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転生者

胸糞なのでご注意を

 僕は普通の中学生だ。

少なくとも周りはそう答えるであろう、平凡なそこらへんを歩いている中学生だ。

頭は平均、容姿も平均、運動能力も平均。

彼女なし。

ちょっとオタクなだけだ。

名前は虹谷 勇清だ。

今日もいつも道理、女子高校生の胸や尻をチラ見しながら学校へ向かう。

時折チラ見がばれ、ゴミみたいな視線を向けられることもあるが気にしない。


 ふと、気が付くと女子高校生たちの視線がある一点に集まり、ひそひそと話をしている。

どうしたのかと思ってその視線の先を見るとまさにイケメンが電車に乗ってくる。

下手な俳優よりかっこいいレベルだ。

切れ長の瞳はどこか冷酷さを感じる。

冷たい印象が頭にこびりつくのだが、女の子たちの視線はそこから離れない。

そんな冷たそうな男より僕の方がいいと思う。

僕だったら優しいもの。

なんでそんなのが女の子はいいんだろう。

女心は難しいっていうけど本当に理解ができない。

どうして自分がもてないのか…



 人生の謎、世界の謎を考えていると目の前が急に真っ白になる。

!!

異世界召喚だ!!

100分の1秒もかからず思考する。

普段その10分の1でも頭が働いていたら成績ももっとよかっただろうというレベルの思考速度だ。

そもそも白く光っただけで異世界と判定するとは…




 再び意識を取り戻すと目の前に絶世の美女がいるのが見えた。

つやのある紫の髪に白いトーガが似合っている。


「このたびは誠に申し訳ありません。あなたたちはわれら善神たちと悪神たちとの戦いに巻き込まれ死亡しました。お詫びに異世界に転生させましょう」


「フエフエ、異世界で無双できるぞ」


 おっと、危ない本音が出てしまった。

クールな僕のイメージが壊れてしまう。

一瞬冷たい視線が突き刺さった感じがするが気のせいだ。

これだけたくさんの人がしゃべっているのだ。俺の声だけが聞こえるはずがない。





 転生の特典がもらえると聞き、急いで走って近寄る。

こういうのは個数制限があって早い者勝ちなのだ。

前から3番目だ。いいのが取れるのだろう。

 



 


 ついに自分の番がくる。

今まで一度も女の子と話したことのない僕がいきなり女神様とが初めての話し相手なんて緊張する。

女神さまが僕に惚れたらどうしよう。 

キャハハ~ウフフ~な展開かな?

こういうのは惚れた女神さまが僕にいいスキルをつけるのは定石だ。


「きみの僕を思う気持ちをスキルでちょうだい」


【嫌われ者を手に入れました】


 っえ? そんなわけない。絶対僕が主人公なのだ。


「そんなツンデレはいいよ。ほら僕にほんとの気持ちを。未来の夫なのだから」


 女神様の冷たい視線や周りのかわいそうな子を見る視線に嫌悪の視線に気づいていないのは本人のみ。


「それが本心です。邪魔なので。次の人が待ってます」


 女神様が冷たい声で言い放つ。


「そんな!! もう周りがいるからいけないだな。ほら今は鑑定だけでいいから頂戴。主人公なんだから」


「それぐらいならいいでしょう」


 蔑みの視線と一緒にスキルを付けている。


【鑑定を手に入れました】


 ふっ

僕の異世界無双が始まるのだ。

僕のために踊ってくれよ。モブども。

女神様はこの後僕だけを残し、そしていい関係になるんだ。





 全員にスキルを付け終わり転生されるときになる。

一気に転生させられる。





 次に目覚めるとボロボロの崩れかけた建物に横たわっているのがわかった。

これが女神様の家なのか汚いな。




 そのまま愚直に待ち続けること一日。

むさいおっさんと薄汚れた女の人以外誰も来ない。

女神さまを出すようにむさい執事に言おうとする。


「あぎゃ~うぎゃ~」


 声が出ない。



 ここまで来ると、幾らとろい彼でも転生したのだと分かる。



 なぜだ? 

約束したのに…

一緒になろうと…





 彼の都合のいい頭はいいようにすべてを捻じ曲げる。

彼は来ないのを自分への試練だと思ったのだ。

あまりにも都合がよさすぎるのだ。

次に彼が考えたのはスキルにメッセージが残されてることだ。




 ばれないようにメッセージがあるのだ。

それをクリアして一緒になれるのか。ふふっ

 鑑定!!



名前 オベルト

種族レベル 0.03

種族 人間

年齢 0歳

スキル 鑑定、嫌われ者

装備 布の服

才能 0.2





 どこかにメッセージが残されていないか?

彼は血眼になりながら探す。



 成果はなし。

当然だそもそもないのだ。




 あきらめた彼はスキルについて調べることにした。




鑑定:鑑定した対象のすべてを知る

嫌われ者:きらわれる



 今は普通だがいつかチートになるのだ。

彼は信じて疑わなかった。





 8歳になった。

彼はつらい人生をおくっていた。

言わずもが嫌われ者のおかげだ。

親以外のすべての人間は彼を見ると暴言、暴力をふるう。

それでも彼はめげなかった。

成り上がりができると思っていたからだ。

愚直に努力を続けた。

明るい未来がくると信じて。






 親からある提案を受ける。


「おんめぇはうちんこしちゃ頭いいけ、学園を受けたらどーだ」


「学園?」


 美少女たちとのキャハハウフフ~の展開か。

いよいよ成り上がりだ。

待ってろよ。


「そうだ、学園はタダで行けるし、シケンもただで受けられるそうだ。ダメもとでやってみたらいい」


 なるほどぼくの知識チートが役に立つときか。

たのしみだ。





 10歳になった。

いよいよ学園の入学試験だ。

平民なので魔法はない。

しかし、魔法はいくら練習をしても使えなかった。

女神様は魔法があるといったがなぜか僕には使えない。

魔法が使えない分不利になるが僕には関係ない。僕はチートだからだ。

いそいそ学園へとむかう。

学園へ行けばすべてがよくなると信じて。



 途中で貴族の馬車を見かける。

獅子の紋章が打たれている。

心の中にひそかな憎しみの感情が沸き起こる。

自分は本来だったらあそこにいたんだ。

こんな風に嫌われ、ゴミみたいな食事をとってるはずの人間ではないのだ。

不満は少しづつたまっていく。




 試験で一位を取って見返してやる。

彼はやる気を漲らせ、試験を受ける。

武術では死に物狂いで試験官にかすり傷を付けた。

試験官に傷をつけられる人物はなかなかいないという。

かなりいい評価がもらえただろう。

貴族のぼんくらでは俺に勝てないだろう。





 次に筆記だという。

こんな世界の問題など一瞬でできるだろう。

これも一位確定だな。






 なめてた。ハッキリ言って2割も解けていない。こんなに難しいとは・・・

絶望を感じる。

ここから成り上がるはずではなかったのか?

ふと周りを見渡すと誰もペンが進んでいない。

寝ている人までいる。

やはり難しすぎるようだ。希望が見えてきた。







 試験が終わった。

一位をとれてるかと思うとニヤニヤが止まらない。

親にも主席をとれたと言った。

まったく信じていなかったが。






 3日後学園へと行く。

あたりは静まっている。

俺の名まえが一番上にあるかと思うと、ほんとにニヤニヤが止まらない。

ランキングが発表される。

オベルトがあるはずだ。

え?

2番だった。

なぜ僕が?

これからちやほやされる予定だったのに…

誰だこいつは?

俺の邪魔をして…

たまり積もった不満が爆発しそうになるのがわかる。

誰だ? レオン・レンフィールドは。


「レンフィールド家ってあの獅子の紋章の家だよね」


 あちこち騒がしく、聞こえないはずなのにその声だけはっきりと明瞭に聞こえる。

あの時見た貴族か。


「オベルトってのもよくやってるけど一位があれじゃかわいそうね」


 さらに不満が高まっていく。




 あそこでうじうじしてても仕方ないので願書を出しに行く。

受け付けについたとたんワッという音が聞こえる。

女の人の高い半分裏返った声が聞こえる。


「あなたがレオン・レンフィールド様ですか?」


 その声を聴いたとたん体が沸騰するのがわかる。

人ごみを押し分け掻き分け前に行きそいつの顔を見る。

あいつだ!!

転生する前に電車に乗っていたリア充の男だ。

転生前よりはるかに美しくなっているがあの独特の雰囲気はあいつだ。

丁寧な言葉を使いながらもまるで感情の込められてない声。

物静かといえば聞こえはいいが…

奴はそのまま受付の人に案内され中に入る。

本当だったらあそこは俺だったのに。

願書を出す気力もなくなった。

転生前も負け転生後も負ける。

自分がみじめになっていく。




 理由はなしに学園前の小さな道具屋の前に立ち出ていく人を眺める。

あいつを恨むのは筋違いだと分かっても他のものに操られてるかのように憎しみが巻き起こる。

ふと目をやるとあいつが出てくるのが見える。

つけろ。何者かがいうような気がする。

ついて行く。

からだの奥から命じられるような感じだ。



そのままついて行くと細い路地に入るのが見える。

殺せ!!

自分の体の奥底から怒りが沸き起こる。





 不意打ちをしたいが、最後の意地で言う。


「よう」


 あいつがこちらに振り向く。


「お前、転生者だろ」


 鑑定をする。


名前 レオン・レンフィールド

種族レベル 43

種族 人間

スキル 幸運lv3

    成長力アップlv2

    直感lv5

    スキル強奪

    魔力回復速度アップlv2 

    4属性魔法lv2

    剣術lv2

    サバイバルlv1

    嗅覚上昇lv3

    斧術lv3

    未来視lv1

装備 上質な布の服

   鉄の剣

才能 16




 あまりにも強すぎる。

これじゃ負けるのも当然だろう。

この10年間の差は何だと愕然する。

強く打ちのめされる。

目の前が暗くなる。

しかも鑑定で一番重要なのは才能値。

これはもろに成長力に直結する。

平均は1。

しかしこいつは平均の16倍の成長力を持っている。

しかも僕の80倍だ。僕が一日中、例えば16時間勉強してもあいつは12分以上勉強すれば僕を一瞬で上回る。

僕は理解した。

こういうのがチートだと。

才能の圧倒的な差…


「お前も転生者か」


「ふん、お前は僕に勝てない。なぜなら鑑定を持っているからだ。鑑定を持っていれば誰にでも勝てる」


「そんなわけありません。それは幻想です。魚が空を飛びたいと思っても飛べないのと同じように」


「努力をすれば誰でも何でもできる」


「努力か… そうか。俺に足りないものか。ふふっ」


 おかしそうに目の前の男は笑う。


「それで何の用だ?」


「貴様を殺しに来た」ぎろりと睨まれて、かなり怖い。


「ほう。それは容赦できないな」


 魂が底冷えするような声で言われる。

腰の剣をすらりと抜き放ち切っ先を向ける。


「これが差だ」


 言われたとたん、


【鑑定を強奪されました】


 あまりにもずるすぎる。

これほどの才能に反則技。

強いものはさらに強く成り、弱いものは搾取されるのか・・・



 切りかかる。

今までで一番の出来だと思った切りかかりもたやすく受けられる。

幾度も切りかかるが相手は一歩も動かずこちらを押し返してくる。

相手は一度も攻撃をしていない。

もはや絶望しか感じられない。


「こちらから行くぞ」


 その声を聴き身構えるが、次の瞬間胸から剣がはえていた。

いつの間にか目の前にレオンがいる。

先端部から感覚が消えていく。

身体が凍えるように寒い。


「お前のことは覚えていよう」


 その声を境に気が遠くなる。





 虹谷 勇清 この世での名前オベルトがこの世から消えた瞬間だった。

享年10歳

死亡原因は失血死






レオンの意味の分からない行動は?

そのうちわかります。

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