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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第6章 あの子のお母さんもAV女優!?
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あの子のお母さんもAV女優!?12話

「ただいま。」


私は、特に返事が来る訳でもないのにただいまと言ってしまいます。

しかし、これを言うことで妙にホッとしてしまいます。


ああ、なんて楽しかったのだろう。

彩られた非日常がまたセピア色の日常に戻るのかと思うと胸が詰まりそうでした。


確かに、明日も直輝くんに勉強は教えて貰えるし彩奈ちゃんともLINEはしています。

しかし、もう少し余韻に浸りたかった。

それだけあの時間が恋しかったのです。


もう、母親は寝てるのだろうか。

家で顔を合わせても会話のすることの無いお母さんです。

流石に23時、女子高生が帰宅するには少し不健全な時間です。


しかし、私の思惑は大きく外れていました。


「おかえりなさい。」


私と不仲の母親…上原亜美がリビングに座っていました。

とても眠そうな表情でした。

そして一言…


「晩御飯、作ってあるから。」


私は唖然としました。

大変恥ずかしいのですが私は大食いです。

今日も2kgの肉を食べていたのですが、腹八分目に留めました。

案の定、家に帰るとお腹が空いていたのです。


まるで、そこまでを見透かされているようでした。


母さんは、私と目を合わせません。

だけど、私の好きなチーズをふんだんに使ったドリアを作ってくれました。


私はスプーンでそれを頬張ります。

暖かいです。

いつ帰ってくるかも分からず、夜遅くまで起きていたのにこの料理は温かく美味しかったです。


「じゃあ、母さんは寝るから。」


私は妙に焦燥感がありました。

ふと、遥香さんの言葉を思い出したのです。

母さんの気持ちを汲んでみます。


なぜ、今まで起きていたのか。

それは、心配だったからいつもよりも2時間長く起きてくれていたのです。


なぜ、怒らないのか。

きっと、楽しい気持ちを台無しにしたくないからです。


なぜ、温かいチーズドリアを作ってくれていたか。

私を、不器用ながらも愛しているのです。

何が好きかで、私の好きな物をいちばん良い状態で出してくれました。

その行動に……果たして愛してないなんてことはあるのでしょうか?


私の答えは1つでした。

そう、ただ不器用なだけ。

それを不器用な私は色眼鏡で憎悪に見えていただけなのです。


それをわかったからこそ……何か言わなきゃ行けないという気持ちが焦燥感になっていたのでした。


「お母さん!」


私は、母さんを呼び止めました。

でも、その次の言葉は思いつきません。


誤解しててごめんなさい?

迷惑をかけた?


私は、何を言おうとしていたのでしょう。


「……何?」


少し冷めた母親の淡白な返答に少し困惑をしてしまいます。

人生でこんなにプレッシャーに感じた日はあったのでしょうか?


少し目を閉じて、また遥香さんの顔を思い出します。

そう、難しい言葉は考えなくてもいいのです。

思ったことを伝えればそれでいいのです。


遥香さんの虚像がポンっと私背中を押してくれました。


「ドリア…美味しい……夜遅くまで……ありがと。」


母さんは、目を見開き……驚愕していました。

娘からの感謝の言葉はもう10年以上も聞いてません。

こんな家に生まれてこなきゃ良かった!

そんな罵声を言うことしか出来なかったからこそ、驚愕という表現がピッタリでした。


「そう……、次遅くなる時はLINEでも入れるのよ。おやすみ。」


相変わらず、私たちの関係は冷めきっていました。

まるで絶対零度であるかのように。


でも、今日は-293℃から-292℃くらいにはなれたのかも知れません。

どんなに小さなことでも、家族に感謝を伝えることってこんなに素敵なんだと思いました。


私は、その後にシャワーを浴びて煙くささを落とした後に母さんが炊飯器の予約スイッチを押し忘れてることに気がつきました。


私はしめしめと小さく恩返しをします。

予約ボタンを母さんが起きる時間に設定をして、朝バタバタしないようにしました。


「さーて!今日はもう寝るとしますか!」


今日はとてもよい日でした。

明日もきっといい日になるでしょう。


私は目覚ましを6:30にセットしてゆっくりと眠りにつきました。


眠りにつくと、とても幸せな夢を見ました。

温かく楽しく、細かくは覚えられないけど、セピア色から光が刺すような……そんな夢を。

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