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試験1

 いよいよ入学試験の日がやってきた。

子供たちの初々しい顔は緊張と期待のあまり強張っている。

彼らはここが人生の分かれ目なのだ。

彼らの付き添いのもののみな表情は険しい。

ここで一生畑を耕し続け搾取されるか、下級とはいえ官僚になり華々しい人生になるかの運命の分かれ道なのである。

まさに天国か地獄になるのかの瀬戸際なのだ。



 それに比べ貴族の子弟たちの顔にはあまり緊張感が見られない。

そのためびりびりした平民から敵意ややっかみの視線を受けるが、気にすることなく試験場に入っていく。

彼ら貴族にとって試験とは家の評価を上げるもの、もしくは将来の仕事でよりよい地位になるため程度のものである。

試験の成績が悪かろうが学園に入れるし、将来も最低でも中級官僚までは保証されているのだ。

たとえ無能でもエリートの平民を顎でつかるのだ。平民の不満も否が応でも高まっていくものである。




 毎年1回の試験で採用されるのは貴族がおよそ100人前後、平民が600人ほどだ。

貴族は絶対数が少ないうえに王国すべての貴族の子弟を集めてもこの程度にしかならないのだ。

それに比べて平民の数は多いように思えるがこの試験はタダなため国中から試験を受けさせにやってくる。その数はおよそ2万人にも及ぶという。合格率はおよそ3パーセント。東大に入るより難しい。

そのせいで今この町はとんでもない数の人がやってきて宿も足りないありさまらしい。

半分以上の人は野宿をしているらしい。

この風景も学園都市のこの時期の風物詩らしい。


 これほどの人数を一気にやるなど不可能なためローテションを組んで消化するらしい。

武術、魔法はひっきりなしに採点され

筆記の問題では会場に500人ずつ入れ試験をする。

毎年誓約の魔法を結ばせ後の人に問題がわからないようにしているらしい。










 まず初めに武術の試験会場に行く。

その試験では試験管の先生との模擬戦をしてどのくらい動けるのかを採点されるらしい。

教員に勝てるものはほとんどいないらしくどれだけ耐えられることができるのかが焦点になっている。

試験会場は闘技場みたいなところでやるらしいのだが、ひとりひとり誰にも見られず個別に試験を行うらしい。

ついに僕の番になり剣を持ち闘技場に入る。

だだっ広い闘技場の中心にいかつい巨大な男が立っていてその周りに採点をするための人が周りに10人いた。

みな手に板を持ち何かを書き込んでいる。

「名前と受験番号を」

自分の名前と紙に書かれていた受験番号を告げ、試験官と相対峙する。

身長は2mを超え横幅も僕の数倍はある。

「俺を見てビビんないとは大した度胸だな貴族様よ。それとも怖くて動けないのか?」

目の前の男は試験官をするだけあって確かに強いが、幾度となく死線を潜り抜けた俺には弱点が一瞬で看破される。鍛えられた上半身に比べ不釣り合いな下半身。力はあるが機動力がないタイプだ。

ちょこまかやれば追い付けないだろう。

「そんなことはないよ。どこからでもかかってきなさい」

思いっきり挑発をする。

男の反応はわかりやすく、一瞬で顔をどす黒くさせながら一気に切りかかってくる。

剣を抜かず体をぎりぎりそらして避ける。未来視のスキルのおかげで丸わかりだ。

カインさんみたいないきなり軌道修正をさせスキルを無効化する化け物と違い3,4段階も下にいる。

挑発を繰り返し攻撃を単調化させる。

大ぶりな動きのせいで肩で息をし始め、剣に切れがなくなりかけている。

「ちょこまか逃げてないで俺と打ち合え!!」

「そんな必要はないね」

いきなりわきに入り鳩尾を思いっきりつく。

見た目は子供でも力は圧倒的にある。

桁違いの力を鳩尾にくらい試験官は崩れ落ちる。

周りで動きを見ていた試験官たちが騒ぎ始める。

ちょっとやりすぎたかな?

「素晴らしい」

ひとりの男が闘技場の端から現れる。

長身で赤い瞳銀色の髪を持った優男だ。

「武術主任!!」

周りの試験官が驚愕の声を上げる。

やはりか。

まとう空気は全く違うが根本のところはカインさんと同じ匂いがする。

強者の匂いだ。確かに武術派の教官のまとめ役なだけある。とんでもない化け物だ。

「なぜここに?」

「いや彼のことはとある伝手で聞いてね。神童くん」

ばれてました。

「???」

「わからなくていいよ別に」

「はぁ~・・・」気の抜けた試験官たちの声

「私はオルド。数日中にまた会うことになるだろう」

そういうと颯爽と背中を向け去っていく。

「う~んと君。次の試験会場いっていいよ」

何とも気の抜けた終わり方だ。




 なんとなく不完全燃焼のまま魔法の試験会場へと向かう。

会場はさっきと違い貴族のみのため、急にすかすかとする。

「あなたどこの家の人であって?」

可愛らしい声が後ろからかけられる。

振り向くと気の強そうな金髪にクリッとした目を持つかわいらしい女の子がいた。

服装から見ても超高級品である僕の服よりさらにゼロが1つつくほどの服を着ている。

たぶん相当上の貴族だろう。

「レンフィールド辺境伯爵家のしがない3男でございます。あなたはどこの出で?」

「なんでいう必要があるわけ」

本当に憎たらしい小娘だ。

こういうのはプライドを刺激させればホイホイとしゃべってくれるが相手にするのもめんどくさいので早めに終わらせる。

「それはそれは。聞くのも野暮というものでしょう。それではわたしはこn・・・」

「待ちなさいよ! 貴方辛気臭い顔をしてるわね。テストダメだったんじゃないの?まぁ私には当然比するべきもないだろうけど」

本当に憎たらしい小娘だ。

もう離れよう。一緒にいるのがめんどくさい。

「それでは失礼します」

さっさと離れる。こういうのは相手にしているとずっと引っ付いてくるタイプだ。

うんざりとしながら魔法の試験場へと向かう。

魔法の試験場もまた闘技場みたいなところでやる。

一体いくつの闘技場があるのだろうか?

学園もとてもでかくマンモス校というレベルだ。

日本の大学よりはるかに大きい。

国に一つしかないのだから当然なのかもしれないが・・・

ここでもまた闘技場に入ると受験番号と氏名を言う。

周りを10人ほどの試験官がこちらをなめるように観察をしているのは同じだが、さっきと違い模擬戦をする相手がいないことぐらいだろうか。

「それでは魔法の試験を始める。自分が放てる最大の技を的に向かって放て」

的は今立ってる場所から30mほど離れた場所に直系30cmの程のものがそれだ。

試験官の女の人の合図により構築を始める。

放つ魔法はただの炎の散弾にする。

さっきやりすぎたのでほどほどにしておく。

技術はあまり必要とされない、魔力を込めてただのごり押しをするだけのものだ。

全体の魔力の3割ほどを使い散弾を放つ。

 


 莫大な魔力により青白くなった炎の散弾が碧の軌跡を描きながら殺到する。

的に中ったとたんすさまじい轟音が聞こえ、的のあったあたりは地面が融解してマグマ状になっている。

次第に冷えてピンクのもちみたいなものから透明なガラスになりつつある。

これはやりすぎたのか?

だいぶ手加減したのだが・・・

試験官たちも口をぽかんと開けたまま固まっている。

「できました」

「「「「・・・・・・・」」」」」

返事がない。

ただの屍のようだ。

「えっと、なにをやったの?」

復活した。

「魔力のごり押しです」

「信じられん」とか「どれほどの魔力を持ってるのか」とかぶつぶつ小さくつぶやく声が聞こえる。

「的は予備があるからいいのですが地面はどうするつもりですか?」

完全に失念していた。

気まずさからさっさと抜け出そうとしていたのだがこれは直さないとやばいだろう。

器物破壊容疑にかけられないだけまだよかった。

さっさとストーンウォールを発動させ破壊の痕跡は地下に葬り去る。

「これでいいですよね?」

また空返事になる試験官たち。

さっきといい今といい俺を教えてくれた人の基準、例えばカインさんにユウエル、セーネのレベルがが飛んでもなく高いということが分かった。

力は隠した方がいいだろう。

今更かもしれないが・・・

こそこそと小さくなって闘技場から抜け出し次の会場へと向かおうとする。

「何あなた、また失敗したの。みじめね~。私もう主席確定よ。先生がほめてくれたんだから」

さっきのめんどくさい女の子だ。

偉そうにしてるが話を聞いてる限り出来は悪くはないのだろう。

あいまいに笑いながら次の会場へと向かう。

「そういえばさっき、どこからかすごい轟音がしたんだけど貴方知ってます?」

俺のことです・・・

「知りません。何かあったんでしょうね」

もう逃げるのも面倒なので話しながら筆記、主に数学の試験会場に向かう。



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