【ケース6】伊豆『な』踊り子
伊豆『な』踊り子・・。自分でテーマを決めておきながらこういうものなんだが少々飽きた。
そもそもなんなんだ、この『伊豆『な』踊り子』って?イズナって確か韓国のアイドルグループの名前じゃなかったか?
もしくはイタチの仲間にもそんな名前のやつがいたはずだ。いや、それは正式には『イイズナ』で『イズナ』は空想上の『管狐 くだきつね』の事を指すはずだ。
後、少しひねって『イケズな踊り子』という言葉も思いついたが、これは『伊豆』が消えてしまっているので使えない。
そもそも伊豆『な』踊り子を文字通りとれば、『伊豆』的な踊り子となるはずだ。だが、『伊豆』的とはどうゆう事だろう?
おっと、また思考がぐるぐるしてエッセイ風になりかけている。だが今回はエロ小説で行こうと前回決意したはずなのだ。
と言う事で以後はエロエロな話になるのでよい子は読んじゃ駄目だぞっ!
タイトル:踊り子『な』伊豆
作者:河旗成康 かわばた なすやり
その踊り子の名は『伊豆子』と言った。そして踊り子と言ってもラインタンサーなどではない。勿論タカラジェンヌでもない。
ならば何なんだと言えば『ストリッパー』である。
はい、そこの男性っ!スリッパじゃないからなっ!ストリッパーだからっ!ベタなボケを噛ますんじゃねぇっ!
で、ストリッパーって何?という方にお教えすると、ストリツパーは『ストリート偉人』の事である。つまり『ストリート』と『立派』という言葉が合成された俗語だ。
嘘である。まっ、本当の意味は・・、まっ、自分で調べるがいい。でも多分今貴様が考えているのが正解だ。
つまりストリッパーとは、踊りながら着ている物を一枚一枚脱いでゆき、最後はすっぽんぽんになって弁天様をご開帳する女神様の事だ。
因みに同じ発音ではあるが、電気工事などで使われる銅線の被覆を剥ぎ取る道具も『ストリッパー』と言うらしいが、単なる偶然だ。
そして今日も『伊豆子』はしょうもないオヤジたちの性的衝動を満足させる為に場末のストリップ劇場の舞台へと立った。
因みに伊豆子はこの劇場のNo1踊り子だ。もっともその理由は伊豆子の『若さ』故である。そう、他の踊り子たちの平均『実年齢』が40歳前後という事も大いに関係している。
いや、彼女たちも見た目は若いのだ。ただそれは遠目に見ればの話で、尚且つ舞台の薄暗さ故のマジックである。
なので舞台上では肌をあからさまに照らす白色スポットライトは厳禁なのであった。
そんな中、伊豆子だけは強烈な白色ライトを浴びても観客たちを落胆させないだけの皮膚の張りがあったので人気なのである。
まっ、ストリップ劇場では誰も踊り子の顔なんか見ていないからね。もっと言うと踊りすら見ていない。
では何を見ているかというと、まぁ、ちょっとそれは書けないな。
しかしそれでも伊豆子の踊りは中々のものだった。別に誰に教わった訳でもないだろうにその動きは観客を夢の世界へ誘う技量と迫力があったのだ。
そして今日は、そんな伊豆子の演技をエロい意味ではなく踊りとして真剣な眼差しで見つめる男が観客席にいた。
その男は東京の芸能プロダクションのスカウトマンだった。とは言っても吹けば飛ぶような弱小零細プロダクシヨンである。なので所属するタレントもひとりしかいない。
ただ、そのタレントもあまりの仕事のなさに嫌気が差したのか今月一杯で契約を辞めると通達してきた。なので男は新人を捜していたのだ。
まぁ、本来ならば原宿辺りで探すのが普通なのだろうが男が勤める芸能プロダクションの知名度では誰も関心すら持ってくれなかった。
なので男は捜索の範囲を広げ、駄目もとで伊豆の温泉街にまで足を伸ばしたのである。とは言ってもそれは建前で単に会社の経費で温泉を楽しもうと思っただけだ。
うん、まぁ、なんの事はない、男はその程度の倫理観の持ち主だったのである。なので男が温泉街のストリップ劇場に来たのもスカウトが目的ではなく単なる偶然だ。
だが、そこで男は『宝石』を見つけてしまったのである。そして演目が終了した後で、舞台裏に入り込み震える手で伊豆子に名刺を渡すと劇場のマネージャーに少なくない額の金を握らせて伊豆子をトレードしてしまった。
そして伊豆子は芸名を『イズナ』と改めて、まずはテレビの歌番組のバックダンサーとして東京都の最低賃金にも満たない額で出演するようになった。
だが落ちぶれだしているとは言えテレビへの出演は絶大な宣伝効果を発揮した。なのでテレビで『イズナ』を見た映画監督が、なんとイズナを助演女優としてデビューさせたいとオファーしてきたのだ。
そしてイズナはこの映画で主演女優を喰ってしまいかねないほどの熱演をみせ大衆から絶大な人気を得た。
そう、イズナはまさに『原石』だったのだ。ただ磨かれなかったが故に表に出なかっただけなのである。
とは言え、人気が出ればそれを妬む者も現われる。そしてユズナが元ストリッパーだった事が週刊誌にすっぱ抜かれた。
で、本来ならば無責任な誹謗中傷がネットで飛び交うはずなのだが、イズナに関しては知名度の割りに少なかった。
と言うかそのような投稿をした者は逆にイズナの熱烈なファンたちから素性を調べ上げられて顔写真付きでネットに晒され道を歩く事すら出来なくなったらしい。
まぁ、やり過ぎの感はあるが最初に仕掛けてきたのはそいつらの方である。なので結局は自業自得だ。
そしてイズナに関してはそもそもダイヤモンドはおいそれとは傷つかないのである。
こうしてイズナの人気のおかげで伊豆へは踊り子を志願する女の子たちが殺到した。そう、彼女たちも明日のイズナを夢見て稽古に励んでいるのだ。
そんな彼女たちの願いは『いつか踊り子になる』であり、これとイズナの名前を掛けて『伊豆『な』踊り子』が合言葉となったのである。
まぁ、多少苦しいこじ付けではあるが大抵の言葉の発祥などはこの程度からであろう。
そう、今日もどこかで少女たちは『いつか踊り子になる』になる事を夢見てレッスンに励んでいるはずだ。
当然そんな少女たちの合言葉は『伊豆『な』踊り子』なのは言うまでもない。
因みにラノベ小説家になる事を夢見る少年たちの合言葉は『ナロウ』だ。うん、主語が抜けているよ・・。そんなんでよく言葉を操る小説家になりたいなんて思ったもんだな・・。
-伊豆『な』踊り子 完-




