第2話
初日からランキングに載れて嬉しかったです!
もし良ければ感想、評価等お願いします。
まだまだ初心者なので辛口の指摘等もお願いします。
一時間目開始。
ルールはシンプルだった。
隣の席の人と一対一で自己紹介をする。
片方がローテーションのように一つ後ろへ移動し、次の相手に変わっていくらしい。
つまり――逃げ場なし。
そして。
あの三人のうち一人は……五人目の位置にいる。
順番的に、確実に当たる。
その瞬間、視界の端に青い画面が開いた。
追加条件
・目を見て話せ
(いや無理無理無理!)
思わず心の中で叫ぶ。
コミュ症にそれはレベル設定を間違えている。
すると、画面の下に小さく文字が追加された。
(コツ:眉間を見ること)
……クエスト側が気を遣い始めていた。
優しいのか鬼なのか分からない。
一人、また一人と自己紹介が終わっていく。
心臓の鼓動が、順番が近づくたびに速くなる。
そして……
順番が来た。
目の前に座ったのは――
菊池なぎさ。
昔はゲームが好きで、よく一緒に遊んだ幼馴染。
だけど今は。
長い銀髪に、透き通る青い瞳。日本人離れした整った顔立ちとスタイル。
クール系美少女、という言葉がそのまま当てはまる存在になっていた。
確か、お母さんがロシア人だったはずだ。
……やばい。
視線が胸元に吸い寄せられそうになるのを必死に止める。
目を見ると緊張する。
クエストの指示通り眉間を見た。
これぞクエスト推奨方式。
幾分かマシになったな。
「えっと……こんにちは。」
第一声、それだった。
即座に画面が反応する。
「えっと」の使用はあと2回です。
英検かよ。
心の中でツッコミながら続ける。
ここで僕がこの数分間で考えた秘策。
それは……
「菊池さんのこと、なんて呼べばいいかな。なぎささん? 菊池さん?」
なんて呼べばいいかな?と聞き、選択肢に名前呼びを置くこと。
完璧だ。
このまま3人終わらせれば楽なのにな。
クエスト画面をチラリと見る。
……カウントされていない。
なんだよこのクソクエスト。
ルールくらい守れや。
すると彼女は短く答えた。
「なぎさでいい。」
許可、早すぎない?
ヌルゲーじゃん。
……いや違う。
問題はそこじゃない。
僕が抱えている一番の問題。それは…
恥ずかしくて呼べない。
さっきなんで自然に言えたんだ俺。
沈黙はまずい。
間を作ったら話せなくなる。
必死に視線を泳がせたとき、机の上の紙が目に入った。
自己紹介シート。
なぎさの趣味欄。
――ゲーム。
これだ。
「な、菊池さんもゲームとかするんだ。俺もよくするんだよね。」
言えた。
ギリギリ。
ここからどうする?
確か、コミュ障改善の本で読んだ。
会話で大事なのは――質問。
「それで、どんなゲームするの?」
なぎさは少しだけ目を丸くしてから答えた。
「スマブラとか……FPSとか。」
意外だった。
昔とゲームの好み、ほとんど変わってない。
しかも。
僕の趣味と完全に一致している。
そう。
この二人、元ゲーオタ仲間だった。
「僕もよくやるよ。あれとか、これとか……」
タイトルを挙げるたび、なぎさの表情がわずかに動く。
そして気づいた。
やっているゲームが、奇跡的に全部被っている。
これはいける!
少し沈黙。
そのあと、なぎさが小さく言った。
「……私も同じのやってて」
一拍。
「今度、いっしょにやる?」
――え?
思っていたより、ずっと好意的な反応だった。
自己紹介終了まで、あとわずか。
「うん。今度IDとか教えるね。」
そして。
「……なぎささん。」
言ってしまった。
イケメンじゃなければ許されない名前呼びを。
心の中で転げ回る。
その瞬間。
QUEST 2
進行度:1/3
カウントが増えた。
……進んだ。
ちゃんと。
なぎさが次の席へ移動していく背中を見送りながら、僕は小さく息を吐いた。
まだ壁は二つ残っている。
でも――
ひとまず、成功だ。




