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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第6章 あの子のお母さんもAV女優!?
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あの子のお母さんもAV女優!? 3話

夏期講習も慣れてきた。


夏休みというのはある意味恐ろしいものなのかもしれない。

自由な時間はできるのだが、自由とは責任を自分で負う事だと思う。

スケジュールを遵守し、やったことを無いことをできたりするのも自由だし、堕落して自分を劣化させてしまうのも自由。


今までの俺は劣化する側の人間だったのだが、意外と夏期講習を受け続けると体内時計もやることも同じだったのでどうにも満足度が高い。


むしろ、何も無い時間が多い方が虚無感が溢れるってことあるよね。


でも……一つだけ生産性が低いと思う時がある。


「Good morning! Everybody!」


まじかよ……またあの異様な教師が勉強教えてやがる。

俺はちょっと頭を抱えていた。

おいこら、母ちゃんが汗と水と愛液を垂らしながら働いた金を無駄にするんじゃねえと、少し怒りを感じていた。


しかし、少し雰囲気が違った。


「先生は思いました。先日の正答率が低かったです。」


教師はキザな笑顔でみんなに聞いてみた。


「ズバリ!先生の教え方が悪いと思う子はプチョヘンザ!」


………………。


「OK!全員手を下ろして!」


いや、自覚しなさい!

やばいだろ……ニーズとかわかる努力はいいんだよ。

そこからの改善をしてくれ!


コントなら100点だが夏期講習として0点なんだよ。

なんで英語をそんなに多用して社会の先生やってんだマジで。


「Hey,teacher.」

「おー!君は留学生かな?」

「The teacher's pronunciation is distorted and he doesn't understand grammar very well, so can he just give me a normal social studies lesson?」


何言ってるか分からないと思うけど俺はわかった。

TOEIC700点のバイリンガルの友達である川崎彩奈かわさきあやなのネイティブ英語を聞いたので辛うじて日本語に訳そう。


彼の主張はこうである。


「先生は発音が歪であり文法もよく分かってないので普通に社会教えて貰っていいですか?」


めちゃくちゃハッキリとした意見だった。

すごい、外国では忖度とか無いんだなと感心してしまう。


対して……教師は反応する。


「いえーす!いぇすいぇす!いぇーいす!」


お、分かってくれたか?めちゃくちゃ怒られてるんだけど。



「……こいつ何言ってんの?」



「「いいかげんにしろーーーー!!!」」


全員の怒号が溢れた。

結局、暫くして偉い人と教師が話し合い夏期講習は別の教師が対応することになった。


☆☆


「ふー……あの教師なりに頑張ってるとは思うんだけどな……。まあでもその後の先生の教え方は分かりやすかったな。」

「……。」


瑞希はまた机に突っ伏しっている。

こいつ、個別指導向きだな。

このように講義的なものはひとつ遅れると全部が入らなくなるのだがこいつは典型的なそういうタイプなのだろう。


俺の言葉は聞こえてないみたいだった。

めんどくさいから隣でキャンディチーズを空ける。


ガサゴソ……。


「おやつ!」

「お前……よく犬っぽいって言われないか?」

「ねえ、直輝くん?私にもチーズ分けてよ。」

「んーじゃあ……お手……。」

「はい。」


いや、そこは人間としての尊厳を持ってくれ。

しかもめっちゃ手を出すのが早いからこいつの前世は犬だったのかもしれない。


「ごめん、からかい過ぎた。その袋のやつ全部あげるよ。」

「わーい!ありがとう〜!今日も勉強の指導お願いします!先生!」

「あいよ〜。」


でもなんというか、瑞希は本当に美味しそうに食べる。そうか、チーズが好きなんだな。

細くてスレンダーなのによく食べるから結構この光景は好きだった。


そして、チーズを食べ終えた俺たちはいつもの喫茶店に向かっていった。


☆☆


「あれ、今日定休日なんだな。」

「ほんとだ!パフェ食べようと思ったのに〜!」

「いや、勉強しに来てるんだよな……?俺たち。」


勉強をやってるのは大いに良いことだと思うんだけど……こいつはまずは東大を目指す友達5人作るところから始めた方がいいと思う。


「じゃあ、今日は帰るか〜。」


たまには休んでもいいのかもしれない。

久々にゲームでもやってみたいし、母ちゃんに頼めばシャルロットケーキでも作ってくれるだろう。


「待って!」


しかし、そんな俺を彼女は制止する。

どんだけ勉強したいんだよ。


「直輝くんの家で勉強なんでどう?」

「……距離感近いぞ。」


普通女の子から男の子の家に行きたいとか言わないと思うんだけど……、大丈夫か?悪いやつとかに酷い目に合わされないかと不安になる。


「あのな、もし俺に悪意とかあったらどうする?不用意にそういう事は言うもんじゃないぞ!」

「そうだけど……直輝くんは普通の人とは違うと思うから。」


まあ、実際にそういう気持ちは無い。

こいつは妹というか犬というかそんな感じで見ているし、家には母ちゃんというセーフティーネットもあるからな。

んー、気が乗らないんだけど家で勉強するか。


「仕方ないな……じゃあ行くぞー。母ちゃんに頼んでケーキ作ってもらうからさ。」

「ケーキ!?マジで!?」


俺たちは並んで自宅への道を進む。

夏の街路樹の下だけがほんのりと涼しくワシワシと聞こえるのはクマゼミかなと思いながら瑞希の小さい歩幅に合していく。


母ちゃんにLINE入れておこう。


「今日、友達遊びに来るから。」


そして、この後とんでもないことに気がつくことになるとは……思いもしなかった。

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