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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

おかんシリーズ

息子が拾った子猫がなんだか変だった

作者: 猫茶屋

短編です。目に止めて下さりありがとうございます。

よかったらお暇潰しにどうぞ。

「おかん、子猫拾ったんじゃけど~」

「へ?」


都会で就職していた息子が久々に帰省して来たと思ったら、子猫を拾って来た。

昔からこの息子はそうだった。

子猫だの子犬だのとやたらと遭遇して拾ってきてしまう。

お陰で最大16匹も世話をした時期があった。


「あんたねぇ・・・

 やたらめったらと拾ってくんなって言ってるでしょうがよ」

「でもさぁ、この子見てよほら。

 左目がちょっとおかしいんだよ。

 しかも紙袋に入れられてたからさ、捨てられたんだと思うんだよね」


そう言われて子猫を見てみれば、まだ生後1か月未満だろうか。

歯も生えていないし手の動きもプルプルしている。

そして息子が言った様に左目が真っ白になって濁っている。


「病院は連れて行ってないの?」

「こないでっかいキャリー引き摺って行けんじゃろ・・・」

「まぁそれもそうか・・・」


仕方が無いので荷物を置いた息子と2人で子猫を動物病院へと連れていく。

有難い事にこの片田舎にも動物病院はあるのだ。

まぁ姪がやってるんだけどね。


病院での診断結果は何かに突かれたのか何処かにぶつかったのか、視力は無いようだった。

蚤やダニ、シラミの心配は無いとの事だったのと紙袋に入れられていた事から家猫だったと思われる。

まったく命を何だと思ってるんだか。

そんな訳で我が家に数年ぶりとなる子猫がやって来た。

大地の様に逞しく育って欲しいと言う願いを込めてガイアと名付けた。


「じゃぁおかん、ガイアの事よろしく」

「はいはい。またおいで」


1週間後息子は都会へと戻って行った。

ガイアはミルクもしっかりと飲み、ヨチヨチと歩けるようになるとヤンチャぶりを発揮した。

アチコチと走り回り障子は穴だらけになり、囲炉裏には突っ込んで灰が舞い上がるので囲炉裏は板を乗せて封印した。

過去一でヤンチャな子猫だと思うが、今まで世話をしていた子達とは何かが違う様な気がしなくもない。

成長速度が速い様な気がするのだ。


1ヶ月後、ガイアの口からチロッと犬歯が覗くようになった。

猫の犬歯って口から出るほど伸びるんだっけか?


更に1ヶ月後、ガイアが1mほど2足歩行をした。

あまりにも驚いたので息子に電話を掛ければ「そんなばかな」と言いつつも息子は翌日やって来た。

ガイアはとても得意げに息子の前で2mほど2足歩行して見せていた。

息子は顎の関節が外れたんじゃないかってくらいに口をポカンと開けたまま放心していた。


「おかん、猫の体の構造上2足歩行は背中や股関節に負担が掛かるんだから

 止めさせないと・・・」

「そうは言うけどね、気が付いたら歩いてんだからどうしろと言うのよ」

「ガイア、お前背中とか痛くねぇの?大丈夫なのか?」

「ンナ?」


「なにが?」とでも言いたそうな顔である・・・

滅多に人が来る様な家ではないけど、人前での二足歩行は禁止だと言い聞かせておいた。

こういった事を言う時点で考え方がズレているのだろうが気付かない私と息子だった。


そして更に1ヶ月後、ガイアは喃語のような物を喋り始めた。

「おぁっ」「おぁーん」「ぐぉあーん」「にぃーにゃー」

またもや慌てて息子に電話を入れると「さすがにそれはないだろう」と言いつつも息子はやって来た。


「にぃーにゃーおぁーりゃ」

「 ・・・ 」


息子は目玉が抜け落ちるんじゃないかってくらいに見開いたまま放心していた。

慣れてくればなんとなく何を言っているのか解るようにもなってくるもんだ。


「おかん、俺在宅ワーク出来る様にして戻って来るわ・・・」

「あんた田舎が嫌だったんじゃないの?」

「んな事言ってらんないだろ。この先、ガイアに何が起こるか解らんじゃないか。

 普通の猫とは違うって事だけは解ったけどさ。

 驚き過ぎておかんが心臓発作でも起こしたら困るじゃないか」

「あんたの方が驚きすぎだと思うんだけどね・・・」


そう言って息子は1ヶ月後に都会で借りていたアパートを引き払い戻って来た。


「あんたが抱えているその猫はなんなん?・・・」

「拾った・・・」

「そうか、拾ったのか。って、拾ってんじゃないわよ!

 やたらめったらと拾うんじゃないって言ってるでしょうがよ」

「だっておかん、この猫ボロボロな状態で道路の真ん中にうずくまってたん」

「病院は?」

「診てもらってきたよ。

 軽傷だけど古傷もあるみたいだし栄養状態もよろしくないみたい」


蚤やダニ、シラミの心配は無いらしく、骨折した後ろ足は自然にくっついた後があるので少し引きずって歩くかもしれないらしい。

まずは体力を回復させねばなるまいと思い、エナジー〇ュールを差し出してみる。

猫はフンフンと匂いを嗅いだ後にクワッと目を見開いてエナジー〇ュールを奪い取ると一気飲みしてしまった。


「ねぇ、今手で〇ュール掴んだように見えたんだけど気のせいかな」

「俺もしっかりと見たから気のせいじゃないと思う・・・」

「そっか、じゃぁその手に指があったのも気のせいじゃなかったりするんかね」

「気のせいじゃないと思う。なんで猫に指があんだよ・・・」

「実は精巧に出来た着ぐるみだったり?」

「猫サイズの人間とか居ねぇだろ・・・」


息子と2人で頭を悩ませたけど、うちにはすでに2足歩行をして喃語を喋るガイアが居るのだ。

変わり種の猫が居ても不思議じゃ無いよねと言う結論に至った。

うちの猫は1歩進んだ進化系の猫なのかもしれないなんて、この時はまだ凄くお気楽な考えでいた。


だがそんなお気楽な考えも翌日には吹っ飛ぶ事になる。


「おかん、猫とガイアがちゃぶ台でお茶飲んでるんだけど・・・」

「足の構造どうなってるんだろ。猫って正座出来ないでしょ・・・」


猫がちゃぶ台で正座して湯呑で日本茶を飲んでいる図。

イラストならば可愛いのかもしれないがリアルに見せられるとなんとも言えない。

これはもう「うちの猫は進化系」なんてお気楽な事を言っている場合ではないと思う。

猫だけど猫ではないと思うんだ。

息子と2人で遠巻きに見ていれば、手招きをされてしまったのでちゃぶ台に向かい座る。


「初めまして。わたくしプリローダ国に住まうテテュスと申します。

 此度は我が息子を保護して下さりありがとう存じます」


ペコリと頭を下げられたがどう反応していいのか解らない。

プリローダなんて国は聞いた事も無いし。こんなに流暢に喋る猫なんて見た事も無い。


「ご子息と言うのはガイアの事ですか?」

「左様にございます」


さすが息子、なんとか対応しているようだ。

テテュスさんに説明をして貰い、なんとか話を理解する。

プリローダと言うのは異世界にあるらしい。

反乱が起こりテテュスさん一家も命を狙われせめて生まれたばかりの幼子だけでもと転移魔法を発動させたところ、こちらの世界へとやって来てしまったのだとか。

テテュスさんもまさか異世界に繋がるとは思っておらずガイアの居場所を特定するのに時間が掛かってしまったようだ。

無事反乱も収まったのでガイアを迎えに来たのはいいが、少し位置がずれてしまい出現した所を車に跳ねられて動けなくなり息子に保護されたという事らしい。

理解はしたけど、正直混乱している。

そんな夢物語の様な事が我が身に起きても「わぁ凄い、ファンタジーだね」なんて思える訳もないのだ。

息子とゲームをしたり、映画を見ていたりもするので多少なりはそういった異世界がテーマの話も知ってはいる。

が、あくまでもそれは夢物語の空想世界だ。


「おかん、大丈夫か?」

「妙にリアルな夢だよね」

「夢じゃないと思う」

「マジ?」

「マジ」


やはり夢オチと言う事にはならないらしい。


「テテュスさん、迎えに来たと言う事はガイアを連れて帰ると言う事ですよね」

「はい、左様にございます。

 幸いにしてお2人には寛大にも受け入れていただけましたが

 おそらくこの世界の住人にとってわたくし共は異質な存在でございましょう。

 混乱を招く前に連れ帰る方が良いかと判断いたしました」

「テテュスさん、同じ親として申し上げるならば、ウダウダと御託並べるより

 大事な息子を迎えに来たでいいと思うんですよね。

 そもそも息子との感動の再会であればまず抱きしめませんかね?」

「おかん?」

「おかしいと思わない? 考えてみなよ、ガイアの反応も薄いしさ」


猫はお尻の匂いで個体情報を得るらしいのだ。

親子ですとか兄弟ですとか、年齢とかが解るんだそうだ。

でもガイアは無反応だし、親が逸れた子と再会したら抱きしめたり匂いを嗅ぎまわったりすると思うんだけどね。

それにガイアとテテュスさんの目や毛色、顔つきや体格に共通点が1つも見いだせない。


「ガイア、こっちにおいで」

「ぉあーんっ」


ほら、呼べばこっちに来るんだもの。


「テテュスさん、貴方は誰です? ガイアを連れ戻す理由は?」

「チッ、こんな低俗な猿人に見抜かれるとはな、そのお方を渡してもらおうか。

 貴様ら低俗な猿人が触れてよいお方ではないのだ!」


なんだろうか、このお決まりパターンは。

取り繕う事が出来無くなれば力で訴えて来るとか悪役のお決まりパターンだろ。

テテュスが本性を現して襲い掛かって来る。

ゲームでよくみる獣人、まさにあれだ。


「おかん!」

「フシャーッ!」

「必殺! 猫が苦手な蜜柑汁あたーっくっ!」


ちゃぶ台の上にあった蜜柑を握り潰す。

まだ完熟前だからすっぱい匂いが立ち込める。

ガイアは服の中に潜り込んで回避したようだ。もそもそと毛が当たってくすぐったい。


「グォォッ おのれ・・・」


蜜柑汁は見事に鼻の穴に入ったらしくのたうち回っている。


「おかん、これを!」


息子が投げて来たのは業務用の鼠獲り粘着シートだ。

田舎には必須アイテムだったりする。

2人でそれをテテュスに投げまくった。

暴れれば暴れるほどこんがらがって自滅していくテテュス。

なにやらフゴフゴと言っているようだがすでに喋る事もままならない状態になっている。


「おかん、どうする?」

「いつも通りに水に沈めれば?」

「おかん・・・鼠じゃないからな?」

「あぁそうだった。困ったね。

 そう言えば、ガイアを連れ帰るって言ってたくらいだから

 何か道具とか持ってるんじゃないんかね」

「誰が触るんだよ・・・」

「 ・・・ 」


まさかの粘着シートの弊害がここであるとはね。

かと言って粘着シートを剥がすとテティスが暴れそうだし、剥がすにしても苦労しそうだ。


「よし、選ばせてあげよう。脱毛と水責めと窒息とどれがいい?」

「おかん、それだと選択の余地がないような?

 それに脱毛以外はどのみち死ぬんじゃなかろうか」

「選ばなきゃいいじゃん」

「 ・・・  どのみち返事は出来ないと思う」


仕方が無いなとメリケン粉を持って来て口の周りの粘着テープを剥がしていく。

なにやらぎゃあぎゃあとうるさかったけど気にしない事にした。


「これで喋れるんじゃない?」

「なんと野蛮な猿人共めが」

「もう1回着ける?」


テテュスは勢いよく首を横に振った。嫌なら喚かなければいいのに。

その後おかんには任せておけないからと息子がテテュスを尋問していった。

テテュスが呪文を唱えて魔法陣を発動させればプリローダとやらに戻れるらしい。

ならばさっさと魔法陣を発動させてテテュスを送り返してしまえばいい。


「ガイアはどうする?」

「うなぁ」

「おかん、まずはさ。手紙書いてコイツに持たせよう。

 戻った先がどんな状況かも解らないし

 ガイアの安全が保障されているのかも解らないだろ」

「確かにね。ガイアもそれでいい?

 お迎え来るまでここで待ってる?」

「にゃぁ」


息子が手紙を書く間にプリローダの現状をテテュスを問い詰めた。

テテュスが最初に語った事は概ね正しくて、反乱軍の1人がテテュスだったようだ。

起死回生を狙ってガイアを探し連れ帰ろうとしたのだという。

事実を話さなければ去勢するよとハンマーをちらつかせて言ったので嘘はついてないと思う。

ガイアの両親がせめてこの子だけでもと転送魔法で送り出したのは本当だったようだ。

ガイアの両親は無事なのだろうか、どうか無事であってほしい。


「おかん、書けたぞ。

 封筒を3重にしたから目立つ場所に張り付ければいいだろう」

「無事にガイアサイドの人達に渡るかな」

「そう願うしかないよな」

「では魔法陣を展開して貰おうか」

「ぐっ・・・低俗で野蛮な猿人の言う事など」

「あっそう。別にいいんだけどね。

 死体でも研究機関に送れば研究者は大喜びして解剖するだろうよ。

 よかったね、標本にされて皆の注目集めて一躍有名人!

 て事で水に沈めよう」

「おかんおかん、落ち着けって」

「めんどくさいじゃん。さっさと帰ればいいだけなのにさ」

「テテュスさんどうします? うちのおかんやる時は本当にやるよ?」

「分かった・・・」

「ねぇ、帰還場所の設定は今からするの?それとも予め設定してあるの?」

「それは・・・」

「正直に言わないと、ね?」


ハンマーをちらつかせる。


「予め設定してある場所に戻る事となる!

 私では発動時に場所を設定するなど高度な転移魔法は使えぬのだ」

「へぇ、それで帰還場所は何処?」


コンッとハンマーで地面を叩けばテテュスは震えながら説明をした。

上位の魔法使い以外は転移の間と呼ばれる場所でしか転移魔法を使えないらしい。

転移の間と転移の間を移動する、要するにゲームのテレポーターの様なものなのだろう。

であれば何故ガイアがここに送り出されてしまったのか、テテュスが何故此処に来れたのか。

またどうしてここからテテュスが戻る事が出来るのかが疑問だった。


「禁術を使ったのだ」


代償として人命を使う禁術でテティスは此処へ来たのだと。

来る前に帰還の転移魔法の設定もしておいたとは用意周到な事で。

まぁ行ったきりでは本末転倒なのだろうから帰還の準備もしてはおくだろう。

代償として支払ったのが誰の命かは気になる所だが、聞かない方がいい気がする。

胸糞悪くなりそうだ。

ともかく転移の間とやらに戻るのであればガイアサイドの元へ手紙が届く可能性もあがるだろうと思う。


「では発動させて戻ってもらおうか」

「ま、まて。せめてこの粘着テープを剥がしてもらえぬか」

「え、やだ。剥がしたら逃げそうだし悪事働きそうだし」

「だな、そこはおかんに同意する」

「そんな・・・これでは恥晒しではないか」

「自業自得って言うんだよ。

 嫌ならそのまま去勢して水に・・・」

「それは待ってくれ、このままでかまわぬ。いや是非このままで頼みたく!」

「テテュスさん、おかんの気が変わらない内に早く帰還した方がよいかと」

「う。うむ」


テテュスは何やら不可思議な呪文を唱えるとそのまま消えていった。

やれやれ、目まぐるしい1日だった。


あまりにも現実離れした出来事が起こり、その夜は息子と2人して熱を出し寝込んでしまった。

甲斐甲斐しくもガイアが看病してくれていたのだがタオルを絞るという事が出来ず、目覚めた時には枕元がベチャベチャになっていた。

うわぁ大惨事と思ったが、ガイアの頑張った結果なので怒る事も出来ない。


「おぁーん、うなにゃ」

「うん、ガイアのお陰で熱も下がったから大丈夫だよ。ありがとうね」


スリスリと甘えて来るガイアは可愛い。

息子の方も熱は下がったようだった。

2人で布団を干して朝食の準備をしているとちゃぶ台が光った。

何事と手にしていた擂粉木を構える。

光りが収まりそこに現れたのはガイアによく似た2匹の猫ならぬ獣人だった。

一瞬テテュスの仲間の反乱軍かとも思ったが、ガイアが近寄って匂いを嗅いでいたので様子を見る事にした。

お互いにフンフンとお尻の匂いを嗅ぎコツンとおでこで挨拶した後に鼻チューをしている。

もしかしてガイアの両親か兄弟なのだろうか。

一通り挨拶が終わったのだろう、2人の獣人はこちらへ向き直りうやうやしく頭を下げて来た。


「この度は末の弟がお世話になりまして、誠にありがとうございました」

「我等一族、感謝の念に堪えません」

「いえ、どうかお気遣い無く。

 ガイアが家族と再会出来て家族の元へと帰れるのであればよかったです」

「にぃーにゃー」


残念ながら母親はガイアを転移させる際に命を失ったのだそうだ。

はっきりとは言わなかったが禁術を使った事で自らの命を差し出したのだろう。

だとしたらこの2人が来る時はどうしたのだろうか。

気にはなったがガイアの前で聞く事も出来なかった。


「手紙を頂いた事で末の弟の安否と居場所が分かり迎えに来る事が叶いました。

 つきましては早速で申し訳ないのですが

 連れて帰りたいのですがよろしいでしょうか」

「その前に確認させて欲しい。

 プリローダの反乱は終息し国内情勢は安定したのか?

 ガイアは戻っても安全なのか?」

「勿論です。

 父も心待ちにしておりますし今後このような反乱がおこる事はないでしょう」

「そう、それならよかった。

 もう1つ、異世界への転移は禁術だとテテュスに聞いた。

 代償として命を支払うのだとも。帰りの代償はどうするつもりだ」

「それは・・・」

「ワタクシがその代償となります。男兄弟は数が少ないですが

 ワタクシ達女姉妹は数が多いので末のワタクシが志願いたしました」


その言葉に少しカチンときた。


「数が多い少ないの問題じゃないだろ。残された者の気持ちを考えろ。

 後々大人になったガイアがその事実を知って見ろ、どんな気持ちになると思う。

 ガイアの母親が命を差し出した気持ちはまだ解かる。

 同じ立場なら自分でもそうしただろうからね。

 来る時にだって誰かが代償を払ったんだろう。

 それを見送る他の兄弟や残された父親の気持ちも考えろよ!」

「しかし・・・」

「代償は私が払ってやる」

「おかん?!」

「息子も成人済みで立派に独り立ちも出来ているからな。

 だったらこの可愛いモフモフの息子の為にいくらでも命くらいくれてやるよ。

 なぁガイア、ガイアもおかんの息子だもんなぁ」

「うなぁ」

「ですが・・・」

「四の五の言わずにさっさと呪文唱えて魔法陣展開しなよ。

 あ、その前に代償の支払い方は教えてね」


代償の支払い方は簡単だった。

展開された魔法陣の上に自分の血を流せばよいだけだった。


「本当によろしいのですか」

「かまわんよ、母に二言はない」

「おかん、それは武士のセリフ・・・」

「いいじゃん、気にしなくても。ほらサクッとやってしまおう。

 しんみりジメジメとか嫌なんだよ」

「では・・・参ります」


テテュスの時同様摩訶不思議な呪文が唱えられると床の上に魔法陣が現れた。

では、と包丁で手首を切れば息子が呟く。


「やっぱりおかんの代わりに俺が」

「阿呆!親より先に死ぬんじゃない!」


ひっぱたいたら息子も魔法陣へと入ってしまった・・・

そしてその勢いで手首から流れた血が魔法陣の上へと落ちて発動してしまった。


「え? えぇぇ・・・」

「うわ、マジか。おかん!」

「おにゃーんっ」

「元気でね!息子達!」


光りの中へと吸い込まれていく皆の姿を見届けて、意識が途切れた。




深い深い闇の中でどの位眠ったのだろう。

息子は無事だっただろうか。ガイアはちゃんと戻れて家族と再会できただろうか。

そんな事を考えながら再び眠りにつく。

まさか生まれ変わって再会するとも知らずに・・・

今回はちょっとだけシリアス風にしてみましたが、この作品は続編というか連載版ありきとなっております。

序章といった感じでしょうか。

ただいつ頃連載版を書き始めるかは未定です(;´Д`)


つたない作品ではありますが読んで下さりありがとうございました。

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