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合格

 いよいよ合格発表の日だ。

学園の前に上位100人が名前付きでランキングが張られ、合格者はその下に受験番号のみ小さく書かれるのだ。

学園はこの都市の中心にあるのだが学園へいくための大通りは数えるのもめんどくさくなるほどの人がいる。

母とセーネと一緒に人の波にもまれながら学園の方へ向かっていく。

道を行く人もみな表情が硬く、悲痛な顔をしているもののいる。



 学園の前にたどり着くのだがそこは異様な静けさだった。

これほどの人がいるものの私語はほとんど聞こえない。

一種の異様な空気がそこにあった。

これから紙が張り出されるのだがその直前は空気の圧力が高まる錯覚すら起こす。



 学園から教師が出てきてランキングを張ろうとしている。

群衆の視線は否が応でもその教師の背に集まる。

その教師も無言の圧力により手が少し震えてる。



 ランキングがとうとう張り出される。

一斉に人々がランキングを見ようとして前に駆け寄る。

後ろからのすごい圧力により、前に押し出される。

母とセーネは無理というばかりに抜け出て安全圏からこっちを見てくる。

仕方ないので押されるままに前に進む。

前から怒声、悲鳴、歓声などが聞こえる。

そしてついに張り出された紙の前にたどり着く。




______________________________________


今年度入学者一覧

受験者1万8790人

合格者689人


ランキング


1位レオンハルト・レンフィールド    得点983点

2位オベルト              得点213点

3位エリザベス・ジェイナ・ローレンシア 得点174点

4位ミーナ               得点114点

5位バルト               得点107点

6位シルヴィア             得点90点

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______________________________________


 このような感じだ。

普通に首席になっていた。

大した競争相手もいないとはいえ一位になったのは嬉しい。


 名前しかないものは平民なのだろう。

3位の人はミドルネームに国名が性となっている。つまりこの国の王族だろう。

しかしこれを見ればわかる通り上位は平民ばかりだ。

長男のシルヴェストルの45点がいかに低いかわかる。



 周りではレオンハルトは誰だとかいう声が聞こえる。

俺についてかなり話題が紛糾している。

俺についての意見は2つ。

こんなに点がいいのはあり得ないという声に、わいろを渡したとしても王族より上になることはないから本物だという声の2つがある。

前者の方が勢いは強そうだ。

誓約で不正行為はできないはずなのにひどいことを言うと思った。




 

 母とセーネのいるところに戻る。


「どうでしたか。」


「受かりましたよ。上位100人に入れましたよ」


「それは素晴らしい。お父様も喜ぶでしょう」


 満面の笑みを浮かべている。


「それでは入学手続きをお願いできますか?」


「もちろんです」



 入学手続きを受け付けている受付へと向かう。

其処は学園前のごみごみとしたところと違いここはあまり人がいなく静かだ。

受け付けに並んでいる人はみな晴れ晴れとした顔をしている。

勝利者の顔だ。

受け付けに並び入学手続きをするのを待つ。



 母が俺の氏名と受験番号を言う。

受け付けの人の顔が驚愕に包まれ、周りの人の視線もこちらに向く。


「レオン・レンフィールド様ですか!!」


「どうしたのですか?」


「どうしたの何も、歴代最高を軽々上回った学園始まって以来の天才ですよね!?」


 こちらを見てヒソヒソ声が交わされる。


「ふ~ンあんなのが取れるのかね?」


「どうせ袖の下とおしたんだろ」


「あんな点数ありえないよな」


 母はそれに気づかないほど呆然としている。

次の行動が予測つかない。

魂が抜けたかのようだ。


「レオン様は来たら呼んでほしいと学園長が言っておりました。少々お時間をいただけませんでしょうか?」


「わかりました」


 母に事務のこまごまとしたしたことを任せ学園長の部屋まで行く。

もう学園はとてつもなく広かった。

部屋まで行くのに10分かかるのってどれだけかと思ったのはここだけ話だ。



 そのまま案内されるままに学園長の部屋にたどり着く。

中に入ると3人の人がいた。

ひとりは顎に豊かな白いひげを蓄え髪の毛も真っ白な100を超えていそうなおじいさん、目の光は衰えておらず、深い知性を蓄えこちらを興味深そうに眺めている。

もう一人は優男の輝くばかりの銀色の髪を持ったあの武術主任。残るは魔法の試験の時にうろたえまくっていた女の人である。


「ねっ? 会ったでしょ」


 銀髪が話しかけてくる。


「おぬしは少し黙ってくれ、ハロルド」


「ハイハイ」


 どうやら武術主任の名前はハロルドというらしい。

老人が口を開く。


「おぬしが不正をしたのでないのはわかっておる。ただどうやってあの問題を解いた?」


 ?へっ?


「どういうことですか?」


「おぬはし異世界人ではないのに不思議だ」


 この人、異世界人を知っている。どういうことだろう。


「異世界人とは?」


「言葉の通り異世界から来たものだ。なぜ私がこのようなことを言っているのか不思議だろう」


 要領を得ない。何が言いたいんだろう。


「おぬし、筆記の問題どう感じた」


「とても難しく感じました」


「そうだろう。わしもさっぱりわからない」


 ?? 何が言いたい?


「不思議そうな顔をしておるな。まぁやむを得ない」


 深くため息をつくと


「あの問題はわしが作ったのではない。学園の創始者が作った問題をそのまま流用しただけだ。世間は我々が問題を作ってると思ってるがそうではない。異世界人がこの学園を創設したのだ。彼の名はシラカワ ツトムといったそうじゃ。彼は最後にこの問題を解けるのは異世界人のみだといっておったが・・・おぬしも知っての通り、伝承の通り、異世界人は黒い髪と黒い目をしてるがおぬしはそうではない・・・青い髪に青い目だ。シラカワ殿がまちがえるなど…」


「その人の名前は聞いたことがありません。勇者の名前とも違いますし」


「この世界には随分とたくさんの異世界人がおるが、その多くは存在を認知されていない。彼も認知されていないものの一人だった…そのようなことはいい。おぬしはどうするつもりだ?」


「どうするとは?」


「おぬしを教えられるものなど誰もいない。特に筆記は…おぬしはこの世界で最も頭がいいだろう。わしですら越えられん。武術はハロルドに任せるとして… キャサリンはどうするのだ?」


「私では教えられませんが、図書室の本は彼にとってためになるでしょう」


「フム。それでは武術はハロルド。魔法は図書館での自習。学園が君にできることなどあまりないがそれでいいだろうか?」


「魔法はお願いします。私は基礎のみで特殊な魔法を知りませんから」


「わかった。それで手を打とう」


 そのあともこまごまとしたことをお互いに綿密にすり合わせる。




 学園を出ると日は傾いている。

真っ赤に染まる町の中を歩き宿に戻る。



 細い路地に入ったところ、後ろから細長い影が差し込む。

振り向くと俺と同じほどの背丈の男が立っている。

顔は逆光のせいで見えない。


「よお」








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