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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第4章 クラスの不良は優等生
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クラスの不良は優等生 6話

ここは山梨県にある、四尾連湖しびれこという湖である。

現在、富士山を囲む湖を富士五湖と海外商業として表現しているが……もともとお坊さんの修行として富士八湖と表現している中にあった比較的小さな湖である。


高い位置にある湖で、水は比較的綺麗なのが特徴で例のゆるいキャンプの聖地として知られるキャンプ場である。


俺たち5人は……そのキャンプ場にきていた。


☆☆


遡ること……1週間前。


「なおっち!LINEみたか?」

「げ……龍君……。」

「げってなんだげって。」


朝、突然龍君が俺に突撃をしてきた。

昨日舞衣と動物園に行ってる時にLINEが来てたのは気づいたのだが、怖くて何返せばいいのか分からなかったのでそのままでいたのだ。


「んだよ〜、あんだけ遊んだのにまだビビってんのかよ。」

「龍君……もう少し自分を客観的に見てみてもいいかもよ?」

「んだよ、言うようになったな。客観的に俺は会話の通じない暴君で何考えてるか分からないけど頭が良いヤバいやつとかそんなもんだろ。」


いや、その通りなんですけど。

彼はわかってその振る舞いなのだ、尚更タチが悪い。


「勉強しないとな〜やっぱこの季節が勝負じゃないの?」

「バカかてめえはよ!ずっと座ってばかりの方が効率悪いぜ。それよりも今しか出来ない経験もやって見た方が良いぞ。」


確かに一理ある。

俺はこの先多分ゲームか勉強か母ちゃんとの思い出しかない。

そういえば去年のクリスマスは母ちゃんと盛り上がってただけだったな。

いかん、そう言われると確かに危機感を感じてきた。


「いいけど……どこに行くの?」

「四尾連湖行こーぜ!」

「四尾連湖?山梨じゃん。どうやって行くの?」

「親父が車だしてくれるんだよ。それにさ……この前のメンツで行こうぜ!」


行動力がすごい。

というか……龍君年齢詐称してパチンコする仲間とかいるイメージなんだけど案外人を選ぶのかもしれない。


「この前のメンツなんだね、なんかもっと別の友達とかいそうなんだけど。」

「あ〜、普段つるんでるヤツらはな、なんというか……話は合わせられるんだけどなんというかつまらねえんだよな。」

「つまらない?どういうこと?」

「なんというか、俺はな?本質的な話とかを深堀したり、音楽とかも黒人音楽のルーツの音調を使ってる……とかそういう話が好きなんだけど、どうにも服の話題とか女の話題ばっかするからさ……なんか違うんだよな。思考レベルとかその辺だと思うんだけど。」


なんと知的な回答なのだろうと驚いたけどそういえば彼は学年トップだった。

彼は浮いてる要因は行動の過激さもあるけど思考力の違いで話が合わないというのもあるのかもしれない。


「それに比べ……お前は頭がいい。」

「めっちゃディスられたことか殴られた事しかないんだけど……。」

「いや、お前は多分自閉症スペクトラムのなにかを持っているから知的能力に偏りはあるんだけど思考力は高いんだよ。常に冷静だし……自分を客観視して自分に合ったやり方を選んでる。勉強だって吸収が早いから頭はいいぞお前。」

「なんか、診断されたような気がするけどひとまず分かったよ。」


相手にそんな事断定して大丈夫かと思ったけど、確かに彼は医学部志望だったからきっと何らかのエビデンス(証拠)もあるのだろう。

そういうところは……ある意味尊敬する。


「でも、みんなの予定も分からないんじゃないかな?

いつだって集まれるわけじゃないし。」

「ああ、もうみんなには話回してあって了承済みだよ。あとはなおっちが良ければいいって感じ。予算とかスケジュールもAI使ってある程度決めてあるから大丈夫だ。」


なんて事だろう。

やっぱ彼は怖いくらい知的且つ行動力の鬼である。

そんなの断りずらいじゃないか。


「分かったよ、じゃあ僕も参加させていただくよ。」

「おう!あんがとなおっち!」


☆☆


このような背景もあり、俺たちはエスティマというそこそこ大きい車で四尾連湖へと向かっていった。


「それにしても……まさかこんなすぐに行くとは思わなかった。」

「ね!直輝くんもうほとんど読み終わってるし楽しんでもらえて何よりよ。」

「本当、ありがとうね……彩奈さん。貸してくれて楽しくて2日足らずで読み終えちゃったよ。」

「なおっちも結構オタクだよな〜、そういう俺も読んじまったけど。」


いや、現代社会キャンプ好きすぎるだろ。

至る所にその作品のアニメのイラストがあった自動販売機などがあったので、山梨県はそのアニメのプロモーションに力を入れてるのが垣間見える。


「まさか、みんな読んでるとはね〜アレどれくらい発行されたのかな。」


「「1000万部だよ(だよな)。」」

「いや、直輝と龍君……即答だしハモってるよ。」


こうしてみると確かに本質的なところは龍君と似ているかもしれない。


「おいおい……直輝にもついに俺以外の親友ができちまったか。お前のこと好きだったのによォ!」

「黙れホモ。まだ親友認定は早いでしょ。」

「え?そうなの?なおっちとはもう親友でいた気になってた。」

「いや、この前殴られた頬がまだ痛むんだけど……。」

「まあまあ、ほら……ベジータだって悟飯ボコボコにしてたけど仲良いじゃん。そういう事だよ。」

「いや!どういうことだよ!」


こんなにうるさく喋ってるのに龍君のお父さんは淡々と運転をしている。

息子の暴力沙汰も特に気にしてない様子だったあたり普段の彼の暴れ馬っぷりとお父さんの寛容さが垣間見えた。


「君たち、そろそろ到着するよ。」

「あ、ありがとうございます、虎ノ門さん。」

「私は1人で山梨を移動してるから……また明日この時間に迎えに行くからぜひ楽しんでくれたまえ。」

「ありがとうございます。」


どこか力強くも……落ち着きのある声である。

俺も父親がいたらこんな感じなのだろうかと、ふと父親についてかんがえてしまった。

そういえば、父親について何も聞かされてないな。


そんなこんなで景色は木々と峠の道からさらに生い茂った自然になっていく。

途中で分かれ道を右に行くと、小屋と雄大な湖があった。周りには夏を迎える木々が青くなっており、湖が太陽と気を反射してそれは幻想的な風景だった。


さて、人生初のキャンプの始まりだ。

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