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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第3章 私の過去はAV女優
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私の過去はAV女優 3話

あれから私は、直人君の隣で読書をしている。

同じ空の下でそれぞれの本を読んでいた。

ルールがある、読書中は話しかけないことである。

そして、私は授業を受けるのだが、次第にノートを取るよりも自分で教科書を読みといた方が実は効率的なんだと言うことに気がついた。


参考書も決まった1冊を完璧に覚えればいいとなったので、どうやら直人君に会ってから私は変わったみたいだった。


今、私は彼に勧められた「老人と海」を読んでいる。

この作品は表現が細かく最初は読むのに抵抗を覚えたのだが、作者の表現がとても美しく海を母親のような、女性のようなものと捉える老人を……気がついたら愛おしいとさえ感じていた。


たとえ、苦労した巨大なカジキを仕留める時も最早魚ではなく兄弟のように愛していたし、帰り道に沢山のサメに襲われても諦めないという……エピソードとしてはとてもシンプルなストーリーなのだが、これを見たあとの海は一際、美しく感じた。


「読み終えたね、どうだった?」


珍しく、笑顔だが無表情で何考えてるか分からない直人君は、ウキウキしてるように感じた。

彼もまた、この作品の海のような人間のように感じた。


「すっごく!面白かった!」


そんな彼に小学生以下の感想を述べてしまう自分がいる。そうだ、私はこうやって素直で明るい人間だったというのも感じた。


「でしょう、短くて読みやすいからねえ……これが読書の楽しささ。」

「あなた、いつもこんなのばかり読んでるの?」

「そうだね、小説も好きだし、自己啓発の本も読んだりする。」

「あなた、いくつよ!あはは。」


彼は16だと言うのに異様に大人びている。

目が何かを見すえてるかのように、少し霞みがかっているのだ。

そして、彼と空と海をみるのが……今の私にとって必要な時間だ。


ふと、彼を意識してしまう。

いつもは男なんてガキっぽいと思っていたのだが、彼は安心感があり、おおらかで、私では到底叶わない……そんな彼に惹かれて行ったのかもしれない。


「ねえ、直人くん?」

「どうしたんだい?」

「……名前、呼んで欲しいな。」


私は、いつも君と言われていたことにふと不満を感じていた。人ってきっと名前で呼ばれるのが好きなのかもしれない。犬だって自分の名前の時はピンと耳を立てるのだから、人間だって名前で呼ばれてみたいものだった。


「……天野さん?」

「えー!なんか、よそよそしい!」

「じゃあ、遥香。」

「急に馴れ馴れしい!」

「なんだよ、距離感が難しいな。」


彼は初めて困惑をする。自分が分からないと言ってるのだから……きっと対人とか距離感も難しいのかもしれない。


「やっぱ、遥香でいいよ!」

「そう?それならそうさせてもらうよ……遥香。」


彼に名前を呼ばれると心の奥がとくんとする。

きっと嬉しくて仕方ないのかもしれない。


それから、私たちは日を重ねる度に距離感が近くなり……1ヶ月が過ぎたのだった。


☆☆


いつもの通り、私たちは屋上で隣同士、海を眺めている。その時間がたまらなくすきだった。

そして、私は彼に対しての愛情も膨らんで行った。


「もう、夕方ね。」

「そうだね。」


放課後になっていて、常夏の海景色はこれから夜を告げるように……夕焼けは沈んで行った。

何処か、彼が艶かしいような……そんな感じがした。


「ねえ、直人君。」

「なんだい、遥香。」

「私……直人君が好き……、始めは嫌いだったけど……あなたが愛おしい。」


言った、言ってしまった。

しかし、私はもう抑えることが出来なかった。

彼なしの生活は……考えられなかった。

すると、珍しく彼は目を逸らして頬をかいていた。


「僕も、君が好きだ……遥香。」


私は、嬉しくなり彼と接吻を交わす。

初めてだった、何をするべきかも分からないが……人というのは本能で愛し合った先の行動を自然と導いてくれる。


私たちは、少しずつ接吻から舌を絡ませ、吐息が荒くなり、体を触りあって……体の奥から疼く感触があった。

少しずつ、体を交わせて……心と体が1つになる感じがする。すこし、痛覚を覚えていたのだが……気がついたら私はまるで動物のように直人君を貪るように愛していた。


私たちは、一線を超えた。

体の中が直人君で溢れたような感じがしていた。


学校の屋上で……過ごした数時間は、私の今までにない欲求をみたしていて、気がついたら私は……彼の腕の中で軽い睡眠に入っていった。


☆☆


「これが……交わるって事なのね。なんか不思議な気分。」

「僕も初めての体験だったから、なにか漠然とした気分だった。どういうものかは知ってはいたけど百聞は一見にしかず、とはこういう事だね。」

「なによ、それ……ねえ、直人君……好きよ。」

「ん……。」


最後に、私と彼はもう一度接吻を交わす……

夕焼けは既に夜とかしていて、私たちの存在は周りからは闇にカモフラージュされていた。

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