雪と温泉とウィンタースポーツ 7話
再び景色は吹雪でホワイトアウトされる。
滑れば滑るほど雪が顔に降り積もり耳はもう感覚が無くなるまで冷えきっていた。
ちなみに現在4人で滑っている。
残念ながら1番動きがぎこちなく遅かったのは俺だった。
「ちょっ、早いな……うおっと!?」
斜面が高くなればなるほど急になってくる。
人も少なくなるのでコースが新雪にが降り積っている。
足が半分以上雪に埋もれているので大振りなカーブを曲がると転んでしまうのでかなり難しかった。
「大丈夫かー?」
「あ……ああ、頑張ってみる。」
なんだかんだ同じくらいの速度で滑ってる瑞希が止まってくれる。
瑞希は慣れてない方だけど、スキーの板が短いものだったので小回りがしやすそうだった。
もう一度板をつけて滑ってみる。
「直輝!こういう所はカーブを小さくして!」
「え……。」
「そんで、もう少し姿勢を前かがみにして!ビビりすぎてる!」
うるさいな……なんて思いながら素直に滑るといくらか楽になった。
なんというか、板の曲げ方の可動域が広くなる感覚だった。
確かに早いけど目先ではなく遠目で見ると何とかコースの傾向が分かるようになるのでそれに合わせられるようになる。
俺は少しずつだけど確実に上達した。
こうして、俺は何とか滑り終えて、リフトの前に到着する。
「……ふー!お待たせ!」
「直輝くん!ちょっとこのコース合わなかった?」
舞衣が心配そうにこちらを見ていた。
ちなみに舞衣はなんの躊躇いもなく一気に下に滑っていってこのメンツでは1番上手だった。
「舞衣……あんた運動神経良すぎない?」
「え?彩奈も結構早かったよ。」
「いやいや!あんたたまに自己責任コースとか滑ってたわよ!私も吊られて滑ったけど二度とごめんよ!」
彩奈はぜえぜえと息が上がっていた。
それに対して舞衣がケロッとしてるので相変わらず身体能力に恵まれている気がした。
「あ……あれよりもコースが大変なのか?」
「…(ブルブル)。」
考えたくもなかった。
でも確かにゴンドラ乗ってる時に変なところを外国人が滑ってた気がするけど、もしかしてあれが自己責任コースなのかな?
「まあいいや、いよいよ頂上行きのリフト乗るわよ〜。」
「え、まだ上あるんだ。」
長野県のスキーリゾートはとんでもないと思った。
最初はただのゲレンデかと思ったけど、もはや登山である。
俺たちはリフトに乗るとゆっくりと景色がさらに北上した。
「あれ!あれ見て直輝くん!」
「……崖?」
彩奈がコースでもなんでもない崖と林のエリアを指さす。
そこをたまにすごい速さで外国人が抜けていった。
「あそこ滑ったのよ!ほんっっとに死ぬかと思ったんだから!」
「えー!私は楽しかったよ。」
「あんたね……そんなんだから男子にメスゴリラってニックネーム付けられるのよ?」
「待って!ゴリラ!?酷くない!?」
確かにゴリラは言い過ぎである。
まあ確かに握力は学校で1番だったし、運動神経はトップクラスに強いからちょっと分からないでもないけど。
たまにアイアンクローで殺されかけるし……。
そんなことを言ってると山の頂上に到着する。
名前は毛無山との事だ。
「……なんか、すごい名前の山だな。ここに居たら将来ハゲそう。」
「そう?脱毛効果とかありそうじゃない?」
そう彩奈が言うと男と女で毛がないことに対しての考え方が根本的に違うのを感じた。
てか、おれハゲないよね?直人に家系が禿げてないか聞いておけばよかった。
「大丈夫だよ、直輝くん。もし直輝くんがハゲたらハゲごと愛するからね。」
「舞衣……全然フォローになってないよ。」
そして、毛無山の頂上へと到着する。
頂上は晴れ渡っていて山脈がどこまでも続くのが見えて俺は言葉を失っていた。
「……すげぇ。」
「直輝くん!みんなで写真撮らない?」
「え、撮りたい!」
そして、毛無山の看板の前で俺たちは集まって写真を撮る。
「撮るよ〜。」
パシャリと写真を撮っていく。
また、思い出の一部が切り取られてるようでどこか心が暖かくなっていくのを感じた。
そして、それと共に少しだけ空腹を感じてお腹が鳴っていた。
「あれ、直輝くんもしかしてお腹すいた?」
音を聞いて彩奈が笑う。
時刻は12:30。確かにお昼をそろそろ食べた方が良い時間だった。
「んじゃあ、そろそろ昼にすっかな。」
「あ!私もお腹すいたから一緒に食べる!」
「ええ!?舞衣……さっきあんなに食べてなかった?」
諦めろ瑞希、舞衣の胃袋は無限大だぞ。
「じゃあ、これから下山して…レストランということで大丈夫?」
「「「賛成!」」」
「OK!じゃあ……滑るよ〜!疲れたら各々こまめに休憩取ってね!」
俺たちは雪の中をどんどんと滑る。
急な坂にたまにしり込みするけど、それでも少しずつスキーは楽しくなっていった。
そういえば母ちゃんたちは今頃何してるだろうか?
俺は少し立ち止まってLINEしてから、みんなに追いつこうと滑り出した。
晴れたゲレンデは雪を乱反射して、目が焼かれそうなくらいに眩しくて、それでいて寒さよりも暑さを感じていた。




