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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第5章 隣のグビ姉は小説家
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隣のグビ姉は小説家 1話

俺は飯田蓮。


普通の高校生にして、AV女優の母親を持つ天野直輝とは親友である。


普段は水泳部の練習に勤しんでおり、バイト、仲間とのカラオケなど多種多様なコミュニティに属している男である。


最近は俺である直輝もあの学校一の不良の虎ノ門龍や色んな仲間たちと楽しそうなので俺は1歩引いて友人の成長を心穏やかに眺めている。


とても嬉しいことだ、今まで1人だったやつがこうして仲間ができているのだ。俺があいつに接してきた事はこれを伝えるためのきっかけになればいいかなと思ったからいい方向に進んでいる。


俺はテストが終わり、夏休みに向けてプランを練っていた。なんて嬉しいのだろうか、夏休みなんて遊びたい放題じゃないか!

カラオケとかは飽きたし……部活の練習をしようかなど悩む時間を楽しみながら俺は帰宅した。


「ただいまー!」


ちなみに俺は一人暮らしである。

両親が離婚をしてから親と疎遠になり……俺は一人暮らしをしている。

とはいえ、お金が少し貯蓄があるのでボロアパートに住んでるくらいだ。


一人暮らしでも、ただいまっていうと少し心がほっとするよな。


「おかえりー!れんれん!」


ガクッと肩の力が落ちる。

そう、聞こえちゃいけない声が聞こえてきた。


「笛吹さん……なんで俺の家にいるんすか。」

「あはは〜なんでだろ……鬼ころし飲んでたらなんか蓮くんの家にいた〜。」


このだらしないお姉さんは笛吹さやかさん。

年齢は25歳で仕事は何をしてるのか分からないけど……ニートでは無いのは確かである。

酒とタバコが大好きで、家は年中散らかっている。

しかも、家の家具は偏りまくっていて……ウォーターサーバーはある癖に洗濯機も冷蔵庫もないのだ。

そのため、たまーに洗濯機を借りに家に来たことはあるのだが……今日は家にいた。


「(スっ)もしもし警察ですか?不法侵入です。」

「あ〜!待って待って!わかった、家賃身体で払うから。」

「未成年に淫売行為の強要と不法侵入が」

「ストーップ!……あ、お世話になっております、申し訳ございません……中学生のイタズラですはい……はい……申し訳ございませんでした。」


ナチュラルに携帯を取られて対応をされてしまった。

シラフの時ないくせに……こういう時は対処が冷静なのがより怖かった。


「もー!警察の人に迷惑でしょ〜!」

「いや!目の前に!迷惑そのものが!」

「何言ってのよ〜私たちは運命共同体じゃんか!」

「いや、あんたはどちらかと言うと寄生獣じゃん!」


このように想像もしない行動をするので笛吹さんは俺にとっては恐ろしい存在だった。

しかし、強く出る事はなかった。


笛吹さんは…髪型がウルフカットをしていて背は160位と女性としては高めで、つり目の美人なのだ。

本性を知らないと……目を奪われてしまう。


「なんというか……笛吹さんは黙ってれば美人というか……黙れ美人というか。」

「なんか、さりげなく酷いことを言ってくれるね〜君は。」

「まあいいや……どうしたんですか?急に家に居るなんてなんか困った事あったんですか?」


いつも物を借りてくる存在だ。

一人でなにも出来ないのでまた何かあったのだろう。


「いや〜……ね?年金払い忘れてもの差し押えになって……家賃も払えなくて大家から追い出されて……おうちの物も処分されちゃってさ……身よりもないから……あはは。」

「あはは……じゃないですよ!働いてください!」


なんか、未成年にはまだ早い闇を全て見せられるような気がした。

ほんと、何をしたらこうなるんだと常々感じてしまう。


「いや……私ね、その……あれなのよ。」

「一応聞きます。」

「コンビニバイトも覚えられないし……オーダー忘れちゃうし、アパレルも拘束時間長くてさ……仕事できないんだ。」

「いや、逆に何ができるんですかそれ。」


なんというポンコツっぷり……彼女は既にたくさんの失敗をしているというわけか。


「キャバとかどうです?笛吹さん美人だし。」

「えー?どうしよっかな〜、あっ……1回体入したけど酒飲んで暴れて店のグラス割りまくったんだった。」

「うん、辞めましょう。」


諦めよう……彼女はきっと何も出来ない。

そして、俺は助けてあげる義理もないのでこのまま浮浪者として……。


「ねえ、ちょっと悪い事考えてるでしょ。」

「う……。」


笛吹さんは特技はある。

人の顔を見て思考を読み取り正確に当てたりする。

他にもよく本を読んでいるのだが量子力学の本とかアドラー心理学の本とかを読んでは暗記するため頭はずば抜けていいはずなのだ。

俺の考えもこうして読み取られてばかりだった。


そう、初対面の時も。


☆☆


「……母ちゃん、親父……死んだんだ。」

「蓮、あなたもう扶養じゃないから……。」

「はぁ!?ざけんなよ!」

「強く生きるのよ。」


……俺は中学生にして最大のピンチを迎えていた。

もうおしまいだ、誰にも心を開くことは無いだろうと思った。


「あ〜ら〜、なんかお兄ちゃん……両親に捨てられて絶望してる顔してるね。」

「はぁ!?何言ってるんだよ……あんたに何がわかるんだ。」

「君は……自由になった。この状況を……君は解放されたと認識した顔をしているよ。」


☆☆


こんな感じで俺と笛吹さんはボロアパートで出会うことになったのが確か初めてだったな。


「それはそうと……笛吹さんは収入源は無いんですか?ニートではないんですよね。」

「小説家。」

「え?」

「私は……小説家をしているのだよ、少年。」


確かに頭はいいのだけれど……小説家ってもっとしっかりして文学を楽しむイメージが……あ、そういうことか。


「私は、人間が普通にできることを犠牲にして文学に費やした小説家なんだ。だから……。」

「だから?」

「再ブレイクするまで……居候させてください!」


「できるかあああ!!!」


こうして、俺と笛吹さんの奇妙な同居生活が始まった。

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