第47話「Crimson Resonance(紅蓮の共鳴)」
そして炎の中……。
マリナとベラの戦いの決着が着こうとしていた。
炎の外にある毒の沼を操作するも炎の壁によって突破できず、また周囲にも炎が燃え広がって逃げ場がない。
さらには毒の沼を新たに生成しても、あっという間にマリナが周囲の炎を利用して、毒の沼を気化させて対処してしまう。
毒の光弾もマリナが纏う炎によって、直撃したそばから気化させられてしまう。
「そ、そんな……!」
自身の能力の何もかもが通じない、攻撃をする暇さえ与えてもらえないという事実を突きつけられ、もはや打つ手がなくなったベラ。
「はっ……はは……強いねマリナ姉……」
だがそれでも……。
「けど、最後に勝つのはあたしだ! あたしの今の全てを、マリナ姉にぶつける!」
そう叫ぶと、ベラは両手を広げた。
すると彼女の両手に黒い光を纏わせていく。発動してすぐに気化していく毒だが、ベラは諦めない。
「あたしは……あたしはもう、負けないっ! はああああっ!」
凄まじい気迫と執念で、放出した毒を黒い光に変え纏う。
そして両腕に黒い光の槍を形成した。
「はぁ……はぁ……。いくよ、マリナ姉!!」
息を切らしながらベラは上空へと飛び上がるベラ。
「ええ、来なさいベラ!」
「この炎ごと全部ぶっ飛ばす! "Venom Cataclysm"!!」
ベラは両腕の黒い光の槍の先端を合わせるようにして構え、マリナに向けた。
その先からこれまでで最も、漆黒で太い光が一直線に放たれる。
マリナは両手をかざして……ふぅ、と1つ息を吐く。
「はあぁっ!!」
目を見開き、衝撃波を両手から全開にして放ち、黒い光にぶつける。
その衝撃波とベラの放った攻撃とがぶつかり合う。
炎の中で黒い光がほとばしり、その2つがせめぎ合う。
「くっ……うぅっ……! 負けるかってんだぁああっ!」
ベラは槍状になった腕に力を籠め、咆哮する。
絶対に勝つ、その執念が籠められた声だ。
「わたくしも負けるわけにはいかない! これで、終わりですわ!!」
だがそれはマリナも同じだった。
2人の声が大気に混じり、ぶつかり合う力によって音が震えている。
衝撃波によって圧されていたベラに、周囲を囲う炎の熱が迫る。
ほとばしる炎がベラを苦しめるが、彼女は一歩も引かない。
その執念、その強さに、マリナは心の底から驚かされていた。
元々真正面からの戦闘に向かないベラの能力。
それをここまで鍛え上げてきたのは、彼女自身の努力以外の何物でもない。
マリナが国を出てから初めての戦い(遊び)。
「……ベラ、本当に強くなったわね。でも、今日はわたくしの勝ちですわ」
優しい声色でそう呟くと、マリナは衝撃波の威力を強める。
なんとか耐えていたベラだが、すでに限界が近かった。
「うっ……うぅっ……! あっ……!」
ついにベラの攻撃は押し返され、マリナの衝撃波と共に彼女の体を炎の壁へとぶつける。
「"Crimson Resonance"!!」
その瞬間、衝撃波と炎が混ざり合って大爆発が起き、森を震わせる。
凄まじい衝撃は少し離れた場所にいたルルやナタリーはもちろん、クーロンたち森の者たちがいる場所にも届くほどのものだった。
爆風が晴れると、マリナの炎の壁も消滅し、森に静寂が戻る。
『ねぇマリナ姉、またカラフルな蝶々探しに行こうね! 約束だよ?』――
敗れたベラの微笑みの奥に、かつての小さな約束がよみがえった。
(ま、負けた……でも、あたしには最高に満足な結果だよ……マリナ姉……)
微笑みながら脱力し、地面に落ちていく傷だらけのベラだったが……。
その体を優しい腕が抱きしめる。そして地面への衝突から守ってくれた。
「……え?」
驚愕する彼女の目の前には、彼女に向かって微笑むマリナの顔があった。
「マリナ姉……あはは……強い……ね……それに、やっぱ優しいや」
そう言ってニッコリ笑うベラ。
妹を傷つけてしまった胸の痛みと、久しぶりに戦えた喜び、そして彼女の成長を心から祝福する思い。
様々な感情を乗せた笑顔を向け、マリナは優しく愛おしそうにベラの頭を撫でたのだった。
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