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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第6章 あの子のお母さんもAV女優!?
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あの子のお母さんもAV女優!?7話

俺と飯田は繁華街の真ん中で久しぶりに再開したので、ひとまず近くのファミレスに座って話をすることにした。


「ぐがー……ぐがー。」


ちなみに酔っ払いのお姉さんは机に突っ伏して寝ている。自由奔放すぎる……しかし、この人が飯田になんの関係があるのだろうか?


まあいいや、ひとまずこの人は置いといて、瑞希と飯田が知り合いだという点が重要である。


「そ……その……まさか直輝と仲良かったなんて意外だったな……あはは。」

「うん!中学1年生から疎遠になってたから……3年ぶりくらいだね。」

「その……人間関係とか、大丈夫なんか?」

「んー、あれからも微妙なところ。」

「そうか……。」


2人だけで話が進むのを傍観しつつ、何となく察する。

この2人は最初は接点があったんだけど何かあって疎遠になったのだ。

何があったかはまだ分からないが……おそらくいじめによるものだろう。

でも飯田はきっと人をいじめるやつじゃない。

それだけは分かる。


「なんというか、中学の頃はもう少し手を差し伸べてやるべきだったな。俺もアイツらに虐められるの怖くて……傍観することしかできなかった。」

「ううん、私もからかってきた男子にドロップキックとかカマしてたから原因は私にもあるよ。」


いや、ドロップキックするなよ。

とはいえ、いじめで孤立していたらそういう判断能力も鈍るか。


「あの頃ほんと……お母さんの件とかでも辛そうだったよな。ごめん!ほんと……わるかったよ。」

「そんな、飯田君が悪いわけじゃないのに。」

「いや、いじめる当事者も悪いけど、ただ見てるのも一緒だ。なんかそこはケジメをつけなきゃいけないよ。」


飯田は会って早々話すことが昔話じゃなく、過去の過ちの謝罪から入る。

本当に誠実なやつである。

きっと中学で身を守ることで精一杯だし、思春期としては自然の行動なのに、ちゃんと非を認めてる。

彼は尊敬すべき友人だ。


「大体君たちの関係性はわかったよ。」


俺も話に介入をする。

瑞希はもっと人と関わるべきだと思うし、飯田は頼って損は無い。それだけ俺は信頼を寄せてるのだ。


「飯田、俺たちは夏期講習を通じで友達になった。出来れば瑞希とも友達でいてくれないか?」

「え?」

「なんというかこいつ俺に似ているところがあるし、真っ直ぐ勉強頑張ってお母さんとは違う道を行きたいって言ってるからたまにみんなで勉強して行けば大学行けそうな気がするんだ。」


飯田は少し困惑するが嬉しそうに、そして誇らしげな笑顔をこちらに向けた。

きっと、その言葉が嬉しかったんだろう。


「そうだな!直輝がいうんならそうしようぜ!

あれ、でも昔進路希望だとお母さんと同じ方向って書いてあったから、てっきり意志を次ごうとしてるのかと思ったよ。」


すると、瑞希は明後日の方向をむき出した。


「それは……、進路希望総理大臣って書いたら先生に怒られたから、ディレクターって書いたらクラスの男子にAVディレクターって改造されてたの。」


うん、ツッコミどころしかない。


「おま……、中学で総理大臣は……。」

「なんか、池上彰さんの番組見てたら政治できるような気がして。とりあえず消費税を廃止してチーズ食べ放題の政策を取り入れたいなと。」


やばい、アホだこいつ。

そりゃあAVディレクターに改変される方がまだまともに進路決めたと思われるのかもしれない。


「……ちょっとずつ、そういうところも治していこうな。」

「ちょっと!?直輝くん、遠い目と温かい目が合わさったような目をするのやめて!」

「大丈夫、俺は瑞希の味方だからさ。」

「目が笑ってないよ!ああ〜もう飯田くん、なんでそんなことを言うのよ!」


ちょっと場が和んだ。

なんだ、意外と瑞希ちゃんと男子と話せるじゃん。

それだけでもなんか成長を感じた。

でも、彼女が総理大臣になる事だけはやんわりと止めなきゃ行けない。それ以外は背中を押してあげよう。


すると、机に突っ伏してるお姉さんがガバッと起き出した。


「きゃっ!?びっくりした。」

「……!」


お姉さんは焦点の合わない目と火照った顔をしていて何考えてるか分からないけどきっとまともなことは考えてない。


「熱燗……もう……一丁。」


すると、彼女は再び突っ伏した。

なんというか、彼女だけ明らかに雰囲気が違う。

突っ込まないようにはしてたけど。


「つーか、飯田よ……この人は一体なんなんだ?ただの酔っぱらいで……名前は笛吹さやかだ!って言ってたけど。」


すると、飯田は一冊の本を俺に見せる。

本屋でよく見る本だった。


「これは……今度映画化する予定の翼の折れた天使だな。作者名は……笛吹さやか?」


俺は少し思考がストップする。

え?まさか……いや、まさかだよな?

日本有数のベストセラー作家が目の前で酔っ払って寝てるのか?


「この人、金遣いが荒くてさ〜。元々アパートの隣に住んでたんだけど家追い出されてたんだよ。」

「そうなの!?じゃあ今は一緒に暮らしてるの?」

「まあ、成り行きでな〜。」


飯田は遠い目をする。

それだけで彼女にどれだけ振り回されてるかが容易に想像できた。

俺は彼をとめた方が良いのだろうか?


「飯田よ、この人が凄いことはわかったけど……飯田が与える側になり過ぎてないか?困った人を助けるのはいい、でもお前がそれで潰れるのはしんどいから見切りをつけても……。」

「あー、そこは大丈夫。彼女にも色々助けられたんだ、ある意味俺たちはウィン・ウィンの関係を築けている。」

「そうか、それなら尊重するよ。すまんな、出過ぎた真似をした。」


俺も友人の心配をできるようになったな。

そこに少し成長を感じつつ、友人が不幸では無いことに安堵する。


「まあいいや、てかそろそろ……また天野家で集まって勉強会しよーぜ!ちょっと面白い企画考えてるんだ〜。」

「企画?」

「そう!勉強会兼……庭でキャンプしながらバーベキューとかどうよ。」


おお……確かに夏っぽいし、そろそろ龍にも数学の件で聞きたいことが山ほどあったんだ。


「いいな!それ、近々やろう。」

「一先ずみんなにも声をかけておくよ。」


飯田は人に声をかけるネットワークを作り出せる天才だ。

きっと彼の声にいつものみんなは集まってくれるだろう。


「ねえ!私もそれ……参加していい?」


瑞希が突如介入する。


すると、飯田はにこやかに答える。

そんなの答えはひとつじゃねえか。


「もちろんだ!楽しもーな!」


俺に……いや、俺たちに仲間ができた。

上原瑞希、勉強は苦手だけどムードメーカー。

人見知りだけど……努力家である。


そんな彼女を拒む理由は無い。

来る者拒まずだ。


「わらしもバーベキューするぞ〜!」

「お姉さんは……うん、ちょっと。」

「え?れんれん〜なんとか言ってよ〜。」

「お留守番しましょう。」

「なんらと〜!!」


またひとつ、小さな1歩をふむことが出来た。

明日が来るのがより楽しみだ。

俺の人生は灰色からまた色が一色、また一色と彩っていく。



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