表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/51

第43話「ステージオン! 森を照らす一番星」

 一方、その頃。

 マリナと別れたルルは、マリナに言われたようにクーロンから貰った石の導きに従って森の入り口の方を目指して走っていた。

 激しい爆破音や破裂音が近くで聞こえる。

 恐らくはグレイトバースの兵士たちと、クーロンたちケンタウロス族などの森に住む者たちが戦っているのだろう。


(マリナちゃんには入り口で待ってるように言われたけど……)

 ルルは立ち止まって音のする方角を見ると、黒い煙が上がっている。

 あれはきっと、森を傷つけた者が仕掛けた攻撃なのだろう……。


「これ以上この森を傷つけさせちゃダメだ……!」

 マリナに先に逃げているように言われたルルだったが、彼女はその方角へと駆けだした。

 走る彼女が呼吸するたび、焦げた匂いが風に乗って鼻に届く。

 少しの間走り続けていると、次第に爆破の音が大きくなり、それに混じって雄叫びや悲鳴のような声が聞こえてきた。

(近い……!)

 ルルは走る速度を上げ、音のする方へと急いだ。


 そこではこの森に住む、クーロンたちケンタウロス族や、ウッドエルフやオークと思わしき者たちがヒューマン種の兵士たちと争っていた。

「この森に手を出すな! これ以上、お前たちの好きにはさせぬ!」

 クーロンが手にした槍を振り回しながら、兵士たちを次々と薙ぎ払っていく。

 その一撃は強力で、兵士の1人を吹き飛ばした。

 そんな彼の背後から迫る別の兵士。

 だが……。


「やらせない!」

 ウッドエルフの女性が弓を構えていたかと思うと、矢を放った。

 その矢は兵士の背中に命中して怯ませ、彼はそのまま倒れてしまう。

「うらああっ!!」

 オークの男性の戦鎚が兵士たちを吹き飛ばし、森の木へと叩きつける。



「クーロンさん!」

 そこへルルが駆け付けると、クーロンは驚いたような表情で駆け寄る。

「君は……どうしてここに。もう1人はどうしたのだ?」

 彼の問いは最もだったが、ルルはそれよりも今この状況を打開しなければと感じた。

 さっきの3人はグレイトバースの兵士を倒していたが、今この瞬間にも圧されているのはクーロンたちの方だった。

 森での戦闘ならばクーロンたちに分があるはずにもかかわらず、統率の取れた動きで少数を複数人で取り囲むように動き、各個撃破を狙っているようだった。

「こいつら……相当戦い慣れてるぜ」

 オークの男性が、冷や汗を流しながらハンマーを振り回している。


 クーロンはルルの方に視線を向けて……。

「とにかく、ここは私たちに任せて君は逃げなさい!」

 と促す。

 彼女の強さは一族の者たちから聞いていたが、それでもこれはもはや侵略。

 何も関係のない旅の少女を巻き込むことは、彼の本意ではなかった。


 だが、ルルは首を横に振ると……。

「ルルも戦う! 森に住む人たちも動物たちも、これ以上傷つけさせずにあの人たちを追い返さなきゃ!」

 決意に満ちた表情でそう叫ぶ。

「しかし……」

 クーロンはルルの申し出を断ろうとしたが、彼女はそれを遮って……。

「それにね、もしかしたらこの兵士たちはマリナちゃんを狙って来たかもしれないんです……。だから、わたしたちがなんとしないと……!」

 自分の拳を握りしめて、そう叫ぶルル。


 彼女の強い意志を前にしたクーロンは小さく溜息をつくと……。

「そうか……。それならばわかった……君にも力を貸してもらおう」

 と、その申し出を受けることにした。

 ルルはうなずくと、自分はクーロンたちの邪魔にならないようにしつつ前の方に出て戦うことを伝えた。



「"ミラクルスターライト・チェンジアップ♪"」

 そう言ってルルが手を横に振ると、彼女の体が眩い光に包まれ、彼女の衣装も変わり始めた。

 まるでその場所だけが別の世界にあるかのように、キラキラと光が零れ、シャラララと綺麗な音が流れる。

 そして光が晴れた時、彼女はキラキラした可愛らしい衣装を身にまとっていた。

「お空を照らすキラキラ一番星! ミラクル・ルル♡スターフォーム!」

 ルルは目元でピースをして可愛らしいポーズを取る。

「ステージオン♪」


「な、なんだそれは……」

 クーロンが驚きながらそう呟く。

「ルルのスターフォームです! この森の平和はルルが守る!」

 そう言って、彼女は兵士たちに向き直る。

 クーロンだけではない、森の仲間たち、そしてグレイトバースの兵士たちすらその輝きに目を奪われていた。


「よし、いくよ!」

 そう言うと同時に、彼女は兵士たちに向けて突撃する。


「な!? 迎え撃て!」

 兵士たちは即座に武器で迎撃しようとするが、ルルの素早い動きを捉えることができていない。

「やあっ!」

 彼女は兵士たちの武器を持つ手を蹴り上げ、さらにその足を回転させて回し蹴りを繰り出した。

「ぐはっ!?」

「がふっ!?」

 2人の兵士が同時に吹き飛ばされる。


 ルルは着地すると、すぐに別の兵士に狙いを定めて駆け出した。

「このぉ!」

 槍を持った兵士がそれを突き出すと、ルルは軽々と身をひるがえし槍の上にフワリと着地し、体勢を崩した兵士の背中に蹴りを入れる。

「がはぁ!」

 蹴り飛ばされた兵士は、地面に叩きつけられ気を失う。

 ルルたった1人の参戦によって、圧され気味だった森の者たちと、ケンタウロス族が息を吹き返し始める。


「す、凄いな……」

 クーロンはルルの戦いぶりに驚きを隠せず、思わずそう呟く。

「へっ! 俺たちだってまだやれるってところを見せてやるぜ!」

「ええ、このまま押し返すわ!」

 ウッドエルフの女性が矢を放ちながらそう言うと、オークの男性はハンマーを振り回して兵士たちを薙ぎ払っていった。

 矢が飛び、槍が突き、戦鎚が唸る。

 森が一つの生き物のように兵士たちを押し返していった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

次回もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ