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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第1章 僕のお母さんはAV女優
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僕のお母さんはAV女優 8話

またあの夢だ、俺には決まって見る嫌な悪夢があった。

なにかに追いかけられる夢だ、この夢を見る時の景色はどこか景色がずんと澱んでいた。


「よりにもよってこんな日に、どうしてなんだよ。」


この夢の目覚め方を知らない。

出来が悪いのでこの夢は何かを成し遂げないと目が覚めれたことがない。

そして、その夢を見る日ななにかと胃のあたりがヒヤヒヤしてムカッとするのだ。


「きた、やつだ。」


便宜上、俺は奴らのことをヘドラと呼ぶ。

昔…そう4歳くらいの記憶かな。

俺は母親といる時間が無い時にカセットビデオがあったのを記憶している。

そこにあった特撮映画の敵怪獣にヘドラという化け物がいた。


化け物は目が赤く血走っており、人は目尻が横に伸びているのだが奴は目尻が縦に伸びていた。

目の周りはイボイボがあり、書籍でも女性器を模していると記載があった通りグロテスクな顔立ちをしていた。


体は名前の通りヘドロのようにドロドロとしている。

見るだけで嫌悪感をする見た目をしている。


昔は俺はコイツを見てすごく泣いた。

こいつ、空も飛べるし分裂もするし倒しようがなかった。体も60mにもなるので話の付けようがない。


化け物は俺を見るなりすぐに追いかける。

だが、動き自体はそこまで早くない。

しかし、化け物はしつこく俺を追いかけてきた。

一体俺になんの恨みがあるのか…検討もつかないのに執拗に追いかけてきた。


俺は地下鉄に駆け寄り、電車を乗った。

そして、夢の中の二子玉川駅を降りて、多摩川沿いを走った。


しかし、奴は空を飛び俺に向かって走ってくる。

なんなんだよマジで。

そして、化け物は空から押さえつける。

やばい…殺される。俺は悲鳴をあげるが、何故か声が出ない。

女性器の目が鋭く俺を睨みつけた。

「………!」


しかし、どうにも喉がつっかえて声が出ない。

ああ、本当にこの夢が嫌いだ。

せめて夢だけでもいいものが見れればいいのに。

涙を流した時に…俺は目が覚めた。


「ああ、くそう。…また同じ夢を見ていた。」


喉がつっかえてたのは、寝る時の頭の角度が上を向きすぎてたので舌が喉につっかえていたのと、口を開けたまま寝ていたので乾燥しきっていたのが原因だった。


俺はたまに変な夢と思ったものは夢占いとして検索をする。

これが結構当たったりする。

例えば…猫に噛まれる痛覚の夢があった。

猫とはすなわち親しい女性の裏切りを、暗示するものだった。

その日に俺は女の子に告白をすることになり。公開処刑の末振られたこともあった。


他にもオーロラを見た夢があった。

その日から母親は俺との時間を作るようになり、それまではネグレクトのような状態から解放されたことがあった。


だから夢とはなにかの前兆だとおもっている。


ちなみに今日の夢は異形に追いかけられる所と、それを何度も繰り返す、このふたつがテーマであろう。


なになに…追いかけられるのは自分自身が追い込まれる。

異形は自分自身の漠然とした不安…か。


言われてみればその通りだ。

俺は思春期真っ只中で将来に漠然とした不安がある。

目標が無いこと、成し遂げたことがないこと、そして世の中が分からないことだらけだったりする。


実際あれもヘドラって呼んでるけどヘドラかどうかも怪しい。

ヘドラをネットで検索する。

夢のものと酷似はしているが熱狂的なファンがいるくらいだし、よく見ると愛嬌のあるデザインをしていた。

大人になって何度かその映画を見て克服しようとしたが夢に何度も出てきてしまう。


つまるところ、あれはヘドラのようでヘドラでは無いのだ。それに今回は、やつに捕まっていた。

逃げることが出来ないので、問題に向き合うというところだ。


俺は体を起こす。

今日は母ちゃんは仕事が早いと言っていたので既に姿はなかった。

俺は朝の気だるさに耐えながらなんとか身支度を整える。


身支度を終えると共にインターホンがなった。


「おっす!おはようさん!」


いつもの通りの飯田だった。

新年度早々なのに制服が少し着崩れていた。


「いやぁ〜、宿題多かったよな〜。俺解くのに時間がかかっちまったよ。」

「飯田、ちょっといいか…。」

「あん?どうしたよ。宿題今日もやってないんじゃないか?」

「あれはもう終わらしたよ。それよりだ、例の女優…もしかしたら母ちゃんかもしれない。」


飯田は…ハッと顔が青ざめていた。

まるで俺にその事を教えたことを後悔していて、嫌な方向に進んでしまうのかと不安になっている顔だ。


「なあ、直輝よ。もし俺の軽はずみで聞こうとするならやめてくれ、俺は確かに遥香さんが好きだと言うのもあるけどさ、厳密にはお前ら家族と接するのが好きなんだよ。俺の発言でそれが崩れるかと思うと…そっちのが怖い。」

「大丈夫だよ、君のせいじゃない。その後俺が調べたところ…母ちゃんと年齢は一致してるし、ホクロの位置とか利き手、出身地まで一緒なんだ。整形記録も酷似している。」

「なんでそんなことしてるんだよ。俺はお前との友情も崩れるのが怖い…なあ、気のせいにすればいいんじゃないか?世の中時間って言うのは便利にできてるんだ。ゆっくりでもいいんじゃないか?」


飯田は驚くほどうろたえていた。

そりゃそうである、人情家の飯田が自分のせいで親友が傷つくのを恐れてるんだろう。


「大丈夫、俺は確かにこの事実に対してビビってはいるけど…それ以上に母ちゃんを信じているからこそ、知る権利があるんだよ。」


飯田は、暫く黙っていた…きっと葛藤しているのだろう。

本人にとって次の言葉が難しい判断なのである。

だが、本人はしばらく葛藤したあと俺に向き合った。


「わかった、聡明なお前のことだ。俺も無事遥香さんと分かり合えること…信じてるよ。」

「ありがとう、いつもすまんな。」


俺たちは小さな決心を交わし、学び舎へと到着する。

一先ずは学業優先だ。

きちんと済ましてから、この問題に向き合うとしよう。

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