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魅月

魅月について明らかになります。感想など頂けると幸いです。



「浅水さん、まだそんな事件調べてんすか?」

新人の宮下智則は俺が目を通す資料を覗き込んだ。



「お前には関係無い」と資料を鞄に直した。

「…スミマセン」少しすね気味で宮下は頭を下げた。



「ダメだよ宮下くん。浅水はその事件を調べるためにここ東京まで来たんだから」コーヒーを片手に赤橋拓哉は笑いながら宮下の肩を叩いた。




「マジっすか!?だってこの事件、15年前のでしょ?何だっけ?確か1人暮しの女性が殺された事件」




「そう。犯人見つかんないで結局未だ迷宮入り事件。この事件未だ調べてるのこいつぐらいだよ」赤橋は少し苦笑いでコーヒーをすすった。




「…すまないが宮下、俺にもコーヒーを頼む」

そう言うと宮下はニコリと笑いコーヒーを取りに行った。




「…赤橋、あまり余計な事を話すな」

「あはは、すまんすまん。宮下極度のKYだから一応、教えておいたほうがいいかなと」この顔からして悪気は無いのだろう。




「何か分かったのか?」

いきなり赤橋は真剣な顔に変わった。




「いや、今日は収穫0だ」



「確かその事件で死んだ女性ってお前の…」するとコーヒーを持った宮下が帰ってきた。

赤橋はマズイと話をそこで止めた。




「何話してたんですか?」



「ん?秘密」と宮下の頭をポンッと叩いて赤橋は戻って行った。




俺は宮下からコーヒーを受け取るとコートを羽織り鞄を持ち椅子を立った。




「どこか行くんすか?」



「あぁ、もう一度この事件の資料を調べてくる」




「俺も行っちゃダメっすか?」




俺は少し宮下を睨み付けた。本当に空気が読めないらしい。




「いや、そのまだ刑事になったばかりで仕事とかよく分かんなくて。良かったら浅水さんの仕事見てみたいなぁって」

なんて素直なバカだと内心思った。




「分かった…邪魔はするな」

すると宮下は満面の笑みを浮かべ「はい!」と返事をし、コートを手に取り俺のもとに走り寄った。

「よろしくお願いします!」

「あぁ…」

こういうテンションのやつは苦手だ。

そう思いつつもその場を後にした。






『恭佐、ここ分かんない』魅月はシャーペンを片手でくるくる回しながら言った。

教科書を指さし教えてとねだる。

『ここは…』俺もそれなり真剣に教える。

『ほうほう。やっぱ恭佐は頭いいね。恭佐の教え方分かりやすい』

少し照れる自分が恥ずかしかった。

『それに恭佐なら家庭教師みたいにお金出さなくても教えてくれるもんね』

『またお前は金か…』

少し呆れながらも魅月の頭を撫でる。

そしてまた2人は笑い合う。





「…水さん…浅水さん!」俺は夢だと気付いた。

「やっと起きた。つきましたよ図書館」




「あぁすまない」

先ほどまで魅月の夢を見ていたせいか異常に目が潤む。




「やっぱ最近寝てないんすか?目の下クマ出来てますよ」

車の反射するガラスに映る自分の顔を見て悲しくなる。

疲労が重なったせいか老けたようだ。






図書館に入ると新聞を真っ先に調べた。

新聞社によってその事件の捉え方が違うはずだ。

15年前の新聞を引っ張り出し調べた。




【東京都1人暮し女性看護師謎の死】という一面が目に入った。

【東京都1人暮しの女性看護師近藤魅月こんどう みつき(25)さんが図書館で倒れているのを館職員が発見。即病院へ搬送されましたがすでに息はなく死亡が確認されました。死亡現場は本棚の本が女性の周りに飛び散り、近くにはペットボトルが落ちていたということです。警察は殺人の疑いがあると調査中です。】

この事件結局殺人とされたが未解決なまま。

ペットボトルには毒物が混入されていたらしい。





「やはりどこも同じか」




「浅水さんは何でこの事件を調べてるんすか?」

やはり気になっていたらしい。




俺は新聞のその殺された女性の顔写真を指差した。

「元恋人」




宮下は驚いた顔を見せるとすぐに暗い顔へと変わった。




「スミマセン」

「謝るな。俺が話したのは謝らせるためじゃない」

俺は宮下の頭に手を置いた。




「お前が気にすることじゃない。それに元恋人だ。今はどうも思っていない」

思ってないは嘘になるな。



「…浅水さん。この事件俺にも手伝わせて下さい!」俺は目が点になった。

「はぁ?」つい間抜けな声が出てしまう。




「俺もこの事件、真相がしりたくなりました!手伝わせて下さい!」

「断る」即答だった。

こんなテンションが高いのとは無理だ。




「俺決めましたから!ストーカーのように浅水さんにお供します!」

「あはは、ストーカーで捕まえていいか?」

はっとした顔で宮下は子犬のような目で俺に懇願した。




「っ…勝手にしろ」

言ってしまった。

バカだ。




「はい!」

どうだったでしょうか?

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