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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第7章 瑞希と彩奈のオタ活サマー
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瑞希と彩奈のオタ活サマー 2話

まずは、髪型からである。

私の行きつけの美容院である「e-Da」に行ってみた。


「あわわ……。」

「あれ、もしかして瑞希ちゃん美容院あんまり行かないの?」


明らかに彼女は挙動不審である。


「普段……1000円カットで済ましてるから。」

「あーね!そりゃあ慣れないよ〜。そしたら、今日は私に任せて!」

「あら〜あやにゃん!お友達?めっちゃ可愛いね〜!」

「のぞみん、おひさ〜!お友達の瑞希ちゃんって言うの〜!」


行きつけの美容師さんと盛り上がる私を見て明らかに青ざめた瑞希ちゃんがいる。


ボソッと「これがスクールカーストの最上位の世界か……。」なんて呟いていて少し負のオーラを感じる。


「まあまあ、今回臨時収入もあったしドンと私に任せなさい。」

「あわわ……。」


こうして、瑞希ちゃんは美容室の席に座ることになった。


☆☆


なんてことでしょう。

私は上原瑞希。

今私は渋谷でも人気の美容室である「e-Da」というオシャレなお店にいます。


どうやら先代のオーナーがこの人気店を築きあげたそうで、当時の従業員がここの経営に乗り出したとのことでした。


その人物こそ、今私の髪を切っているのぞみんさんとの事だったのです。


「あはは……美容院行かないと緊張するよね。」


どうやらのぞみんさんは私に気を利かしてガツガツ話すと言うよりは寄り添ったコミュニケーションを取ってくれます。

とても、綺麗な方でした。

年齢が不詳な見た目をしているのでパッと見何歳か分かりません。


しかし、髪を切る手さばきは見事の一言に尽きます。

繊細で……私の乱れた髪を綺麗にまとめあげてくれています。


「すみません、それにしても……ここのお店内装とかも綺麗で……美容院と言うよりも高級バーみたいですね。」


「先代のオーナー、飯田さんの意向ね。

とてもイケメンでストイックでかっこいい人だったのよ〜。働きすぎでぽっくり逝ったんだけどね。」

「飯田?」


すごく聞いたことのある苗字です。

もしかしたら、あの飯田くんと関係があったりするのかもしれません。


「私は、その時にはもうスタイリストにはなれてたんだけどね〜、めちゃくちゃプレッシャーあったけど飯田さんの残したこの店を守りたいなって思って思い切って継いでみることになったの!最初はめちゃくちゃ怒られてたりしてたな〜。」

「へぇ〜。」


のぞみんさんはオーナースタイリストにしては、そこまでギラギラしていない、黒髪で洗練された女性のイメージなのはもしかしたらお客様の為に身だしなみも徹底してるのかもしれません。


これが働くプロというものなのでしょう。


私は、この人に対する気持ちは未知に対する恐怖心から尊敬へと変わっていきました。


「そういえば……のぞみんさんっていくつなんですか?すごく若くて綺麗だけど……。」


女性に年齢を聞くのはタブーだと思いますが、少し話すだけでこの人の人生経験があまりにも深いように感じました。


「あはは!よく聞かれる!私これでも37歳なのよ〜。もうおばさんね。」

「嘘!?絶対20代だと思いました!」

「えー!めっちゃ嬉しい〜。きっといつもフレッシュな気持ちのせいかもね。」


やっぱり人というのは気持ち次第でこうも若々しくいられるのかと思いました。

のぞみんさんは顔だけで食っていけそうなほど美人です。


私は最近、遥香さんといい素敵な女性との出会いが増えているので、案外女性というのは醜くないのかもしれないと考えを改めさせられました。


「なんで……美容師になろうと思ったんですか?

結構練習したり生活がカツカツだって聞いたんですけど……。」

「瑞希ちゃん、思ったよりズバズバ言えて楽しいわ〜。」

「すみません、失礼でしたね。」

「いいの!私正直な子好きだし。ん〜、これがめっちゃ動機弱いんだけど……妹の髪を結ぶのが好きだったのよね。そんで気がついたら……美容師になってたの。」

「そうなんですか!?それでずっと美容師やってるの……すごいです。私やりたいこと全然なくて……友達もいないから。」


人が仕事をやる理由なんて十人十色なのですが、使命とか覚悟が必要だと思ってました。

好きなことを気がついたら仕事にしていた。

なんて……素敵な価値観なのでしょう。

私もこんな女性になりたいと思ってしまいます。


「へ〜!じゃあ……瑞希ちゃんの好きな事ってなんだろうね?」


私の好きな事……なんでしょう。

思いつくものは簡単な事しか思いつきません。


「チーズを……食べることです。」

「うわはは!面白い、さすがだよ瑞希ちゃん!」


のぞみんさんは私の好きなことを一切否定しません。

初めてでした。

学校という狭い世界だと小さなことも否定されてたのに……

大人の世界ではそれが素敵なものに見えてるのかもしれません。


「だったら……思う存分チーズをたべな!きっとその先に瑞希ちゃんの答えはあるよ!……さて、私の答えは今日のこの髪型がそれかもしれない!」


私は話に夢中になって……鏡を見ていたのに、私を一切見ていなかったので改めて鏡に映る私を見ます。


私は……目を疑いました。

私の髪はサラサラのセミショートになっていて、余計な毛量は空いているので少し大人びた雰囲気に変わっていました。


「かわいい……。」


はじめて、私は私の事を可愛いと思いました。

なぜこれまで私は自分を否定していたのでしょうか?

嫌いなはずの私が、180度違うものに見えました。


「よし!今日も私完璧!瑞希ちゃんも毎日この言葉言ってみな!きっとどんな事があっても人生楽しくなるはずだから!」

「のぞみんさん……今日はありがとうございました!絶対またすぐ来ます!」

「おう!いつでも来なさい!おねーさんはまた会えるの楽しみに待ってるね!」


私は……ゆっくりと美容室を出ます。

LINEで彩奈に連絡をして合流をします。


きっと、ここは先代の努力もあったけどそこをのぞみんさんはより良いものに変えていったのでしょう。

今度はバイトをして、またここに来て可愛い私に会いに行きます。


「え!まって!瑞希ちゃんめっちゃ可愛くなってるじゃん!最高〜。」


彩奈さんは私にハグをします。

人ってこんなに簡単に変われる。

その先を彼女と歩んでみたいと思いました。


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