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クラス再編成

 とうとう暗黒魔導王朝と戦争が始まったようだ。

昨日始まったようだがまだ戦況はわからない。

戦争開始日の予定が昨日なだけで、もうとっくに始まっているかもしれないし、まだ始まっていないかもしれない。

前世のように桁違いの通信速度を持った連絡方法がないため、国境地帯で起こっている今回の戦争の報告はどんなに早くとも1週間後ぐらいに来ると思われる。

何ともないとよいのだが・・・






  俺たちは誘拐された後にまた学園へと戻り、勉強を始めることとなる。

だが誘拐されたままの生徒があまりにも多く、大半がいない状況だ。

全員で120名ほどの生徒たちは、入学時の成績をもとに新たに3つのクラスに編成されることとなる。




 「失礼します」

入学式の時にも訪れた学園長の部屋だ。

部屋の奥に学園長が座っているのが見える。

「どうしたのだ。レオン」

「本日はお願いがあってここに来ました」

「なんだ?戦争に行くことは認めんぞ。お前はまだ小さな子供だ」

「いえ、武術の訓練以外をすべて自習にしてもらいたくお願いしに来ました」

「そうか。遅かれ早かれそういうと思っていたがな」

「認めてくれますか」

「あぁ、キャサリンもお前自身に教えられることはないといっていたし、それがいいろう。せっかくの才能を無駄に時を費やして無駄にすることはあるまい。」

「はい!! ありがとうございます」

「わしからこのことは伝えておくので、レオンは特に何もしなくてもよい」

学園長の部屋を退出し、教室まで戻ろうとする。





 「やぁ、レオン君。さっきは大変だったね」

特徴的な輝くような銀髪を持っていることから、ハロルドとわかる。

「さっき?なんのこと?」

「帝国から勧誘を受けたでしょう」

まじかよ。

学校の中ですらないのに、把握してたのかよ。

なんかこの学園都市すべてを把握しているのじゃないかと不安になってくる。

「よくわかりましたね。どうしてわかったんですか?」

「そうだね~。秘密ということで」

ニヤニヤしながら返される。

思いっきりはぐらかされ、本当のことはわからずじまいだ。

「これからも武術よろしくね」

もういい。

何も言うまい。

この人の前ではすべて真っ裸にされてしまう。







 学園の一番奥にある教室まで戻る。

クラス再編成まで少し時間があるので、それまでは前のクラスで待機だそうだ。

遅くとも午後には発表されるのであと1時間もないだろう。



 一応は慣れ親しんだ教室の中に入る。

あれほど騒がしかった教室も生徒の数がめっきり減ってしまったせいで、本当に静かだ。

教室の中は熱気もなく、ひんやりとしている。


 このだだっ広い教室の中にいるのは3人のみだ。

「あっ、レオン!! 来たんだ。一体どこに行っていたの?」

「学園長のところだ。少々野暮用があったのでな」

「一体何?」

勘づいたのか、不安そうな声で聞いてくる。

「まさか戦争に行かないよね?」

「当然だ。俺は傀儡の英雄だからな。いてもいなくても変わらん」

「じゃ、何なのよ?」

「魔法の授業も免除にしてもらった。それだけだ。結局どのクラスにも出ないから、今度からエリーが主席だな」

「「そんな・・・」」

エリザベスとヨゼス2人してショックを受けた顔になる。

「もう会えないの?」

「そんなことはないだろう。図書館に行けばまた会えるよ」

「そうね!! もう学校の勉強をしなくてもよいと判断されたら私たちも免除されるよね。頑張りましょうヨゼス」

「そうだね、武術は自信がないけれど」

「あぁ、頑張ってくれ。入学試験でほぼ満点を取れたら免除されるぞ」

「思い出したけど、あなたやっぱりおかしいわよ。一生かかってもあのテストは満点取れない気がする」

「うん、僕だってレオンに会うまではこの世で5本の指に入るぐらい頭がいいと思っていたけれど・・・ 圧倒的な天才はいるんだと現実に引き戻されたよ。これからはレオンを目標にするよ」

このべた褒めはかなり精神的にキツイ。




 何ともなしに3人で時間をつぶす。

「しかし、この教室も寂しくなってしまったわね」

「そうだね、みんな戻ってくるといいな」

俺たち以外の残る1人の人は机に突っ伏して泣いている。ブラウン色の髪の毛の長さから判断すると、女の子のようだがたぶん今回の誘拐の件で親しい人を置いてきてしまったのだろう。

嗚咽の声が漏れてくる。

「あなた、慰めなさいよ」

「なんでだよ。無理だよ」

「ヘタレね」

「は?」

そういうとその女の子の方へと駆け寄っていく。

「あなた大丈夫?」

「ウェ~ン、グス、あ、あなたは?」

「エリザベス・ジェイナ・ローレンシアよ」

「この国の王女様ですか!!」

「はしたないところをお見せして申し訳ありません」

その子は急いで目の涙をぬぐい、お辞儀している。

「もう、そんな気を使わなくていいよ。ここではみんな平等よ。あいつらだって私に対してため口よ」

そういいこちらを指さしてくる。

「あの~、あの人たちは?」

「レオンとヨゼスよ」

「えっ、あの英雄様ですか?」

「そうよ!!」

偉そうに鼻を高く持ち上げているが・・・

お前が偉いんじゃないぞ・・・

「あのっ、私どうしたら?」

「そんな硬くなることはないわよ。あいつらだって、た、ただのひ、人よ」

顔が若干赤くなっているが、勘違いは嫌なため見て見ぬふりをする。

エリザベスが好きなのはヨゼスかもしれないからな。

「レオンってすごくもてるね」

「俺がか?ヨゼスが好きなのかもしれないぞ」

「そんなことはないよ、レオン気付いていないかもしれないけど、エリーはよくレオンのことを目で追っているよ」

「そうなのか・・・」

全然気づかなかった。

けっこう視線には敏感なはずなんだがな。


 向こうから2人がやってくる。

「ほら、レオンにヨゼスよ」

「え、えっと、私はマリーと言います・・・よ、よろしくお願いします・・・」

真っ赤になって声をかけてくる。

極度の人見知りのようだ。

声もしどろもどろになり、アタフタとしている。

「やぁマリー。私はレオンだ。よろしくね」

にっこりとほほ笑む。

マリーはさらに真っ赤になって、エリザベスは不機嫌になっている。小声で人たらしとつぶやいている。

「ぼ、僕はヨゼスです。よろしくお願いします」

なんかヨゼスとマリーは似た雰囲気だ。

2人ともおどおどしていて人見知りだ。

どこかで性格もぴったりと合うのか、マリーの挙動不審も落ち着いてきている。

2人はいい友達になれそうだ。



 「それでマリーはどうしてさっき泣いていたの?」

ずけずけと聞いているのでかなり怖そうにしている。

「いえ、あの、友達が・・・」

「はっきりしなさいよ、もう。とろとろしないで」

「ご、ごめんなさい。私、いつもとろいといわれてて」

「気持ちぐらいくみ取りなよ。たぶん友達がまだ捕まっているんだろう。違う?」

「えっ、はい、そうです」

「もう調子が狂う。もっとシャキッとして」

「落ち着いてエリー。僕も慣れるまで君たちが怖かったんだもの」

「私が?」

「そうだね。エリーは王女様だし、レオンは非の打ちどころがなくて、背中に戦慄が走ったもの」

そこまで怖がられていたのか。

完璧だと怖いってどういうことだ?


 

 「もう、それで友達は?」

「わかりません」

「でも、この教室さみしくなったね」

「そうね、助かったのも貴族が多いし。どうせ他の人を突き飛ばしながら逃げたんでしょうけど」

貴族が多いのは俺のせいです・・・

「このクラスは平民が多かったものね」

「そうよ、だって貴族って私とレオンだけだったもの」

「確かにね、貴族は頭悪いしね。ってレオンやエリーのことではないよ」







 ワイワイ談笑をしながら、クラス編成の知らせが来るまで待つ。

「もう来たようね」

「そうだね」

遠くからドタバタと石の廊下を走る軽快な音が聞こえてくる。

いよいよ来たようだ。





 「大変だ!! 王国が今苦戦しているぞ」

「「「「!!」」」」

まさかね。

どんな奇手を使ったのか?

「すでに国境線は撤退し、混乱の体をきわめている」

楽しくなってきた。

わかり切ったことなんかつまらないしね。










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