表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第7章 うちのメイド長はヘビースモーカー
96/99

うちのメイド長はヘビースモーカー 4話

「お疲れ様でしたー!」

「お疲れ様ー。」


前回のオイスターバーから3日後のお仕事が終わりを告げる。

今日も無事一日が終わった。

同じ事を繰り返すと……一日とはどうも長く感じる。


今日はダンスや配信、チェキのお絵描きサービスなどやる事が多くて疲れてしまった。


私は基本的に週5~6で働く。

理由は無い。

敢えて言うなら……休みの日は私は何者でもないので……焦燥感に駆られてしまう。


それなら働いた方がマシなのだが……今日は6連勤目……さすがに疲れてしまった。


タバコ……吸いたい。


そんな時だった。

また、あの日と同じようなことがあった。


「……チラッ。」

「なーに、舞衣ちゃん!」

「あはは……気づいてましたか。」


今日は舞衣ちゃんが働く店舗でのお仕事なので、仕事が被ったのだった。

あの日の晩酌が嘘だったかのように私たちはドライなコミュニケーションを取っていたのだ。


「……どうしたの?別にコソコソするような仲でもないでしょ。」

「い……いやいや!昨日のテレビの取材でもことねさん大活躍だったじゃないですか!あんなにカメラあったのにダンスして……インタビューにも答えてて……。」


はて、そんなことがあったのだろうかと考えた。

そういえばあった。

昨日突然大手のテレビ番組から取材があって、オーナーのメイドさんが出張中だったので、急遽私が対応することになったのだ。


歳をとると昨日の事さえも忘れてしまうかとおでこに手を当ててしまった。


「それで……そんなすごい人と晩酌したんだって気持ちと……恐れ多い気持ちが。」

「何言ってるのよ。私とあなたは友人よ。」

「な!?」


私の淡々とした発言に、舞衣ちゃんは驚愕する。

しまった……少し端的に言いすぎたか。


「そ……そんな……私が友達だなんて……えへへ。」


どうやら、反応としては私の想像するものとは相反するものだったみたいだ。


「それで、何か用事があるのでしょう?悩み相談!?」

「い……いえ……今日はお誘いです!」

「どこに行くの?」

「サウナとか……どうでしょう!」


私は……ふと考える。

サウナは滅多に行ったことがない。

家に帰ったら寝る、それだけだ。


仕事は業務外の時間は体調管理も仕事のうちというのと……特にやることがないと言うのもある。


確かに……タバコ以外の趣味も持つべきなのかもしれない。


「いいわ、行きましょ。」


私は……メイド服から私服に着替えて……舞衣ちゃんとサウナのある施設に向かった。


☆☆


私と舞衣ちゃんは、更衣室で着替えて……お互いの生まれたままの姿を見る。


私の視点では……人間の裸としか認識してないのですが……どうにも舞衣ちゃんは違うように見えていた。


「うわぁ……。」

「そ……その……そんなにまじまじ見られても。」

「すみません、見とれてしまいました。」


私にとっては無い感情だ。

人の裸を見て見とれるなんてことあるのかと感心してしまう。


「その……脱毛とかケアされてて……綺麗です。」

「……ちょっと複雑だけどありがとう。」

「結構、脱毛にもお金かけるのですか?」


彼女は女性ながらグイグイと聞いてくる。

謙虚なのか……それともメンタルが強いのか分からない。


「まあ……元々毛深い体質だったからね。でも、身だしなみって本当に大事だからふとした事で失望されるかもしれないと思って首から下は毛はゼロにしたわ。」

「すごい……相変わらず徹底してますね。わたしは……。」


舞衣ちゃんは少しお腹に手をあてる。


「体重……気になるの?」

「やっぱりサイゼリアで4000円分くらい食べてるんですど……食べ過ぎなんですかね。」


彼女は女子高生らしく、すこしむっちりとしていた事を気にしていた。

全然可愛いものだと思う。

むしろ、日本全体の女子高生なら上澄みだとさえ感じた。


「女子高生は第二次性徴の為にある程度脂肪は蓄えてホルモンを分泌するもんよ。……ってわたしはタバコまみれだったから人のこと言えないか。」

「あはは、ほんとですよ!肺がヤニにまみれてますよ。」

「じゅ……10年メイドやってきたけど……私にそう言えたのはあなたがはじめてね。」


舞衣ちゃんは……フラットに私と接してくれる。

それが妙に心地よかった。


いざ、サウナに入ってみる。

初めてのサウナは熱く……息苦しかった。

妙に息も上がってくる。


「こ!?……これ……なかなかハードね。」

「え〜、そうですか〜?まだ2分も経ってないですよ。あと10分耐えてみましょ。」

「10分!?」

「そうです!あ、本当に体調悪くなりそうだったらその前に出ますけど。」


彼女の言われるがまま……サウナに耐え続ける。

汗が止まらない。

メイド喫茶は冷房が聞いているから案外快適なものなのだけれど……血液が頭に登りボーッとしてきた。


「ねぇ……舞衣ちゃん……そろそろ……。」

「ダーメ♡だって……まだ4分しか経ってません。」

「そ……そんなぁ……。」


久しぶりに涙目になる。

舞衣ちゃんは、案外Sなのかもしれない。

天使のイメージから小悪魔のイメージにビフォーアフターされる。


なんということでしょう……私を慕う天使のような女子高生は……熱気に悶える私を見て妖艶に、愛おしそうに見つめてるではありませんか。

サウナという匠には驚きを隠さずには居られません。


じゃない!何勝手にふざけてるのよ、私!?


「ねえ……もう……。助けて……。」

「はいはい、よく頑張りました。まだ8分ですが……初めてだと上出来です!」


私はドアに駆け寄ると……空気の開放感が私に快感を与える。


き……気持ちいい。

そうか、サウナ好きはこの感覚を求めてるのかもしれない。


そんな私を尻目に、舞衣ちゃんは水風呂に入っていた。


「ふい〜。」


彼女は気持ちよさそうにキンキンに冷えた水風呂で肩まで浸かっている。

え、何してるのこの子……怖い……。


わたしは満足したのでゆっくりと回れ右をしようとした。


「ことねさーん!水風呂入らないんですか!?」

「ええ!?い……いや〜遠慮しようかな〜。」

「いや、入りましょう。ことねさんはまだまだサウナの良さを分かっていません!」

「え、でも〜。」

「入りましょう。」


すごい……普段の謙虚な感じから少し楽しんでいるように見える。

この子にもし彼氏がいたら……こんな感じで扱われてるのかも知れない。


「しんどかったらすぐ出るわね。」

「いいですね!じゃあ……まずは水シャワーを心臓から離れた手足から水を当ててみましょう。」


彼女に言われるがまま、私は少し温めのシャワーを浴びる。

あれ、気持ちがいい。

なんというか、体が火照りきってるからなのか冷たさが心地よい。


手足どころか……気がついたら全身水シャワーになっていた。


「……悪くないわね。」

「ですよね!そしたら……その感じで水風呂に入ってみましょう!」


わたしは、彼女に言われるがまま水風呂に入ってみる。

すると、先程の水シャワーが比べ物にならないほど、冷たさが体を襲う。


「ひいいいい!」


情けない声が出てしまった。

頑張って見を縮こませる。


「つ……冷た……あれ……?」


20秒が経ちそうな時……体の冷たさによる苦痛がパタリと無くなってしまった。


それどころか……温かくさえ感じてしまう。


「ねえ、これはどういう事かしら?心地いいわ。」


すると、舞衣ちゃんはチッチと指をふり……丁寧に説明をしてくれた。


「いま、毛穴から蒸気がでてるような感じだったんですけど、水風呂て毛穴が閉じたんですよ。だから……熱気が体に閉じ込められて温かいと感じるようになったんです。」


なるほど、どうやら科学的根拠があるみたいである。


そして、この冷たさが手足を冷まして冷えた血液が脳みそに送られていく。

この感覚が……心地いい。


「そろそろ出ましょう。」

「ねえ、次は何をすれば……。」

「15分の外気浴です。」


私は、彼女と露天風呂の近くにあるサウナチェアに座り、リクライニングをして半分寝るような体制になる。


すると、心臓がとくんとくんと……激しく鼓動するのがわかった。

それが……ゆっくり、ゆっくりと落ち着いていく。

わたしは、普段考えてるメイド喫茶のことを……この時初めて忘れることが出来た。


「……気持ちいいわ。タバコ以外でこんなに幸せになったの……久しぶり。ちょっと強引だったけど……。」


わたしは、隣の舞衣ちゃんをみる。


「良かったです!サウナってこのプロセスをこなさないと……本当に良さってわからないから。」

「ねえ、なんで今日誘ってくれたの?」


私は、ふとした疑問を彼女に投げかける。

いきなり上司とサウナ行くなんて……結構ハードル高いと思う。


「その……なんか、いつもより疲れてるな〜……なんて思ったからです。」

「え。」


初めてだった。

みんなからはいつも完璧とか言われてたから……そんな私の嘘で固めた表情を見抜いたのは10年務めて彼女が初めてだった。


「でも……サウナに行った後のことねさんは……少し元気に慣れたような感じがします。」


この子は……只者じゃない。

彼女の才能に驚きと、末恐ろしさもが共存したような感覚を覚えた。


「また、サウナ誘ってよ。私とあなたはただの上司と部下じゃないわ。友人として……!」

「もちろん!私でよければ……いつでも行きましょう。」


さて……そろそろ出よう。

慣れないことをして疲れたし。


「さて……ここでお開きに……。」

「え?何言ってるんですか?」


彼女は食い気味に私の言葉をさえぎり……私は唖然としてしまった。


「だって、サウナは3セットが普通じゃないですか〜。2セット目!行きますよ!」

「え……ちょ……その……。」

「今日はとことん整って貰いますよ〜!こ・と・ねさん♡」


コトン……という。桶が落ちた音……そして、温泉が下から湯船に決まった法則で落ちる音を尻目に……


私たちは、この後めちゃくちゃサウナした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ