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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第1章 僕のお母さんはAV女優
7/140

僕のお母さんはAV女優 7話

食卓を見ると、今日も美味しそうな料理が並んでいた。


ハンバーグにグリーンサラダ、そして味噌汁と米である。見るからに健康かつ成長期の俺を気遣うようなそんな料理であった。

口に入れると、それはもう圧巻の美味しさだった。


昔はマックとかのジャンクフードが好きだったのだが、少し大人になると玉ねぎの旨みとかそういったものに美味しさを感じた。


「相変わらず、無駄に美味しい。」

「無駄…は余計ね!」


母ちゃんがツッコミを入れる。

まあ確かにこの言い回しは失礼にあたるのだが、俺は思春期真っ盛りの男子…そうやって小さく母親を反発したくなるものなのだ。

とはいえ、漫画の不良のように罵ったりしない分俺は幾分か優等生と思って欲しいくらいだ。


まあ、バイトもしてないし部活もしてなければ成績も良くないニートみたいなものだから優等生の優の字もないんだけどね。


母親も左手で箸をもって美味しそうに食べる。


「んー、おいしい!隠し味にほりにし入れてみたんだけど、やっぱりアウトドアスパイスって最強ね!」

「母ちゃんアウトドアなんてやってたっけ?」

「たまにね、昔キャンプが趣味だったのよ!そうだ、今度直輝もデイキャンプでもいいからやって見る?

自然はいいわよ〜、都会にいると気づかないことだってあるんだから!」

「考えとく。」


母親がAV女優だなんてくだらないことを詮索してしまったが…日常の幸せが俺の頭を浄化してそんな疑いを忘れさせてくれる。

幸せだ、確かに父親がいなかったりするし、じいちゃんばあちゃんとかそんな概念が無い家庭ではあるものの母ちゃんがあまりにも優秀すぎるので俺は母ちゃんの息子でよかったなとさえ思ってしまうのだ。


そう、何かの間違いだった。

日本人は少なく見積っても1億人がいて、毎年70万人生まれては70万人が死ぬ…そういう熱循環システムで成り立っている。たまたま似ている人がいただけだ。


犬だってそう、ブラックアンドタンのチワワみたいにカラーリングで区別されてる…いや、その例えはちょっと違うか。


俺と母ちゃんは決まってテレビを見て食事をするのだ。

今日は世界仰天ニュースのダイエットビフォーアフターだった。俺の母親はこれがめちゃくちゃ好きだった。


「この人…110kgか〜でも顔のパーツめっちゃ可愛いよね。この人は美人になるわよ〜。」

「そうかな?普通なんじゃない?」

「言ったな〜!じゃあ冷蔵庫のプリンをかけよう!」

「望むところだよ。」


暫く10分ほどのドキュメンタリーが流れる。

端的に言うと、祖母の唐揚げとマヨネーズが原因で太ったが恋愛をキッカケにダイエットをスタートするというものだった。


そして…110kgの女性は50kgまで痩せて茶髪の筋肉質が特徴の美女に変わっていった。


「これは母ちゃんの勝ちかな!」

「いや、俺まだ負けたって言ってないんだけど。」

「じゃあ、感想を聞かせて!」

「まあ、美人っすね!」

「やりぃ!」


母ちゃんは嬉しそうにピースをした。

こうしてしっかりしてるけど、こういう所は子供っぽいな。

つーか、母ちゃんってまだ32なんだよな。

未婚で子供もいない人がザラにいる昨今の晩婚化の中では結構レアキャラなんじゃないか?


「母ちゃんこの特番好きだよね。なんで?」

「なんというか、ビフォーアフターする努力する姿がすきだったり、美味しそうな料理を考えるアイデアマンが居たりとデブって欲が強いだけで才能を持ってるなって驚かされるのが好きなのよ。」

「そうなんだ、面白い感想だね。」

「でしょー!」

「母ちゃんもビフォーアフターとかしたの?」


あ、言ってしまった。

母ちゃんに似た女優がそういえば顔が綺麗になったり胸が大きくなる姿を見た違和感がさっと脳裏を過ぎってしまった。

やはり、俺は心のどこかでまだモヤモヤしてるのだろう。

しかし、母親はそんなことではぶれないのだ。


「母ちゃんね〜してるよ、整形。」

「そう…なんだ。」

「なーに?ショック受けてるの?いまなんて寧ろ整形してる子の方が多いわよ〜、気になる?」

「いや別に。」

「でも後悔はしてないよ。それにもう整形する予定は無いし、今の顔を変えたら直輝も嫌でしょ?」


母ちゃんは重い話を軽々と話す。

いつもだ、でも不思議と母親のその整形前の姿にはあまり見覚えがなかった。

覚えているのは…俺は基本的に長い時間延長保育でいつも最後だったこと、そして俺は学校から帰ってくると母親の置き手紙とご飯が多かったこと、やることが無くてゲームすることしか出来なかったこと、そして小学校高学年に入り物心が着いてきたあたりで妙に母親が俺との時間が増えたことぐらいだった。


「さて、テレビも見たしお風呂入りなさい!」

「いや、俺風呂キャンセル界隈入ってるんだ。」

「何言ってるのよ、風呂はいいわよ〜!疲れが取れるのよ。今のうちに習慣ずくとすごく楽になるわよ。」

「へいへい、わかったよ。」


あ、もちろん毎日風呂は入ります。

でもちょっとめんどくさいって思うことないかな?

屁理屈を言うと母親はいつも最後にメリットを伝えるのでおれざるを得なかった。母親は基本事務をするのだがたまに営業で商談にされることもあるので妙に手の上で転がされてる気がする。


俺は風呂に入り、しばらく自問自答をした。

対応が上がりリラックスをされる。

なんというか…母親の解像度が上がる度に飯田のジョーク(虚言)がファクト(事実)になりつつあった。


明日が来るのがとても怖かった。

母親の過去を知るのがより怖くなった。

まあ、考えても無駄か。お笑い芸人のオードリーの若林さんの言った「ネガティブを潰すのはポジティブではない、没頭だ」という名言を思い出す。


俺は今は暇だからネガティブになるのだ。


そう決意し、俺は母親に顔を合わせることなくお休みと一言告げてから俺は自室に入り、サーバーを立てると沢山の狩人たちが集まってくれたので俺はネット上で刀を振るった。


「それにしても、システムまたやりづらくなったな…なんというか、太刀が昔より使いずらくなった気がするよ。」


過去に好きだったものが妙にぎこちなくなるこの違和感は半分正解でもあり、半分不正解でもあった。

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