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開戦

 神童、レオンハルト・レンフィールド。

この名前は全世界に知られることとなる。

今まではごく狭いところでしか知られていなかった、この名前があらゆる人に知られるようになる。



 ローレンシア王国に天才がいる!!


 誘拐された生徒たちを助け出し、王国に多大な貢献をした天才と。




 これを聞きみられる反応はおもに4つ。



 今回のレオンの行動で直接もしくは間接的に不利益を被った暗黒魔導王朝。

彼らは憎悪に身を焦がし、隙あらば暗殺をしようとしてくる。

本来だったら被害を出さずに勝てたのだが、俺のせいで全面戦争に突入してしまったからである。

まぁ、俺でもぶちぎれると思う。

味方にとっての英雄は敵にとっての悪魔になる。



 逆に好意的に見てくる国だが、これはうちの国と仲のいい国、もしくは暗黒魔導王朝と仲の悪い国に多い。

ドンドン誇張して、盛り立てて行っているせいか俺の評価がおかしなことになっている。

例えば誘拐されたとき、手足をすべて切断されたのにまた再生して救出をしただの、誘拐犯を何百人も切り倒しただの、何度殺しても死なずあいつは不死だ、だのありえない流言飛語が流れている。

そもそも手足は切断されていないし、誘拐犯は5,60人ぐらいだったし、手の骨は折れていて武器なんて持てない状況だったのだ。

なんかあまりにもひどすぎる。



 大半の国は興味を持っていても、特になにかしら思うところがあるというのはないらしい。

ただ、唯一他と違ったのは帝国だ。


 ある日普通に学校へと向かう時に、後ろからふいに声がかけられたのだ。

「レオンハルト・レンフィールド君だね。まぁ私は勧誘のものだ。君は帝国に来る気はないかね?好待遇を約束しよう」

とっさに後ろを振り向こうと思ったものの首に軽く手を添えられ、振り向きたくとも振り向けなくなってしまった。動いたら何かをされると直感的にわかったのだ。

そのせいでどんな人が声をかけてきているのかわからない。

怒らせないように注意しながら、

「丁重にお断り申し上げます」

「だよね~」

いらだった感じは特に声からは感じられなかった。

「もうさ、いきなり国から勧誘しろとうるさいんだよ。来るわけないのに無茶なことばかり言う。つらいのは現場だよ」

「そうですか・・・」

「うんうん。もう一回聞くけど帝国に来ない?君の好きなセーネと一緒でもいいよ」

「どこから調べた?その情報?」

「いうわけないじゃない。それに君だって隠そうとしたわけじゃないじゃん。知は力なり!! と。無駄な争いなど避けることができる」

「セーネに手を出したら帝国を敵とみなすぞ」

「う~ん。あまり怖くないね。小さな犬がキャンキャン吠えている感じだね」

「てめぇ!!」

今のは本当にイラついた。

ここまでコケにされるとは・・・

「やる気か?」

「きみ程度じゃ勝てないよ。それに本当に強いものとは手を出さずして勝つんだよ。まだまだ甘いね!!」

「・・・」

「それじゃ気が変わったら、声をかけてきてね。そうだね~、闘技場で「われ*****の敵なり」と言って」

「お前は学園の人か。それに今なんていったんd・・・」

言い終わる前に後ろから気配がふっと消える。

まるで初めから存在していなかったかのようだ。

あと最後に奴が言った言葉が何なのかを理解することができなかった。まるで聞いてはいけない言葉のようだった。若干背筋に怖気が走ったかのようだ。

ただこれでハッキリとしたことがある。

おそらく帝国は今何かと戦っているということだ。だがそれが何なのかはわからない。

最も帝国に籍を変えるつもりはないが。







 こうして戦争開始までの日は近づいていく。









 はるか王都、学園都市から離れたところの平原に今驚くほどの人が集まっている。

その平原の名はハルヴェイの平地だ。






 





 こののどかな平原は、3日ほど前から驚くほどの様変わりを見せる。

ウサギがのんきに草をはみ、蝶々がひらひらと舞う平原は突如驚くほどの人によって踏み荒らされる。

こうした抵抗力を持たない小動物は災難がその身に降りかかることを恐れ四方八方に逃げ去っていく。



 平原の北の方から桁違いの軍勢がやってくる。

その数およそ18万。

鍛えられていないのか、体格は大柄なものが多いもの足並みは崩れている。

だが最も中心に近づくほど兵の錬度も上がっているのが明らかに見て取れる。

装備は外周の方のものはみすぼらしく、質素な一般品クラスの鉄の槍を持っているが、真ん中の方は大剣、戦斧、槍などがメインだ。装飾も華美で、大体が中級クラス以上と質もいい。

後ろの方からも続々と軍勢が平原に押し寄せ、はるか北から食料を運ぶ輜重兵の列がある。



 相対する方はみな小柄で数もそこまで多くない。

装備も薄く、相手の巨大の剣を相手には大した意味も持ち合わせないように見える。

剣もレイピアなどが多く、大剣を持つものはあまり多くない。

錬度は全体的にそれなりに高そうなものの、体格のせいかどうしても見劣りがしてしまう。

兵の大部分は色白でなよやかな雰囲気だ。それでも彼らの顔に脅えがないのはさすがといってもいい。

この軍勢を一層異様に見せているのは魔法使いの特徴的な黒いローブをまとったカラスのような人間の数の多さだ。

彼らはせわしく動き回り魔法使いこそが軍団の中心とわかる。

こちら側の数としては歩兵が2万に魔法使い3万ほどだろうか。




 戦いのときはどんどん近づき、緊張感も極限まで高まっていく。





 両方の軍勢の真ん中が割れ、2、3人の供を付けた総大将が出てくる。




 2mを超える巨大な男が北の軍団から、白く幻想的な軽鎧をまとった男が南の軍から出てくる。

「我、ローレンシア王国副騎士団長リンドバークという。そなたの名を名乗れ!!」

腹の底からとどろくような声で呼ばわる。

負けじと相手の男も澄やかな響き渡る声で叫ぶ。

「我、暗黒魔導王朝デスペリアス魔法騎士団団長ルイスという。今引けば人質は無傷で帰してやる」

「無用!! 卑怯なやり方で勝ちをつかもうとする貴様らには神の怒りの鉄槌を下してやる」

「そうか。ならば宣言しよう」

「ああ」

「「ここに戦始まりけり!!」」

両軍からどよめくような声が聞こえる。

ついに戦争が始まるのだ!!

人々が忌み嫌う戦争が!!



 この戦争の行方を知るのは神のみか?それとも・・・







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