俺の彼女が重すぎる件について 2話
俺ははっと目が覚める。
昨日は何してたんだっけとゆっくりと思い出しスマホを眺めると時間は朝5時を指していた。
そうだ、最近俺は朝5時に起きてから勉強していたから少し焦ってリビングに降りる。
そして、朝のコーヒーをいれようとキッチンに行こうとした時だった。
「おはよう直輝くん!」
「ま……舞衣?」
当たり前のように俺の彼女の舞衣がいた。
寝起きの姿ではなく化粧も髪の毛もバッチリセットしてあって、ミルで粉砕した後のコーヒーをお湯でドリップしている。
「最近、朝5時に起きてるデータが多かったから何かなと思ったら勉強してたんだね!ほら……コーヒー淹れたよ。」
そうして、彼女からコーヒーをもらって俺は恐る恐る飲んでみると香りがとてもよく、舌触りがなめらかでまさにプロ顔負けのクオリティだった。
「ほら、これから勉強でしょ!頑張って!」
「うん、ありがとう。」
そうして俺は昨日のつづきの過去問を解く。
それからは1時間は目が冴えて俺は勉強に打ち込めていた。
「って違う!」
俺は急いでキッチンに戻って様子を見る。
な……なんで朝から舞衣がいるの?
しかし、キッチンに彼女の姿はなくてキョロキョロ探す。
「どうしたの?直輝くん。」
「うわああ!びっくりした!後ろから話しかけてこないでよ!」
何故か俺の動きを察知したのか舞衣が俺の背後にいて俺は咄嗟に悲鳴をあげる。
「あの……舞衣?なんで朝から家にいるの?」
すると、舞衣はチッチッチと指をクルクルさせて笑っている。
朝5時なのに化粧もヘアメイクもバッチリなところに若干の狂気を感じた。
「しばらく天野家に住むことにしたの。直輝くんすぐ女の子にモテちゃうから監視も兼ねてね。」
「いや……母ちゃんOKしたのかよ。」
「いいって!」
「なんてこった……ここに常識人はいないのか。」
でも、舞衣はとても機嫌が良かった。
ちょっと怖いけど、やっぱり彼女のサラサラの黒髪とか献身的な様子は理想の女性像には近いものを感じるから妙にキュンとはきてしまう。
「ほら……朝ごはん作ってあげるからあと30分は勉強しなよ!この同棲は直輝くんの学習強化も兼ねてるんだから。」
「う……うん。」
そう言われて俺は机に戻って、コーヒーを飲みながら勉強を進めた。
ふと、なぜ今日はこんなにも集中できるのか疑問だったけど、やっと説明が着いた。
部屋が片付いている。きっと余計な雑念をはらいやすくするためだ。それに部屋がいい匂いがしている。
シトラス系だろうか、これもきっと舞衣が俺を気遣ってくれたから今日だけで1時間半も勉強することができた。
「さて……今日はここまでにするか。ちょっと怖いけど、降りて様子を見よう。」
俺は恐る恐る降りる。
すると、その様子に気がついたのか舞衣が声をかけてくれた。
「直輝くん!朝ごはんできてるよー。」
「すげぇ……めっちゃ気合入ってるな。」
「えへへ、凄いでしょ!」
そして、朝起きると朝ごはんが綺麗に並んでいた。
サラダにパン、そしてスクランブルエッグとまるでホテルの朝食ビュッフェのようなラインナップだった。
しかも、味は本当に美味い。
母ちゃんの料理に勝るとも劣らないクオリティだった。
「どう?私の料理美味しい?」
「美味い……めっちゃ美味いよ。」
俺は気がついたら朝ごはんに夢中になっていて、強制同棲イベントという狂気は既に頭から離れていた。
その様子を舞衣が頬を赤らめて見ている。
「どう?結婚したくなったでしょ。」
「い……いや、それはまだ早いって。」
「えー?でも幸せそうだぞ〜?」
不覚にもこの子の存在がとても良いと感じてしまった。
勉強も捗るし、料理も美味い。
オマケに可愛いからどうして今までもっと意識してなかったのだろうと思うとドキドキしていた。
「ごめん……こんなに舞衣は俺を思ってくれてるのに、俺は何もしてやれなくて。」
「ふふん、やっと私の良さがわかった?」
「うん……凄く。」
「あはは!もう〜直輝くんは可愛いな〜。」
俺は舞衣に頭を撫でられる。
きっと抑えてたけど本来は愛情表現が本当に豊かなんだと思い知らされて、自分の彼氏としての不甲斐なささえと感じていた。
彼女は完璧なのに、俺は欠点ばかりだ。
「おはよ〜……って!朝ごはんが豪華!?」
間もなくして母ちゃんも降りてくる。
そして、舞衣の料理のクオリティに驚愕していた。
「おはようございます!遥香さん!」
「また料理の腕上げたんじゃない?」
「直輝くんに喜んで貰いたいんですよね。」
「うう……本当にいい子ね。あ、うちの印鑑あそこにあるから気軽に婚姻届出してもいいからね?」
「よくねぇよ!?まだ未成年なんだから!」
母ちゃんも舞衣応援派だから一気に突っ込む対象が増えてきた。
まったく!油断も隙もない!
「あら、直輝くん知らないの?」
「何がだ!」
「日本では親の同意があれば18歳でも結婚できるのよ?」
「いや!舞衣の父さんがOKするか分からないじゃないか!」
「OKだって。」
「畜生!この場に常識人が一人もいねえ!」
こうして半ば強制的だけど受験兼、同棲生活が始まった。
しかし、この生活がある意味俺の分岐点になることをこの時の俺はまだ知る由もなかった。




