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魔物の大氾濫2

 町から少し離れた小高い丘の上に移動する。

広い丘の上は異様な雰囲気にだ。

いつもなら人と見ると、後先顧みず、突進していくイノシシみたいなゴブリンがこちらを様子見ている。

普段の行動とかなり違う。

両者の間にある緊張感は極限まで高まっている。

誰も声を上げない奇妙な沈黙がここにあった。

誰かの唾をごくりと飲み込む音が聞こえる。










 そして沈黙がついに破れる。

カインさんの「突撃!!」の掛け声

ゴブリンのリーダー格らしきものの蛮声

戦場は一気に熱気に包まれる。

彼我の距離の差は200m少し。

壮絶な白兵戦が始まる。








 戦場となる丘に移動する途中…


「セーネはどうするの?」


「私は、後方からの援護射撃ね。あんまり危険ではないわよ。それよりレオンの方が危ないんだからね。気をつけなさい。」


 その通りだ。

遊撃は、一人または少数で敵にあたる役のことだ。

それに選ばれるのは、精鋭かつ周りに被害を及ぼしてしまう可能性のある人が抜擢される。

俺の武器のバルディッシュはとてもでないが集団行動に向かない。

周りに大きな被害を及ぼしてしまう。それを選んだのは自分なわけだが…

冒険者の人たちもこれに当てはまる場合が多い。

冒険者は基本数名のグループを組み行動するのが一般的だ。

そのため集団行動に向かないとされているが、遊撃にすればかなりの成果が見込める。



 今回の作戦の概要だが、

まずは騎士たちが楔形の陣形を取り、ゴブリンたちに突撃をする。

そしてゴブリンたちの集団のある程度なかまで食い込んだらそこで横に割れ、中から遊撃の冒険者が突入、ひっかきまわし役になり、それと同時に残りの冒険者が集団の斜め前から強襲。

騎士たちは陣を整え、盾役に徹しその後ろから後方火力の援護射撃をするという作戦のようだ。

大体この作戦において4つのグループに分けられている。

1つ目はタンクの騎士。カインさんにユウエルがここだ。

2つ目は中から食い荒らす遊撃。冒険者のおよそ2割。最も危険で最精鋭が配置されている。

3つ目は左右から崩れかけたところを左右から強襲する8割の冒険者のグループ。

ちなみに自分はここに配属されている。

4つ目は後方の弓職、魔法職だ。騎士の突撃の際進行方向に攻撃を放ち負担を軽くした後、援護に入る役だ。セーネはここにいる。









 今先頭の騎士が接敵しようとしている。兜をかぶり顔が隠れているので誰かはわからない。

進行方向に雨あられと攻撃が降り注ぐ。

火の玉、風の刃、土の塊、体制を崩す水流。

そもそもゴブリンなど雑魚なのだ。次から次へとなぎ倒されていく。

騎士たちの強固な防御を崩せないらしい。騎士は攻撃を捨て、防御に徹している。

火力は後方からのみだ。

こちらの被害者はゼロだ。

そこで中から冒険者が躍り出て、攪乱をしていく。

血しぶきが舞い上がる。なかなかいい調子だ。

ゴブリンたちは混乱の極みに達しせっかく組んでいた陣形も消え去り手当たり次第に攻撃をしている。

混戦になってきている。

あたりには血なまぐさい匂いが漂い始めている。




 ついさきほど、初めての死者が出た。

数の利による囲まれてからの後頭部に攻撃を受けての死だった。

それを手始めにあちこちで数の暴力にやられる、冒険者が出始めた。

一番危険な前線だからだ。

これ以上の死者を減らすために、自分たちにも出陣の号令がかかった。



 横っ腹からゴブリンたちをたたく。

かなりのダメージを入れたようだ。

敵の指揮官も気づいていたもののかなりの被害を受けてる本陣に気を向けて、注意がおろそかになっていたようだ。

目の前にいた冒険者の壁も消える。あちこちに散らばっていくのだ。

目の前におびただしい数のゴブリンが現れる。

俺をを弱者と見定めたのかニヤニヤしながら剣を振りかっぶてくるが、それを一刀両断にする。

周りのゴブリンもまとめて上半身と下半身がお別れする。

血が頬に付着する。きっと凄惨な姿になっているだろう。

周りに人がいないのを確認して、両手の斧をふるう。

斧が当たるたびに吹き飛ぶ手、足、頭。

運よく剣を構えられガードするゴブリンもいるが、圧倒的な質量にそのままつぶされる。

両手の斧による圧倒的な手数とリーチ。

一振りで数匹のゴブリンがまとめてものを言わぬ骸となる。

俺の行くところで死の嵐が起きる。

血の煙が巻き起こり、動くものが肉塊へとなる。

次から次へと体に流入する、魂の力。

殺すたびに次から次へと強くなる。


【斧術lv2を手に入れました。】


 恐慌を起こし少しでも離れようと背を向けるゴブリン。その背を容赦なく切り裂く。

血の匂いと次から次へと湧き上がる力。頭は冷えてるものの興奮し歓喜する心。

次第に周りが見えなくなっていく。ゴブリンなど無意識で切れるのだ。

ふいに後ろに反射的に飛びずさる。

直感による反射的な行動だった。

目の前に他のゴブリンより大きな個体のゴブリンがいる。他のゴブリンの2倍程の大きさだ。

群れのリーダーらしきゴブリンだ。おそらくこれが今回の元凶だろう。

次から次へと葬り去る俺に業を煮やしたのだろう。

全身が怒りによるオーラに包まれているかのようだ。

ゴブリンとは比べ物にならぬ速度で打ち込んでくる。斧の先で受けるものの足が踏ん張り切れず数歩後ろに下がる。オークよりも強い。

かなりの力だ。ただの打ち合いでも体力を消耗する。ここは防御に徹する。後ろにどんどん下がりいなしていく。こいつを孤立無援にできればなおいい。後ろからゴブリンが襲い掛かるが風の刃で首が飛ぶ。

セーネからの援護だろう。助かる。




 徐々に後退し騎士団のところまで押し戻される。


「よし、よくやった。」


「いい判断だ」


 後ろから声がかかると同時に巨体なゴブリンに斬撃、魔法が襲い掛かる。

受けきれず、大きな傷を作るがさほど大きなダメージになっていなさそうだ。

敵意の燃える目でにらみつけてくる。


「助かりました。」


「お前はここまでだ。よくやった。ここからは大人の仕事だ。よく見ていろ。」


 カインさんとユウエルが前に立つ。



 そういうと2人は切りかかる。ゴブリンの気を分散させ、隙ができると切りかかる。魔法が入る。

徐々にゴブリンに切り傷が刻まれる。

先ほど受けた傷や今の斬撃に血を流しすぎたのか、動きが鈍くなる。さらに傷つく速度が速くなる。

そして膝をついたとたん後ろにいたユウエルが胸を突き殺す。

ゴブリンは吐血しそのまま前のめりに倒れこんだ。

派手ではないものの、基礎のしっかりとした熟練者の動きだ。





「さてお前は今回よく頑張った。周りを見ろ散り散りになっていく。俺たちの勝ちだ。」


「あぁ驚くほど被害が少なかったな。お前のおかげだ」


「怪我をしなくてよかったわ」


 カインさん、ユウエル、セーネから口々に言われる。


「ゴブリンリーダーを俺たちのところに引っ張る腕も見事だった」


「まぁ、途中で我を忘れてなければ完璧だったがな」


 ユウエルに見られてたのか。

「そんなのはまだ早い。これからだそういうのを身に着けるのは。」


 カインさんにもだった…


「でもこれからやるべきこともわかったでしょ。」


 セーネにもみられていたようだ。

どうやら万一のためにずっと見守ってくれていたようだ。







 戦いは2時間近く続きあたりは強い死の気配を感じる。

今日は、いったん町に帰り後片付けは明日からのようだ。

真上にあった太陽もかなり傾いている。





 町に凱旋して帰ると、一斉に歓声が沸き起こる。

死んだ人も驚くほど少なかったので、声も一層大きい。

みんながお互いに勝利の喜びを分かち合っている。

家族を失い泣いてる人もいたが、かき消されてしまってる。

騎士団は屋敷に冒険者はギルドに戻る。

そして町のあちこちで宴が起こる。

いつ果てるともわからない騒ぎは一晩中続いた。




 俺?寝てるよ。



無双でしたね。

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