クラス
いよいよ学園生活が始まる。
春のさわやかな空気の中セーネに見送りをされて学園へと向かう。
キツイ胸襟の黒の制服に、黒に赤い縁取りがされたマント。
風になびきバサバサと音を立てる。
新しい芽吹き始めるこの季節,学園に向かって走っていく。
初日から遅刻して叱られそうなのだ。
セーネとの朝ごはんの会話が弾み、出るのが遅れてしまったのだ。
町を歩いている学生服姿の人の姿はなく閑散としている。
良くも悪くもこの都市は学生が中心なのだ。
「頑張れよ~」
という雑貨屋さんのおじさんの声援を受け走っていく。
歩いて10分ほどのところを3分で駆け付ける。
家を出た時点ですでに朝のホームルームが始まるまでに5分を切っていたのだ。
守衛のおじさんにも同じことを言われながら学園の石造りの廊下を走る。
こういう時は無駄に広い学園が恨めしい。
10分かかる内部をさっきよりさらに加速して,2分で教室までたどり着く。
ぎりぎり始業のタイムが鳴る前に駆け込む。
汗だくになりながら、教室の扉をガラガラっと開けるわけにもいかず、ギぃと言わせながら入る。
中に入ると早速厳しい視線をむけられる。
そこまで俺に反感を持つか…
俺が席に座ると同時にケインが入ってくる。
「それじゃ、今日のホームルームを始める。今日も一日よろしく」
そういうと教室の中を見回す。
「それじゃ、今日の予定を言うぞ。まず一時間目は武術の訓練、2時間目は魔法。昼食をとった後に筆記だ。理解したな?」
先生が言い終わると1人の頬にそばかすがあり男の子が手を挙げて発言する。
髪も長い間風呂に入れず、ぼさぼさのまま。
鼻がつぶれて四角い顔をしていて雄牛みたいな体格をしている。
俺のほっそりとした体と対照的だ。
「なんだ?」
「そのレオンってやつほんとにまじめに学園受けたんすか?」
「受けなければ入れるわけないだろう」
「そもそもこいつ俺よりがたい悪いし、女顔だしひ弱そうじゃないですか。俺より武術の成績よかったんですか?ありえないですよね」
俺が女顔ではなくお前の顔が男顔すぎるんだ。悪い意味で。
それにこいつはレベルアップのことを知らないのか?
がたいがこの世界の強さの判断基準ではないのに。
弱そうなのだが一応鑑定をする。
才能値は1.平均である。
スキルも何もなし。種族レベルも3と負ける要素がどこにもない。
この程度で粋がるなど一笑に付す。
周りの生徒も同調してくるが大同小異である。
あえて言うならばこの鈍そうな雄牛のような顔をした男は腕力を頼りにしているという点だ。
先生も唖然とした顔をしてしまっている。
なんて答えればいいのかわからなさそうな顔をしている。
こちらをちらちら見ながら
「そ、そうか、では勝負をしてみればわかるだろう。やってみるがよい」
こんなに凛々しい顔をしてさっぱりした人かと思ったら以外にヘタレだった。
人とは見かけによらないもののと変なところで感心する。
しばらく自分の考えに陥っていて周りが見えてなかったのだが、気が付くとそいつが目の前に立っていて威嚇していた。
特に怖くもないのでボーと眺める。
何も反応しない俺を見てさらに眉間に青筋を立て、フーフーとうなってくる。
そこで先生が「相手をしてやったらどうだ」
俺の方が上だと暗ににおわせる発言でさらに切れる。
「これの相手をして得られるメリットは?」
彼はもはや噴火寸前だ
「自分で交渉をしてくれ」
完全に丸投げされる。
「で、俺が勝ったらどうしてくれるの?」
「てめえが勝つ可能性なんてないんだよ。わかったらさっさと来い」
「話になりませんね。人に何かをさせたいなら対価を示してください」
「ちい、わかった。負けたやつは勝ったやつの言うことを聞く。それでいいな」
「ああ」
その条件にうなづき闘技場にクラス全員で向かう。
一体授業はどこに消え去ったのかと思えば、武術は担任のケインが担当だったため授業の一環にされてしまう。
後でハロルドさんに無茶苦茶怒られる気がするが全部ケインとクラスのみんなに責任を押しつけよう。
闘技場まで向かうと俺に不満のあるやつがぞろぞろと前に出てくる。
数にして10人ぐらいだろうか。
「ふん、ちょっと顔がいいからと調子に乗りやがって」
確かに転生した後の俺は前世よりも顔は整っている。
転生補正が入っているかのようだ。
「時間がもったいないから一度にかかってきていいよ」
その言葉にぶち切れる男たち。
あまりにも沸点が低すぎである。
ちなみに女の子は1人も入っていない。
どちらにせよ遠距離戦はともかく近接戦では一度に相手をするのは多くても2,3人。
残りはただのお荷物になってしまうのだ。
最も俺を疲れさせるために初めに生贄で特攻させてくることもあるから何とも言えないが・・・
ケインが始めの合図をする前に雄たけびを上げ突っ込んでくる。
互いにぶつかり合ってまるで統制がなっていない。
誰もが我先にと突撃をしてくる。
無駄に多いせいで殴ろうと振りかぶるときも他の人にあたり勝手に崩壊しそうなありさまだ。
後ろにすっと下がり、からぶらせただけでほかの人にあたり互いに喧嘩を始める始末。
気付けば何もしないうちに立っているのは俺だけになっていた。
一体何だったんだ・・・
「そこまで。勝者レオン」
「・・・」
誰も何とも言えなくなっているし、俺が強いかそもそもの問題が解決されてない。
ケインはさっさと終わらせて俺をハロルドのところに行かせたがっている。
遅くなればなるほど後での追及が厳しくなるからだ。
下でうめいていたあの愚鈍そうな学生が、まだ勝負は終わっていないとか叫んでいたがケインが踏みつけた。
「戦略的にお前らの負けだ」
黙らせ、さっさと行けと目で言ってくるので、すごすご退散する。
喧嘩はまたの機会に持ち越されるようだ。
急いでハロルドのいる闘技場へと向かう。
彼は闘技場の真ん中に立っている。
「何分遅れだ?」
無表情で聞いてくる。
顔を真っ赤にさせて怒鳴られるより、何を言われるかわからないこちらの方が怖い。
「5分遅れです」
すごすご言う。
「なぜ遅れる」
「クラスで絡まれまして」
「ほう。無視をすればよかったのでは?」
「いえ、先生が決着をつけろと言ったので、なし崩し的に・・・」
「先生?ケインか… なるほど今回のことは大体想像できる。今回は罰はなしだ」
ふう。よかった。ケインはかわいそうな目にあうけどな。
今のうちに手を合わせておこう。
「それでは、始めるぞ!!」
「はい!!」
広い闘技場に声が響き渡る。
テスト期間で忙しいので更新が滞ると思います。
ご容赦ください。




