをするレベルだ。

人の命を教材って・・・

いくら命が粗末に扱われているこの世界でも人の生死を生徒の教材と言い切ったのは、ハロルドがはじめてだとおもう。

「そして最後は君が1人で戦いがっていたからだ」

「は??」

「え??」

「なんで俺が戦いたがっていたと思うの?」

「そんな顔をしていたから。君も戦いが好きでしょ」

そこまで戦闘狂ではないのだが、どうしてそんなことになってしまったのだろう。

「いつも模擬戦をやるとき口がにやけてるからね」

確かににやけているかもしれないが、それはハロルドという圧倒的な強さの人とやるから楽しいのだ。

雑魚とやっても後味が悪いだけで特に楽しくもない。

今回の相手にそこまで手ごたえがある相手がいそうにないから、そこまで楽しみではない。

今、国が負けそうになっているのだって、ゲリラ戦、寝返りを予測して動いていなかった国のトップがあほなだけだ。

とても1人1人はそこまで手ごたえがあると思えない。

「慢心は敗北の原因だ気をつけろよ」

そう注意され別れる。

その言葉を胸に刻み付け、後姿を見送る。



 そして家まで戻る・・・

「何ですって?」

セーネの怒声が聞こえる。

「なんでレオンが内乱の鎮圧に行かないといけないわけ?」

「いや、僕が志願したからなんだけど」

しどろもどろになりながら言い訳をする。

何をこの狂人は言っているんだという目で見られる。

「あなたが本当に自分で志願したならともかく、命令されていたなら許しませんからね」

「本当だよ」

じっと眼の中を覗き込んでくると

「信じるは。目は嘘を言っていないしね」

「ありがとう。愛しているよ」

ボフンと顔中が真っ赤になり、細長い耳の先まで朱に染まる。

「私好きだったら行かないでくれる?」

おずおずと聞いてくるもののバッサリと切り落とす。

「本当にもレオンったら」

くねくねしながら言ってくる。

「それはともかくまじめな話、私はついて行かないからね」

「わかっているよ。セーネにそんな強要はしないよ」

エルフはもともとはおとなしい種族で戦いをあまり好まない種族なのだ。

自分の身に危険が迫らない限り決して自分からは手を上げないのだ。

そのためいろいろとひどい目に合わされることもあるそうだが。





 内乱の鎮圧のため、革の軽鎧に鉄の大量生産品のバルディッシュをアイテムボックスにに入れ、王城まで向かう。

衛兵に内乱を鎮圧するために来たと伝えるとすぐさま、城の1階にある特に重要ではない客を出迎えるときに使われる大広間へと向かう。

既にほかの生徒たちも来ていて中央では騎士団の一番偉そうな人が次から次へと指示をあたえている。

「お前達は北部のエルシュ村で起こった反乱を抑えてくれ」

その偉そうな人の隣で忙しそうに下っ端のものが、地図にいろいろ書きこんでいて、漏れがないかを必死に確認している。

生徒たちも事前に組まれていたチームで指示をもらいに、列の後ろに並んでいる。

俺もそのまま彼らの後ろに並び順番が来るのを待つ。


 どんどん列も消化されていき、ついに自分の番がくる。

「ここはガキの来るところではないぞ。さっさと帰ってママのおっぱいでもしゃぶっていな」

「まさかちゃんと許可を取ってますよ。嘘だと思うなら確認してみてください」

「ほぉ、おいお前こいつの情報はあるか?」

「たぶんそれらしきものは」

「そいつの名前は?」

「えっと、レオンハルト・レンフィールドです」

「なに!!」

騎士の顔が驚きに染まる。

「お前がか」

傲岸不遜な態度は鳴りを潜め、逆におべっかまで使ってくる。

人によってこんなにころころと態度を変えるとは・・・

ここまではっきりとした態度の変わり方は初めてだ。

「なるほど、なるほどレオン様でしたか。人が悪い。そうと言っておりましたら丁重な対応をしたものの・さぁ、レオン様の任務の場所は・・・そうでしょう故郷が近い方がいいでしょう。一応西の方にしておきましょう。この辺りでよろしいでしょうか?」

へこへこしながら聞いてくる。

地図の西の方を指さし、聞いてくる。

特に異論はないのでうなづいておく。

「それでは馬車を用意いたしましょう」

もし本当の名前がわからなかったら、忙しいといって出してくれなかっただろうが、英雄に媚びを売りたいのか馬鹿丁寧に接してくる。

「あぁ、ありがとう」

心の声はおくびにも出さずニコニコと接する。

自分でも悪い人間だと思う。

用意してもらった馬車に乗り、2か月ぶりに故郷まで戻る。

帰るときの待遇もすべて特急クラスで、気持ちよく過ごすことができる。


 そうして戦時中にもかかわらずのんびりと時を過ごし、レイヴァルト領まで帰る。

ここで反乱を収めるのか・・・

心を少し重くしながら馬車から降り、御者の人にお礼を言い生まれた地へと舞い戻る。


「帰ってきたのか」

様々な感慨を胸にその声は発せられる。


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