表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第6章 あの子のお母さんもAV女優!?
74/253

あの子のお母さんもAV女優!? 6話

今日も夏期講習がおわった。

だいぶレベルアップをしてきた。


新しい先生になってから特に基礎が分かりやすい。

しかし、やはりひとりの勉強時間の方が効率が良いことが分かったので家帰ってからも勉強が出来てきている。


なによりも……。


「ねえ!本能寺の変っていつ起きたか覚えられないんだけど。」

「んー、1582年だから……いちごパンツの本能寺って覚えるといいぞー。」

「な……!いち……!?」


そう、瑞希の存在が何よりもでかい。

人は教わるより教える方が勉強になると以前教師が言っていたことを思い出したがまさにそれだ。


人よりも1歩先を行ってアウトプットができるようになるから吸収が早い。


そして、この教え方は虎ノ門龍とらのもんりゅうのふざけた教え方であるが、これが絶妙に覚えやすい。

少し下品だが瑞希はそれで覚えられるだろう。


「……。」

「……なんでスカートの裾抑えてるの?」

「見たの?」


どうやら、彼女は今日はイチゴ柄だったらしい。

少し自身の失態に後悔するけどあえて反応をしないようにした。


「すまん、偶然だ。以前不良にそう教わって覚えやすかったから教えただけだよ。」

「びっくりした……!直輝くんあんまり下ネタとか言わないからさ。」

「瑞希もあんまり言わないよね?」

「あはは……私男の人苦手でさ〜。」

「俺も男なんだけどな。」

「直輝君は……なんか男らしくないからさ、いい意味で。」


それ、普通は年頃の男が聞いたら泣くぞと心の中でツッコミをするが彼女はどうもこういう時の言葉選びのニュアンスが苦手な傾向にある。


無理に変える必要すらない。

それよりも、何か言いたげな表情なので聞くことに徹してみよう。


「そうか、まあ色々あるよな。おれも昔は母ちゃん仕事が忙しすぎて帰ってこないでネグレクト〜っていじめられてたからな。少しマシになったけどまだ人が怖い。」


すると、瑞希は目をパチクリすると笑い出す。


「一緒ね!私も中学の頃は男子にお前の母ちゃんAV女優〜とか、お前の進路はAV女優でアヘ顔晒すことだろ!とか、ロリと貧乳でポルノハブ投稿しろ〜とかめちゃくちゃ言われてたの。」


俺は少し憤りを感じる。

俺だってそう言われたら手が出てしまうのかもしれない。

まあでも、厳密には母ちゃんを侮辱されるのが俺にとって1番怒りに触れてるのかもしれないけど。


「酷いことを言うやつもいるもんだ。瑞希だって望んで今の状況になってる訳でもないし。」

「ううん、私のお母さんさ……いつもあなたのお母さんに負けて売上2位がコンプレックスだったから勝つために努力をしていたの。でも……あなたの母さんはあの仕事を心から楽しんでいたから、演技もカリスマ性も段違いだった。だから勝つために今もやり続けてるの。」


母ちゃんは、ある意味楽しむ天才だ。

好きこそ物の上手なれというが、母ちゃんは好きになれば他者が努力でやっていることを楽しんでやってしまう。

母ちゃんは一言で言うとカリスマそのものだった。


「瑞希は、これからどうしていきたいんだ?」


そもそも疑問だった。

なぜ勉強ができない彼女がそこまで勉強に執着するのか。

ある程度想像が着くのだが、それでも聞いてみた。


「私ね、まだやりたい事はわかんない。でもね?私はAV業界に入るつもりなんて毛頭ない。今学生として課される勉強を頑張って私は私として生きていきたいの。AV2世じゃない……上原瑞希として、独立した人生を送りたい。」


俺もそんなもんだ。

何となく勉強頑張って学歴コンプレックスの母ちゃんの気持ちを引き継いで小さな悲願を達成したい。

今まで落ちこぼれだった人生を1歩でもいいから乗り越えたい。


そこは一緒だから共感ができた。

だからこそ俺たちはこうして出会うことが出来た。


「私ね、勉強怖かったけど……直輝くんとあってから少しずつ分からない事が分かるようになって嬉しかったんだ。勉強が嫌いで、親のせいで私嫌われるのが当たり前だったんだと思えて……でも、なんかここに居ていいんだ!って思えるようになったんだ。」


俺は、彼女の言葉を遮らず深く頷いた。

彼女はよく喋る。そして、本当は賢い子なので喋れば答えを自分で作り出せるのだ。

なんて、素敵な子なのだろうか。


夏のあと数日かもしれない。

でも、俺は彼女を応援していきたい。

初めて、他者の成功を願う自分になれたのも大きな成長だった。


「直輝くん、これからも……できれば夏が終わっても私の友達でいてくれないかな?AV2世連合として!」

「……名称はツッコミどころ満載だけど、俺でよければ。」

「ありがとう!」


彼女は嬉しそうに微笑んだ。

まるで、ドッグランのチワワに初めて身の丈に合う友達ができたように。


さーて……そろそろ帰ろうか、そう思った時だった。


「いえーい!そこのカップル〜!乗ってるか〜!?」


突然、酔っ払ったお姉さんが話しかけてきた。

年齢は20代位で体は驚くほど痩せていて、ウルフカットなのが特徴的だ。


そして、妙にタバコとお酒臭いお姉さんだった。


「……ねえ、直輝くん?この人ヤバくない?」

「……やばい人だと思う。」


危ない人に会った時は第一にやるべき事はひとつ……逃げるが勝ちだ。

関わる必要が無い人だっている。


「おえ!……はあはあ。」


お姉さんは相当酔っ払ってるのか嗚咽をしていてまっすぐ立っていなかった。


「あの……俺たち急いでるんで。」

「なんらと〜!わらしはなぁ、ベストセラー作家の笛吹さやかだぞ〜!」


なんか聞いたことある名前だけど……目の前の人物のことはそこまで知る必要も無いだろう。

しかし、俺たちは回れ右をして歩くと目の前には青年がいた。


「笛吹さん、ここにいたんですか!」

「……飯田?」


目の前にいたのは俺の悪友である飯田蓮いいだれんだった。

伊豆に行っていたと聞いていたが、もう帰っていたのか。


「おおー、直輝じゃん!めっちゃ久しぶり!夏期講習中だった?」

「ああ、そこで知り合った子と最近勉強してたんだ。」

「おいおい、お前彼女持ちなんだから浮気は……上原?」


飯田は瑞希の顔を見て面食らっていた。

え?知り合い?


夕方の繁華街は妙にアスファルトを乱反射していて、まるで鉄板の上にいるようだった。

俺はその暑さもあり驚愕と困惑が共存しているような感情を抱いていた。


物語は、急変していく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ