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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第7章 瑞希と彩奈のオタ活サマー
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瑞希と彩奈のオタ活サマー6話

ここは御徒町と上野の間のアメ横と呼ばれるところです。

ここには市場が栄えてまして、人々が賑わっています。


「おねーさん!ここの魚いいよー!」

「よってらっしゃい!見てらっしゃい!新鮮なニベだよ〜!」


「……ニベ?」


聞きなれない魚の名前につい間抜けなトーンで返してしまいました。


「ニベってあんまり聞かないですね。どういう魚なんですか?」

「おおー!お嬢ちゃんお目が高い!スズキ科の白身魚でフライにしたり焼いても美味いんだな、これが……!

「買ってみようかな。あ、でも保冷剤ないかも。」


私は買ったあとのことを考えず魚を買ってしまうところでした。

いけないいけない……しかし、とても美味しそうです。

身がしっかりしていて、どうにも美味しそうなのと……これをお母さんと食べるのもいいのかもしれません。


「もし持ち運びが難しいなら……クール便で送ろうか?」

「いいんですか!?」

「ああ、お客様の要望に合わせるのが商売ってもんだ!あとでこの紙に住所書いてくれ!」


私は生まれて初めて魚を買いました。

これもひとつの良い経験でしょう。


「いいね、瑞希ちゃんその調子よ!」

「彩奈ちゃん?」

「好奇心を持って行動すればいい経験になるわ!」

「確かに!」

「そういえば魚捌けたりできるの?」

「出来ない!だから……遥香さんに切り方教わってみる。」


そう伝えると彩奈ちゃんは愉快と言わんばかりにうわははと高笑いをしました。


アメ横は軍服や魚などの食材がなんでも揃った賑やかなところです。

また行ってみたいです。

ここの人たちは仕事を生きるために必死だけどどこか生き生きと仕事をしていて、こんな雰囲気のことを活気と表現するのだと感心しました。


そして、アメ横を歩くと次は秋葉原がありました。


「しゅごい……フィギュアにコスプレ……メイドのサブカルに溢れて……らめぇ。」


なんか、彩奈ちゃんがおかしなことになってます。

どうやら好きな物が沢山あるのですが、それが一度に視覚に入ると嬉しさのあまり脳内麻薬が分泌されておかしくなるみたいです。


好きな物があるっていいな……私はチーズとジョジョしか分からないです。


「ねね!ちょっとあそこ行ってみようよ!」


彩奈ちゃんはピンクのビルを指さします。

所々に白いフリルが着いていたりします。


「こ……これってまさか……!」

「そう、ここはメイド喫茶……行ってみるわよ!」


彼女に誘われるままメイド喫茶に行ってみます。

私は目を疑いました。

列があるのです。

それも、まだ2階なのに3階からの列がありました。


「え、こんなに並ぶの?」

「そーよ?」


私は辺りを見渡します。

たくさんの人がいました。

50代くらいの男性もいれば、私たちと変わらないような女子高生もいました。


「こんなに客層広いんだね。」

「そうよ!なんせ秋葉原の人気スポットだからね〜。」


暫く並ぶと、1人……また1人と店内に入っていきます。


「お帰りなさいませー!ご主人様ー!」

という活気の溢れた声と音楽が流れてます。


遂に、私たちの番になりました。


「お帰りなさいませ!お嬢様が2人……あ。」


見た事ある人がいました。

すごーく見た事ある人がいました。


「彩奈ちゃんに……瑞希ちゃん?」

「やほー!舞衣今日は3階でお仕事だったんだね!いや〜偶然ここ通りかかってさ、来ちゃった!」


そう、サラサラの黒髪に毛先がやや青みがかった色白のメイドさんは先日一緒にバーベキューをした舞衣ちゃんでした。


「ぐ……偶然ね……あはは。」


明らかに顔がひきつっています。やばい、働いてるところなんて見られたくなかったのかな?

彩奈ちゃんはともかく……私はまだ会ってまもないから仕方ありません。


「それで、直輝くんとは……どう?」


あれ?どうやら見当違いみたいです。

でもどうして急に直輝くんが出るのでしょう?

疑問が止まりませんでした。


「あ〜、舞衣……瑞希ちゃんが直輝くんと浮気してるんじゃないかって心配してるんだっけ?」

「あ……ちょ……!」


そういえば、直輝くんと舞衣ちゃんはお付き合いしてるのでした。

理解しました。恐らく浮気相手が来た……そんな気持ちなのでしょう。


ここは潔白を証明するべきです。


「私と直輝くんは……その……えっと……。」


私は口ごもってしまいます。

そういえば……さっき可愛いって言ってくれたの嬉しかったな……。


「(ぽっ……)。」

「不味い!瑞希、その反応は直輝くんの生命に関わるわ!友達!友達ね!」

「……そうなんだ!ごめんごめん!私てっきり誤解してて……あはは。」


どうやら誤解は解けたみたいです。

ちょっと気になったのが、彼女が掴んだ窓の部分が少し破損した後があったのが気になりましたが、まあ大丈夫でしょう。


「それじゃあ、案内しますね!お帰りなさいませ!お嬢様!!」

「「「お帰りなさいませ!お嬢様!」」」


私はハッとしました。

私たちが入店したら、一度にメイドさんが手の動きを止めてこちらに挨拶をにこやかにしてくださったのです。

すごい、ここもひとつの活気に溢れたところなのでしょう。

案の定、席は埋まってました。



「瑞希ちゃんはともかく……彩奈は何回か来てるからルールわかると思うし……オーダー取るわね!」

「うん!ドンと来いよ!」

「何にする〜?」


彩奈ちゃんは10秒ほど人差し指を顎にあてて考えました。

そして、パッと答えを出します。


「ドリンクセットでミックスジューちゅ!……チェキはもちろん舞衣で!!」


……ちょっと何言ってるか分からないです。

ジューちゅ?ちぇき?


聞きなれない単語に私は首を傾げてしまいました。

ここは深く聞いても仕方が無いので合わせてみることにします。


「私も、同じやつで!チェキは……舞衣ちゃんでお願いします!」

「え、わたしでいいの?」


少しだけ、舞衣ちゃんのどこか引きつってるような怒ってるような顔がやんわり変化しました。


「もちろん!私……舞衣ちゃんとも仲良くなりたいから。」

「え……!」


彼女は両手で口を塞ぐと後ろに花が咲くような感じがしました。

表情はとても嬉しそうなのが伝わりました。


「瑞希ちゃん、ごめんね。私どこかあなたに対して大きな誤解をしていたのかもしれないわ。」

「誤解?どんな?」

「泥棒猫。」

「おおい!舞衣!ストレートすぎるでしょ!」


すかさず彩奈ちゃんがツッコミを入れます。

ちょっと泥棒猫の意味は理解は出来なかったのですが、彼女との友情の一歩を歩めて良かったです。


その後、舞衣ちゃんとはお互い片手ハートのポーズでチェキをとって、ミックスジュースの炭酸割りを彩奈ちゃんと飲みました。


「お……そろそろ、チーズアフターヌーンティーの予約の時間ね、行きましょ!瑞希!」

「うん!」


ここも素敵なところでした。

みんな仕事に全力で取り組んでる感じがあって雰囲気が好きになりました。


でも、最後に伝えることがあります。


「舞衣ちゃん!」

「……どうしたの?瑞希ちゃん。」

「今度……ご飯でも行こ?」


彼女は間を持つことなく嬉しそうな笑顔をして、応えてくれました。


「もちろん!瑞希ちゃんなら大歓迎よ!」


お互い、ハイタッチをします。

またひとつ、小さな友情が芽生えました。


佐倉舞衣ちゃん、とても可愛くてたまに怖いところはあるけど優しい女の子です。

そして、メイドの彼女は英語も喋れるし、他のメイドさんのフォローもして伝票も捌く姿は女子高生の持つべきポテンシャルを大きく超えたプロそのものでかっこよかったです。


それだけで、私は彼女のファンになりました。

私達は人混みの中をのらりくらりと進みます。

私もこの旅が終わったら、活気のある仕事に挑戦してみようと思いました。


私たちの奇妙な冒険はまだまだ続きます!


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