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転生そしてスキル

更新不定期ですがよろしくお願いします!!

スキル強奪はかなり制限をつけます。

「うぅ ここは?」


 気絶から目覚めるとそこは白い空間だった。

いったいここはどこだろう。

周りを確かめないとろくに動けないな…

彼の思考は突如天上から降ってくる声によって妨げられる。


「目覚めましたか? 皆さん!!」

  

 声がしたところを見るとそこには目もくらむような絶世の美女がいた。

片方の肩がむき出しになった古代ローマ風の純白の衣をまとっていて、そのむき出しの肩は陶磁のように滑らかだ。

くっきりとした二重の瞼は顔立ちをハッキリとさせているものの、パッチリとしている目は普通は意思を強そうに見せるもののこの女はけだるげだ。

全体的になんとなく怠慢さを感じるが、それも絶対的な美しさにより目立たなくなっている。

周りの電車にいた人達も彼女の美しさにおもわず見惚れてしまっている。

女の人ですら嫉妬の前に純粋な感嘆の気持ちが沸き起こるようだ。

誰も声を発しない、いや発せられない。女の人がしゃべるのを待っている。

 

 

 この人は女神様だろうか? これほどの美しさを人の身で再現することはできないだろう。

それにここは重力が感じられず、どこまで続いているかもわからない白い空間にいるのだ。

これほどのことが神様以外にできるとは信じがたい。



「このたびは誠に申し訳ありません。あなたたちはわれら善神たちと悪神たちとの闘いに巻き込まれ死亡しました。おわびで異世界に転生させましょう」


 じっと俺たちを見ていた女神さまに美しい声で言われる。

どことなく声に喜びの気持ちが混じっているような…

  

 それにしても話がうまくないか? 

俺たちみたいな矮小な人間の死ごときに神が構うような暇があるのだろうか…

俺は蟻を踏み潰したとしても特にそれに後悔してお詫びなんてしないしな。


 

「ふざけんな! 生き返らせろ」


 後ろにいるヤンキーみたいな若い男が感情的になって怒鳴る。


「ウェェーン 死んじゃったの!?」


 前の女子高校生がショックで泣き崩れている。


「ふぇふぇ異世界だ!無双できるぞ」


 横からはオタクの心の底からの喜びの歓声。

たぶんないんじゃないか?

そんな都合のいいの… 

異議を唱えたい気分だ。


「君そういうのお詫びとは言わないんだよ」


 神経質そうな男が足踏みをしながら、しきりに眼鏡をクイッと鼻の頭にしきりにかけなおしている。

みんなそれぞれが思ったことを叫ぶ。

いきなりわけのわからない空間に来て、感情的になり冷静な判断ができないようだ。

この中で冷静に周囲を観察しているものは、自分を入れても数人しかいない。

  

    



「その件については本当に申し訳ありません。しかしあなた方の体は塵一つ残らず消えており、あなた方は魂のみなのです。つまり生き返らせられないのです。その代わりあなた方には転生してもらい、できる範囲でスキルをつけましょう」


申し訳なさそうな顔をして、頭を下げられる。


スキルだと!! 

これから転生する世界にはあるのか…

すごいゲーム感があるぞ…

そんな世界がありなのか? いや、あるだろうな。

何せ神様だ。どんな世界も思い通りだろう。

問題は本当にその世界にしか転生できないのかということだが…


 


「そんなのもらってどうすんだ」


「俺の時代!!」


「チート来た!!」


 興奮するものもそれなりにいる。

それなりにこういうことに理解力がある人たちだろう。

次にどういう展開がくるのか予測できているようだ。

誰もがストレスの多い日常から解放されたいのか思ったほど反対の声は起こらない。

何も言えないだけの可能性も高そうだが…




 

「これから転生する世界は中世の時代の剣と魔法の世界でそこで生き抜くために必要なのです」


 耳に心地よく響く声の中に、少し自慢の色を含ませ得意そうに言ってくる。


 これに誰もが大はしゃぎをする。

こういうことは、いくつになってもワクワクするようだ。

幾人か嫌がる声もあるが、圧倒的多数の歓声にかき消される。

そういう冷静にしているおれも内心は結構ドキドキとしている。


「それでは皆さん!! 『ステータス』と言ってください」


「「「「「ステータス」」」」」


 その声に従い一斉に全員が後に続けて言う。







   ____________________________________________

  

   Name:冷泉 伴憲

   Skill:幸運Lv3

         未来視Lv1

         成長力アップLv2

         直感Lv5



   ____________________________________________

   


 これだけか……

ゲームのステータス画面のようにHP、MP、身体値などはなく、スキルのみの表示だ。 

これは多いのか少ないのかわからないな。

他に人はどうなのだろうか?

  

「「「「「名前以外なんもないぞ」」」」」

   

 どうやら普通はゼロみたいだな。

名前以外に何か書かれているなんて自己申告する者はいない。

   

「今は前世から特殊能力を持ってる人でないとスキルは表示されません。これから皆さんにユニークスキルを一つ、魂の量に応じて差し上げます。私の前に並んでください」


 その言葉に我先にと駆け出す人と様子見が半々ぐらいだ。

まぁ俺は様子見としゃれこもう。

そして列がのろのろと進むのを眺める。


「俺には主人公補正を」


「私には容姿変更を」


「僕にはハーレムメイカーを」

 

 本当に様々な希望が出るな。

自分が何を言うかの参考にもなる。

    

 

そしてしばらくすると列の一番前から言い争う声が聞こえる。


「なぜ俺に即死魔法をよこさない?!」


 声に傲慢さをにじませている。

何が起きたのかを知るために発生源の方を注視する。


「だから、あなたの魂の容量が足りないんです!! 無いものをあげることなどできません!!」


 ひたすら頭を下げまくっている女神様に高圧的に迫るヤンキー風な男。 

俺の後ろにいたヤンキー風の男のようだ。


「もういい!!この役立たずめ」


 ヤンキーは脅してもどうしようもないと理解したのか、どすどす足を踏み鳴らすように立ち去っていく。

いや語弊があった。

正確には群衆の中に戻った。

ここから立ち去ることなんて到底できそうにないしね。


 

 今の言葉から新たなことがわかる。

つまり本人のレベルに見合ったスキルでないとだめで、あまり強力なのは取れないのか。

分相応のものしかダメということか。


 

 そんなどうでもいい考察も終わり、列が短くなりついに自分の分がやってくる。

人気なのは鑑定、アイテムボックスあたりか…

だが…


「スキル強奪でお願いします」


 これが一番いいだろう。

いくらでも成長ができる。

前世では超えられない人の身としての限界があったが、これには限界がない。おそらく無限に成長ができるだろう。

限界がないという意味では、限界突破でもよかったのだが考えているのと若干違いそうなのでやめておく。


「あなたは人としてはとても大きい魂ですが、このスキルをとるには制限および何かを犠牲にしてください。これは他のと一線を画すものです」


 目を見開かれ、若干驚かれた顔で言われる。

やはりか。かなり強力だからな。これぐらいは予想できる。何もただでもらえるということはないからな。魂がお金でスキルが商品ということだ。

それで捨てるものとしては何がいいか?

幸運と成長力アップは欲しいから未来視か直感どっちを捨てるか。

悩むな。

仕方ない。自分の直感を信じよう。


「未来視を捨てます」


「わかりました。本当にいいですね?」


 確認のあとに女神さまが何かをすると同時に体が少し変質するのがわかる。

少し違和感を覚えないでもないが、体に害はなさそうなので気にしないようにする。

   

「ところでなぜ私たちを転生させるのですか?」


 かなり疑問だ。

その疑問を解消するために聞いてみる。


「神様の争いに巻き込まれ、始めてなくなった人たちですので…」


 しょげかえった声で言う。

俺たちは相当に運が悪かったようだな。 

それにこんな大規模な神隠しなんて聞いたこともないしな。

たぶん俺たちが本当に初めてなんだろう。

   

 






「それでは皆さん転生させますよ。いい人生を」


 声が聞こえたかと思うとまたあたりは真っ白に染まり意識を手放す。


  


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