試験2
まだ名前のわからない高慢ちきな女の子と一緒に筆記の試験を受けに行く。
もう逃げるのがめんどくさくなったのだ。
試験会場は人でごった返していた。
陰で半べそをかいているもの、成績が良かったのか満面のドヤ顔をするもの、貴族のかったるげな表情。
ありとあらゆる表情がここで見られるほどだ。
ちなみに俺の顔もかったるげになっているだろう。
整理をする係の人が声を張り上げ誘導しているおかげで次から次へと人が廊下に吸い込まれていく。
「みんな辛気臭い顔をしているわね。まぁ、もうのぞみがないからでしょうけど」
まさにここにいる人の9割がマイナスのオーラを放っている。
「私には関係ないけどね。どうせ主席は私だし」
こめかみがピクピクと痙攣する。
落ち着け。こんなガキになにを切れてる。
ほんとに高慢だ。
悪気はなくても人を馬鹿にしたような雰囲気だ。
完全に見下している。
貴族の特性だからこの子が悪いというわけではないのだが。
ほんの10分ほどして係りの人に呼ばれる。
廊下を歩くとズラズラと日本の高校のように教室が連なっている。
それぞれの教室に今まさに試験を受けている受験生がいるがほとんどの人の手は止まっている。
よほど難しいのだろう。
廊下をまんなかほどまで進み教室に入り、着席をする。
すでに半分ほどの席は埋まっている。
俺は一番後ろの端の席に座る。
ほどなくして、一枚の紙を配られる。
______________________________________
誓約書
1:この試験について一切他言しないこと。
2:この試験の結果は返却されません。ご了承お願いします。
3:一切の不正行為をしないこと。
______________________________________
こう3行にわたって書かれた誓約書がある。
異論はなくそのまま誓約する。
この誓約書は破るとかなり重たい罰が下るらしく、前貴族が、受験した平民に試験の内容を話させようとした途端どちらも廃人になってしまったというほど重い罰だ。
しかしみんな不平ひとつ言わずに誓約をする。
こんなことでごねて一生を台無しにするのは誰でも嫌だからだ
誓約書が回収、チェックをされてから問題が配られる。
およそB5判程度の紙が10枚ほどと鉛筆がまとめて渡される。
解答用紙も2枚ほどにわたる。
係りの人が時計みたいなものを見ながら言う。
まず初めは数学の試験だ。
「試験時間は3時間。それでははじめ」
ながっ!!
時間をつぶしてるわけにはいかないので問題を解く。どうせすぐ終わるだろうから。あとは寝よう。
一番初めは普通の足し算、引き算の問題だ。
1-1
3+4=
7+9=
19+26=
8-3=
14-7=
・
・
・
20問ほどあったが一瞬で解く。
周りをチラ見するとかなりてこずってるようだ。
そのまま進む。
1-2
1.2+3.8=
4.7+6.4=
6.9-3.2=
3/6+3/5=
1/7+4/2=
4/7-2/9=
・
・
・
分数、少数の問題も交じり始める。
乗法除法云々。
これも大したことなくさらっと進めていく。
次第に問題は難しくなっていく。
・(x+y)(y+z)(x+z)+xyz因数分解せよ
・0.12×0.27の循環小数の積を既約分数で示せ
・不等式ax〈4-2x〈2xの解が1〈x〈4の時aを求めよ。
・実数xyがx²+y²=2を満たすとき最大値最小値を求めよ。
・0≦θ≦180°の時関数y=sin²θ-cosθの最大値最小値その時とθの値を求めよ。
・△ABCにおいてasinA+csinC=bsinBが成り立つとき形を示せ。
・この国の年齢に対する分散を求めよ。
・袋の中に中に同じ大きさの赤玉m個と白玉n個併せて30個入ってる。赤玉のうちxには奇数残りは偶数が記してある。また白玉にはy個に奇数が残りは偶数である。無作為に1つ取り出すとき赤玉である事象をR、白玉である事象をW、奇数である事象を0、偶数である事象をEとすると確率Po(R)=5/7 Pw(E)=2/3 P(RnE)4/15とするときmnxyを求めよ。
ここ異世界だよねっ!?
下手な大学よりむずいんだが。
俺にはまだ大丈夫なのだが、まだ半分行ってないぞ。
このペースで行くと最後はかなりやばい。
いつの間にか周りの鉛筆の書く音も消え去る。
かなり頭を悩ませながら解く。
異世界からの賢者ですら200点程度しか取れないのもうなづける。
後一問で残り10分を切る。
最後の問題だ!!
0〈aとする。カテナリーy=a/2(eª/x+e⁻x/ª)上の定点A(0、a)から点P(p、q)までの孤の長さをlとするとこの曲線とx軸y軸および直線x=pで囲まれる部分の面積をSとする時S=alを示せ。
難しすぎです…
何この積分法の応用に図形証明の複合問題は…
異世界人って頭よくないか?
定点Aをtに置き換え……
…と置いて… ……∯を解き……
……よってS=alと証明される。
何とかぎりぎりに書き終わる。
それと同時に終了の合図が鳴る。
余裕だと思っていたが、想像以上に難しすぎた。
これって国公立最高峰の大学レベルの問題のレベルだぞ…
解答用紙を集めるときに解答を見られてぎょっとされる。
集中しすぎて周りが見えてなかったがこちらを見ながらコソコソと話し合っている。
耳を澄まして盗み聞きすると陰口をたたかれている。
「ふんできないからって適当に書いてて」
「さすが貴族。俺たちは真剣なんだぞ」
「できるわけないだろう」
「あの紋章は西部辺境伯の家紋じゃないか」
「どうせ10点とかだぜ」
あまりにもひどいことを言われまくる。
くっそ見てろよ。合格発表される時を!!
「あんたできないくせに何を書いてたのよ。こっちが恥ずかしいじゃないの」
「…」
もう何も言うまい。何を言っても無駄になりそうだ。
ほんとこの女もずけずけといいたい放題いいおって。
この数学の試験が終わった後、30分の休憩を言い渡され、そのあとは地理の試験をやることになる。
地理の試験は主にこの国のことについてであり、小さいころから世界地図を見ていた俺には余裕であった。
同じく歴史と地理の試験の間に30分の休憩が取られ、3つ目の試験が始まる。
歴史も本棚にあった本の内容を覚えていたため簡単に終わる。
ちなみに最後のこの2つの試験は1時間30分の長さで行われた。
テストは終わり解散になる。すでに外は真っ暗で天上にはまばゆいばかりの星がさざめいている。
合格発表は三日後だ。
おそらく1位を獲れていると思うのだが…
「また会いたいわね。レオン」
高慢ちきの女の子が顎を上げ、無い胸をそらす。
こっちは全くあなたに会いたくはないのだが…
そのまま学園前で彼女と別れ、まっすぐ宿に帰る。
「どうだったの」
母やセーネが聞いてくる。
「うーん、微妙」
適当にごまかしておく。
三日後が楽しみだ。
問題難しかったですかね?
最後以外は大丈夫かと思いますが。




