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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第4章 クラスの不良は優等生
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クラスの不良は優等生 3話

「な……なんの事かな〜?ほら、普通の母ちゃんだよ〜。」

「橘遥香……うん、確か名前はそうだった。天野遥香……そうか、下の名前は本名だったんだな。」


なんてことだろう、1番バレたくない人にバレてしまった。このままだと……クラス全員にAV女優の子どもとして広まってしまうことに……。


「気にするな……お前も色々あるんだな。」

「え?」

「いや、人の家庭をネタにするほど俺も腐ってねえからよ、素敵な母ちゃんがいて羨ましいよ。」


意外と……龍君は大人の対応だった。

てっきり、やーい!お前AV女優の息子〜!とかいじられるかとビクビクしていたのに。

今日1日彼と一緒にいてわかったが、彼は立ち振る舞いが狂気的なだけで意外と話がわかる人間なのだ。

頭が良い分機転も利くし俺よりも理性的と言ってもいい。


とはいえ……これでAV女優の母親という事実を知る人間が3人になってしまった。

これ以上はまずい……。


その後も俺たちは淡々と勉強を続け……9時になって言った。

それにしても龍君の教え方は本当にわかりやすい。

化学の分子構造もなぜこうなっているのか?など具体的に教えてくれるので今日彼の指導で苦手な理数系の科目が少し得意になってしまったほどだった。


「いや〜、龍君がこんなにも教え方が上手とは思えなかったよ。分かりやすいし、適度に休憩を与えるけど時間配分も絶妙だよ。」

「そうだな!いや、虎ノ門すげえよ!また教えてくれ!」

「むう〜、悔しいけど教え方上手だから悔しいわ……もっと直輝君とそばにいれて私だけの時間で居られるはずだったのに。」


あれ、なんか一人だけ不穏な感想述べてるけどまあいいや。


「まあいいや、帰り道はどうするか……。」

「じゃあ佐倉は俺と飯田で送ってけばいいや……。」

「あれ?そしたら川崎さんは?」

「んー、なおっち送ってくれるか?比較的近いみたいだし。」

「え?川崎さんを俺が?」


普通は彼女をおくって川崎さんを2人が送って行く方が自然だと思うけど……、帰り道は舞衣と龍君と飯田は全く同じ道だったので合理的と言えば合理的だった。


「まあいいや、もし不安なら家の近くまで送るよ!」

「うん……お願いします。」


前の罵倒をする川崎さんとは違ってどこか大人しい雰囲気だった。

あの時は舞衣に嫉妬してあんな雰囲気だったけど……普段の彼女はこんな感じなのかもしれない。


「じゃあ、決まりだな!」


☆☆


俺たちは家を出て、俺は川崎さんを向こう側の駅まで送っていくことにした。

舞衣はとても不服そうに顔を膨らましていたのだけれど、大丈夫……今度映画にでも連れてってあげよう。


しかし、気まずい……話したこともないのだが、初めてが喧嘩だったので歩く道はとても静かだった。

ここから駅まで20分、俺はチャリを押して送って行くのだが話題無しで20分はちょっときついものを感じた。

よし、ちょっと声をかけてみよう。


「「あの!」」


ハモった。

お互いぷいっと恥ずかしがってそっぽを向き……もう一度話しかける。


「「お先にどうぞ!」」


またハモった。相性が、いいのやら……悪いのやら。

でも、相手も話しかける気があるので俺はめげずに話しかけた。


「じゃあ……俺から……なんか、こうして2人でいるの初めてだから何話せばいいのか分からなくてごめん。」

「いえいえ……こちらこそ、初めてが喧嘩だったからちょっと嫌なイメージ着いちゃってるから話しかけずらいよね。」

「うん。」

「あ、ちょっとフォローしてよ!」


いや……まあ……その、ADHDは忖度が苦手なものでして。


「実は……直輝君にも謝らなきゃと思ってて……あの時酷いことしちゃってごめんなさい!」


そうか、たった今理解した。

俺が送ってく流れはおそらく龍君によって用意された展開なのだろう。スマ○ラやってる時も勉強やってる時も実は一緒にいるけど面と向かって会話は一度もしてなかった。


彼女は必要以上に今回の出来事を反省しているのだ。

卑怯な手を使って巻き込んで怪我をさせた……そこが彼女は謝りたくてしょうがなかったのだ。


「その……お詫びにこれ家でたべて!」

「これは?」

「その……お詫びの品というか。」


中には堂ヶ島のサブレというものが入っていた。

堂ヶ島って静岡県の伊豆だっけ?

ってことは彼女はゴールデンウィークかその辺で行ってその時に買ってきたのだろう。


「あはは!」

「ちょ、なんで笑うのよ!」

「いや、川崎さん怖いイメージがあったからさ、こうして接していると……とても良い人なんだなって驚かされたよ。」


人は見た目とか印象で決めちゃ行けないというが全くその通りである。

あれからは川崎さんは舞衣を庇うように立ち回ってるし、実はトラブルのフォローも最近してないのは彼女のお陰もあるのだろう。


「また、遊びに行ってもいいかな?今日……舞衣と遊べたのも楽しかったけど……あーやってみんなで集まるのも楽しかったんだ!あと!」

「あと?」

「私……名前で呼ばれる方が好きかも?」


はて?どういった風の吹き回しなのだろうか?

そうか!彼女は俺とも仲良くしたいのだろう!

確か下の名前は……!


「分かったよ!彩奈!」

「うん!」


それからは……さっきまでの沈黙が嘘のように楽しかった。

実はゲームの趣味が一緒だったり、読んでる本もジャンルが同じで今度貸し借りをする約束をするくらい盛り上がった。

なんだ……もっと早く話せばよかった。

案外人と接すると言うのも悪くないのかもしれないな。


「じゃあ……また明日学校でね。」

「うん!また明日ね!直輝!」


今日はとても混沌として疲れた日だったけど、友達が2人も増えた日だった。

明日の学校もまた一段と楽しみだった。


そして、スマホを見る。

通知が何件かあった……舞衣だった。


「彩奈と二人で帰ったけど何もしてないよね?」


釘を刺すようかのLINEだったのが少しヒヤリとしたが……うん!いつも通りの1日だった!

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