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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第6章 あの子のお母さんもAV女優!?
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あの子のお母さんもAV女優!? 8話

今日でもう8月となる。

8月の初日は常夏のような日本晴れかと思いきや、少し曇りがかっていてむしろ快適に感じるような天気だった。


「行くぞ、飯田ー!ポールあげてくれー!」

「あいよー!」


せーの!の合図で六角形のヘキサタープの端から端をポールで引っ張りあげる。

そして、以前の四尾連湖の経験から程よくロープを引っ張り、ペグで先端を地面に固定すると以前よりもスムーズにタープ、そしてテントの設営ができた。


「ふぅー!たのしいけど…相変わらずタープ張らせるの難しいよね。」

「そうだね…あれ、そういえば今日はまだ龍はきてないみたいだな」

「あー、龍は最近忙しいみたい。」


龍は飯田ではなくどちらかと言うと俺の方に気を許してるところがあるので声をかけてみたが、

すまん…今は勉強に集中したいとの事で以外にも断りの連絡が来た。


ほかのメンバーはOKなので、今回は龍以外全員集合である。

しかし、本人は距離を起きたい訳ではなく終わったら写真くれよー!と言っていたので関係性は相変わらずお互い良好だ。


「直輝くんー!炭に火がついたよ!!」

「おー、手際がいいなー!ナイスだ瑞希!」

「えへへー!私天才かも!」


ちなみに瑞希が一番最初に張り切ってきてくれた。

こうして積極的に手伝ってくれるところを見ると、本当に素直でいい子なのだろう。


「…今日は修羅場にならんといいな。」

「ん?どういう事だ、飯田?」

「いや、多分俺の思い過ごしだ。」


どうしたのだろう、修羅場?

確かに女の子の割合は高い。

しかし、瑞希とはあくまで友達だしやましいことはひとつもしていない。

今日来る佐倉舞衣さくらまいとは確かに恋人ではあるのだが、そこもお互い忙しいのもあって連絡を取る程度、川崎彩奈かわさきあやなとはいつものメンバーであるのに加えて、アニメ仲間だから修羅場と表現するには程遠い関係である。


まあ、いいや…というか、やっぱり汗が出てきた。

真夏はやはり暑い。

少し作業をするだけでくたびれてしまう。


「なあ、飯田…あのウーロン茶飲んでもいいか?」

「おう、いいぞ。」


俺はプラコップに入っている烏龍茶をみて喉が渇く、なんて美味そうなのだろう。この濁りが喉が潤う快感を求めている。


そして、グイッと喉に押し込む。

口の中にはキリッとした辛味と、モルトの甘み、そしてアルコールの濃い味が喉を焼いていた。


「ゲホッ…ゲホッ…。」


俺は目の前の飲み物を勢いよく吹き出す。

なんだこれ、明らかに烏龍茶じゃない。


「大丈夫か!?直輝!!」

「あれ、やばい。」

「ああん?え、烏龍茶じゃないのか?うっ!」


飯田も1口飲むが余りの不味さとアルコールにむせ返ってしまう。

誰だよ!こんなやばいドリンク作ったの!


「やあ〜少年たち〜やってるかい?ありゃ?私の笛吹烏龍茶がないぞ〜?」


すると、先日の酔っ払い…もとい笛吹さやかさんが家から出てきた。

そう、彼女も今日は参戦することになっていたのだ。

母ちゃんに相談はしたけど、まあいいんじゃないの一言で通ってしまった。


母ちゃん…寛容すぎるとたまに思うんだが大丈夫だろうか?


「笛吹さん!なんですか、これ!!」

「何って〜ウイスキー7割と、ウォッカを3割入れた笛吹特性の烏龍茶だよ〜♪色似てるでしょ!」


すると、彼女はまた同じドリンクを作ったかと思ったら一気に飲み干してしまった。あれ、全部母ちゃんのお酒なんだよな。


「うめぇ〜!久々の鬼殺し以外のまともな酒だ〜!」

「なあ、飯田…あの人殴っていいか?」

「まて、直輝!そのうち彼女には多大な印税が入るからそれまでは!」


飯田よ、その止め方はちょっとゲスすぎると思うぞ。

相変わらずこの2人の関係は不透明で不気味にさえ感じる。


「…てか、母ちゃんは?」

「あ〜、お酒飲んでたら…もう潰れちゃった。」

「え!?マジで!?」


俺は急いでリビングにかけ出す。

すると、ソファーの上でぐっすり眠る母ちゃんがいた。

嘘だろ、まだ午前の9時なのにこんなに潰れてしまうものなのか!流石は笛吹さやか…恐るべし。


「……マジで母ちゃん潰れてた。」

「ちょ、マジかよ!笛吹さん…何したんすかマジで。」

「あはは〜なんだろ〜?」


やばい、明らかに危険人物だ。

暫くは塩対応にするしかないかもしれない。


「あなたの作品、とても繊細だけど感情が爆発したりするところとか…初めて見た時は感動して涙を流す位の作品だったのに…。」


俺はちょっと翼の折れた天使をみて、正直彼女のファンになった。

小説としては300ページほどしかないのに、人生を前向きに生きようとする作品だった。

しかし、作者をみると少し幻滅してしまう。


すると、彼女はにやけ顔から突如真顔になった。

徐々にこっちに近づいてきて、俺は不気味に感じ1歩…また1歩と離れるが彼女は急に俊敏に動いて両手で俺の両頬を捕まえる。


「ちょ、なんすか!まじでやめてください!」

「…君、いい目をしてるね?」


突然、彼女は明るくだらしない声から低く重々しいこえになった。


「まるで希望を見出さなかった絶望から……まっすぐ誰かのために生きている、そんな目だ。まだ方向性は分からないけどまっすぐ誰かの為に成長しようとしている。そんな主人公のような目をしている。」


突然、俺の中身を全て見られてるような気がして…ゾッとしてしまう。

何より彼女のその笑顔はただの酔っぱらいではなく、カリスマ性があった。

それに気圧されて俺はペタンと座り込んでしまう。


「…この家はいい家だね。れんれんがこの家族に希望を見出すのもわかる気がする。この家好きだな〜。」


大胆な行動をする彼女に、瑞希はあわわ…と困惑をしていた。

これが大人の女性なのか?いや、余りにも尖りすぎている。


突然始まったバーベキューの1ページはとてもカオスなものだった。

曇りがかった天気から、少し太陽が神々しくさしかかっていて今日これからのカオスさを表すようだった。


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