僕の世界
・・・・・・・・・・・長い夢を見た。
大人は子供を可愛がり、
人々は仲良くし争いなんてひとつも起きない。
そんないい事ばかり詰め込まれたのが当たり前の・・・夢。
そう、これは夢なんだ。
目を覚ますといつも通りのモノクロの世界が目に映る。
まだうっすらと残る眠気に瞳を擦ると、冷たい風が頬を撫ぜる。
「今日も冷えるなぁ…」
ブルブルと身体を震わせ縮こまる。
家も家族もいない僕は路地裏の小さいダンボールの中が唯一の僕の居場所だった。
「そうそう!でね!…あははっ」
「え~!?」
「あははははっ」
遠くの方から楽しそうな声が聞こえる。
ああ、"ガッコウ"と言う場所へ行く子達か。
身なりを綺麗に整え、少し重たそうなカバンを背負う彼女達はおそらく貴族のような位が高い子達なのだろう。
「…ガッコウってどんな場所なんだろう」
ポツリとか細い声が白い息と共に吐き出される。
それと同時に
空からチラチラと白いものが降り出した。
あれは一体なんなんだろう…
「にゃお。(来てみるか?)」
「!?」
空を見上げていた僕は突然に聞こえた声に驚き、後ろに仰け反りダンボールごとひっくり返ってしまった。
話しかけられたことにも驚いた。
ただ1番驚いた事は相手が……猫だったこと。
猫…なのかな?
「にゃお。にゃ(お主、私の声が聞こえておるだろう。魔法を使う素質があると言う事じゃ。)」
「え…?魔法…?」
びっくりするような単語が次々と頭に流れ込み軽くパニック状態になりそうだ。
昨日まではなんでもないただモノクロの世界を眺めているだけの変わらない毎日だったというのに…
確かにこの世界は魔法は当たり前にある。
それは僕でも知っているけれど………
「僕は服もこのボロボロしかないし、家も家族もないから勉強に行きたくても行けないんだよ。ごめんね、ねこさん」
「にゃぁあお。(私は猫ではなく豹だ。間違えるでない。学びたい気持ちがあるのならば私に跨りついてくるがいい。)」
そう言葉を発したねこ…じゃなくて豹さんは、僕の前に伏せるようにしゃがみ込んだ。
そっと触れると暖かいような冷たいような不思議な感じがした。
「じゃあお願い…します。」
転けないようにゆっくりと背中に跨る。
いつもとは違う不思議な日常に胸を踊らせて
冷たくて暖かい背中に身体を預けた。
「あれ…なんだか…凄く…ねむた、い……」
そうして僕は意識を失ってしまった。
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ここまで読んで下さりありがとうございます。
少しずつ更新をしていけたらなぁと思っています。